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第十八話

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 次の日、俺たちは砂漠をあるいていた。 見渡すかぎりの砂だ。 うだるように暑い。

「はぁ、ここにサンドワームとやらがいるのか」

「はぁ、はい、生息しているのはここです......」

「でもこんな全てが砂じゃ、向こうから来ない限り見つけられないわよ......」

「ええ、もちろんそのためのアイテムも用意してます!」 

 リリンは鞄から笛を取り出した。

「これは【呼の魔笛】《コールモンスター》、モンスターを呼び寄せます!」

「あの笛か、なんでそんなぶっそうなもん作ったんだよ」

「指定の場所に罠などをつくって、その場所にモンスターを呼び寄せるんです」

「なるほど、そういう使い方か...... でも他のモンスターもきちまうな」

「それは仕方ないんですが...... これは私が父さんの残した材料で作ったアイテムなんです」

(こいつ魔力のある素材なら、まともなものも作れるのか)

「それで、それからどうする」

「これです」 

 手のひらに乗る透明な球をみせた。

「水晶球? 占いでもすんのかよ」

「いいえ、これは【吸魔玉】《ドレインスフィア》、魔力をすいとるアイテムです! これを使えば......」

 へなへなとリリンがしゃがむ。

「どうしたの!?」

「魔力を吸いとられまして...... まだ未完成なもので触ったものからしか、すいとれないんです......」

「それで戦おうとしてたのか! 絶対死ぬわ!」

「ねえリリン、罠になるようなアイテムって作れないの?」

「まあ、材料さえあれば......」

「必要なものを言ってくれ、用意する。 そっちの方が確率が高そうだ」

「は、はあ、でもカバン以外なにももってないようですが......」

「いいから、必要なものをいってくれ」

 納得してないながらも、リリンは必要な素材を答えた。 俺はいわれた素材を持ってきていた宝石を取引《トレード》してだす。

「な、なんですか!? その魔法!!」 

「まあ、いいから、これで材料はいいか」

「え、ええ! ちょっと待ってください! いまつくります!」

 リリンは自分の鞄からだした道具と魔法を使って手際よくアイテムを作成した。 


「よし、設置した!」

「アンナさん笛を!」

「わかったわ!」

 俺とリリンはアイテムを持って待ち構える。 アンナが少しはなれて笛を吹いた。 それは悲しい音色だった。

「向こうから音がするな......」

「き、きましたー!!」

 すると砂ぼこりが巻き上げられ、無数の影が轟音を響かせて、こちらに迫ってくる。 それはモンスターの群れだった。

「かなりの数だな! 普通に戦ってたらひとたまりもない」

「もうすぐ届く範囲に入ります!」

「すこし引き付けて使え」

 モンスターたちが砂煙からその姿を現した。 その時地面が盛り上がりモンスターたちが宙を舞う。

「あ、あれです! あれがサンドワームです!!」

「あれか!! でかい!」

 列車かと思うほどの大きさの赤いミミズが他のモンスターを蹴散らしながら地面を上下しながらこちらに迫る。

「ギィィィィイ!!」

 そう悲鳴のような音を上げてその身をもたげた。 見上げるその頭がわれ無数の牙が動く口のようなものがみえる。

「よし! いまだ!!」

「はい!! いけ!!【吸の黒穴】《アブソリュートブラックホール》!!」

 その時、リリンが玉を投げると、落ちた地面の砂を飲み込み穴ができはじめる。 徐々にモンスターたちはその穴へと落ちていく。 サンドワームも滑り落ちまいと吸い込まれる砂を登ろうとしている。

 ドカン!! ドカン!! ドカン!!

 下のほうで爆発音がしている。

「よし! 周囲においていた赤爆球が落ちて爆発してる。 こっちも投げろ!!」

「はい!!」

 離れたところから用意した赤爆球を投げつける。

 ドカン!! ドカン!!

 上がってこようとするモンスターやサンドワームに当たり、サンドワームはゆっくりとその姿を消した。

「やったか!」

 近づくと下のほうでモンスターがうごめいている。

「まだ生きている! 投げつけろ!!」

 俺たちは赤爆球をもってるだけ下に投げつけた。 

「やったか......」

 下に動いているモンスターはいない。

「いえ、サンドワームがいません!!」

 リリンが確認していう。

「隠れて見えないだけじゃないのか......」

 その時横の地面が盛り上がる。 サンドワームが現れた。

「くそっ! 坂からこっちに潜ってきたのか!」 

 見上げるサンドワームに巨大な光が横に一瞬通ると、 その体は両断された。

 ドサッ

「ギィ...... ギ...... ギ」

 砂の上に落とされたうごめくサンドワームの頭部は動きを止めた。

「はあ、大丈夫......」

 アンナがへたりこんでいった。

「......ああ、助かったよアンナがあの短刀で斬ってくれたのか」

「......や、やりましたね」

 三人ともその場にたおれた。
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