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第二十七話
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「何とか持って帰ってきたぞ」
俺たちが城へ帰ると、庭からびんちゃんが走ってきた。
「おお! 確かにメイジマッシュだな! でかした!」
かごの中をみて、にんまりしていった。
「じゃ、じゃあ、俺たちはこれで......」
ガルムとラクレイがヘコヘコしてかごをおろし帰ろうとする。
「まて!」
「ひぃ!」
「お主たちも食べていけ!」
そうびんちゃんがいうと、怯えながら二人は正座した。
「食べる!? まさかマルデなんとかって料理のことだったのか!」
「そうだ。 マルデナーダヴァンデルミのメイン食材がそのメイジマッシュなのだ」
どこで手に入れたのか、ライフォマーのエプロンを身に付けたヴァライアが歩いてきてそういう。
「さきにいえよ!」
「メイジマッシュは...... 魔力感知がするどくて...... 高い魔力を持ってると、逃げる......」
そうヴァライアに隠れて、アディエルエがいった。
「それで俺たちにいかせたのか」
「ああ、お主たち程度ならば逃げまいと思うてな」
「事前に情報を教えとけよ」
「だめなのだ。 やつは心を読む。 こちらの考えがわかると対策をとられるのだ」
そうヴァライアがいった。
「それでレアなのか」
「ふむ、捕まえられるのはおそらく一度だけ、それゆえ希少、さあ素材は集めた。 ユウナ我の手順通り作ってくれ」
「う、うん、わかった」
「疲れてるだろうから、ヴァライアに作らせればいいんじゃないか、エプロンもしてるし」
「い、いや私は」
ヴァライアが首をふる。
「そう思ってさっきやらせてみたがこのとおりじゃ」
びんちゃんが指差すと、庭には無惨に飛び散った食材がある。
「す、すみません...... 私は剣以外、不器用なもので......」
「私は...... もちろんできない......」
アディエルエは自信満々でいった。
「ガルムとラクレイ......」
俺が見ると二人とも首をふっている。
「だろうな。 ......じゃあ俺がやるか、軽い自炊ならしてるし」
「ううん、私がするよ。 私は魔力しか消費してないから」
「そうか、すまない悪いが頼むよ」
「あ、うん、じゃあ私シャワーを浴びてくるよ。 お借りしてもいい?」
「う、うん...... ど、どうぞ」
橘さんが戻ってきて、びんちゃんの指示通り作っている。 その間ヴァライアの指示でガルムたちとテーブルや椅子、食器のセッティングをした。
「ふむ! 久しぶりのマルデナーダヴァンデルミじゃ! みな堪能しようぞ」
びんちゃんがそういい、橘さんの作った食事を振る舞う。 目の前に紫色のスープのようなものがある。 橘さんが作ってなければ食べるきはしない
(これはキノコスープか...... あの動いてたの食べるのか、まあ手足がなかっただけましだな)
周囲を見ると、アディエルエたちは美味しそうに食べている。 ガルムとラクレイ、橘さんは恐る恐るスープをすくっている。
(えーい! ままよ!)
俺はスープをスプーンですくいのんだ。
「う、うまい!」
そのスープは体に染み渡るような食べたことのないスープだった。 俺はキノコも食べる。 こちらも旨味が凝縮されたかのような味わい、ガルムたちもがっつくように食べている。
(う、うまいが、なんだろう...... この熱くて、体に力がみなぎる感じは...... どこかで...... あっ!)
「ガルム、ラクレイ、橘さん! 食べるのはやめろ!」
俺がそういい三人を見ると、ガルムとラクレイの顔が青くなり、後ろに椅子ごと倒れる。 俺は駆け寄った。
「橘さん! 大丈夫か」
「う、うん......」
「そうか、アディエルエ回復頼む!」
「ヒール......」
アディエルエにガルムとラクレイにヒールの魔法をかけてもらう。
「ふむ、まだその二人は魔力が足りてなかったようだな。 全くバルディオは何をしておったのだ」
そうびんちゃんはあきれてる。
「やっぱり! これはマジックスポットと同じか!」
「うむ、魔力を多量に含む食材だ」
ヴァライアが俺に答えた。
「俺たちを殺す気か!」
「あそこにいるモンスターを倒せるものなら、耐えられると思ったのだがな。 まあ死んでおらんからよいではないか」
はっはっは、とびんちゃんは笑う。
「テキトーな...... 取りあえず俺は倒れなかったが、橘さんはなんで、大丈夫なんだ」
「ユウナは魔力の総量は大きい。 しかし無意識に常に放出しておるから一時的に少ないだけだ。 だから食べてもなんともない」
橘さんはキョトンとしている。
(魔力を常に放ってるのか、常に魔力を感じるとは思っていたが...... 本人には自覚はないのか)
「まあ、二人には悪いことしたな」
顔面蒼白で倒れている二人をみて俺は拝んだ。
俺たちが城へ帰ると、庭からびんちゃんが走ってきた。
「おお! 確かにメイジマッシュだな! でかした!」
かごの中をみて、にんまりしていった。
「じゃ、じゃあ、俺たちはこれで......」
ガルムとラクレイがヘコヘコしてかごをおろし帰ろうとする。
「まて!」
「ひぃ!」
「お主たちも食べていけ!」
そうびんちゃんがいうと、怯えながら二人は正座した。
「食べる!? まさかマルデなんとかって料理のことだったのか!」
「そうだ。 マルデナーダヴァンデルミのメイン食材がそのメイジマッシュなのだ」
どこで手に入れたのか、ライフォマーのエプロンを身に付けたヴァライアが歩いてきてそういう。
「さきにいえよ!」
「メイジマッシュは...... 魔力感知がするどくて...... 高い魔力を持ってると、逃げる......」
そうヴァライアに隠れて、アディエルエがいった。
「それで俺たちにいかせたのか」
「ああ、お主たち程度ならば逃げまいと思うてな」
「事前に情報を教えとけよ」
「だめなのだ。 やつは心を読む。 こちらの考えがわかると対策をとられるのだ」
そうヴァライアがいった。
「それでレアなのか」
「ふむ、捕まえられるのはおそらく一度だけ、それゆえ希少、さあ素材は集めた。 ユウナ我の手順通り作ってくれ」
「う、うん、わかった」
「疲れてるだろうから、ヴァライアに作らせればいいんじゃないか、エプロンもしてるし」
「い、いや私は」
ヴァライアが首をふる。
「そう思ってさっきやらせてみたがこのとおりじゃ」
びんちゃんが指差すと、庭には無惨に飛び散った食材がある。
「す、すみません...... 私は剣以外、不器用なもので......」
「私は...... もちろんできない......」
アディエルエは自信満々でいった。
「ガルムとラクレイ......」
俺が見ると二人とも首をふっている。
「だろうな。 ......じゃあ俺がやるか、軽い自炊ならしてるし」
「ううん、私がするよ。 私は魔力しか消費してないから」
「そうか、すまない悪いが頼むよ」
「あ、うん、じゃあ私シャワーを浴びてくるよ。 お借りしてもいい?」
「う、うん...... ど、どうぞ」
橘さんが戻ってきて、びんちゃんの指示通り作っている。 その間ヴァライアの指示でガルムたちとテーブルや椅子、食器のセッティングをした。
「ふむ! 久しぶりのマルデナーダヴァンデルミじゃ! みな堪能しようぞ」
びんちゃんがそういい、橘さんの作った食事を振る舞う。 目の前に紫色のスープのようなものがある。 橘さんが作ってなければ食べるきはしない
(これはキノコスープか...... あの動いてたの食べるのか、まあ手足がなかっただけましだな)
周囲を見ると、アディエルエたちは美味しそうに食べている。 ガルムとラクレイ、橘さんは恐る恐るスープをすくっている。
(えーい! ままよ!)
俺はスープをスプーンですくいのんだ。
「う、うまい!」
そのスープは体に染み渡るような食べたことのないスープだった。 俺はキノコも食べる。 こちらも旨味が凝縮されたかのような味わい、ガルムたちもがっつくように食べている。
(う、うまいが、なんだろう...... この熱くて、体に力がみなぎる感じは...... どこかで...... あっ!)
「ガルム、ラクレイ、橘さん! 食べるのはやめろ!」
俺がそういい三人を見ると、ガルムとラクレイの顔が青くなり、後ろに椅子ごと倒れる。 俺は駆け寄った。
「橘さん! 大丈夫か」
「う、うん......」
「そうか、アディエルエ回復頼む!」
「ヒール......」
アディエルエにガルムとラクレイにヒールの魔法をかけてもらう。
「ふむ、まだその二人は魔力が足りてなかったようだな。 全くバルディオは何をしておったのだ」
そうびんちゃんはあきれてる。
「やっぱり! これはマジックスポットと同じか!」
「うむ、魔力を多量に含む食材だ」
ヴァライアが俺に答えた。
「俺たちを殺す気か!」
「あそこにいるモンスターを倒せるものなら、耐えられると思ったのだがな。 まあ死んでおらんからよいではないか」
はっはっは、とびんちゃんは笑う。
「テキトーな...... 取りあえず俺は倒れなかったが、橘さんはなんで、大丈夫なんだ」
「ユウナは魔力の総量は大きい。 しかし無意識に常に放出しておるから一時的に少ないだけだ。 だから食べてもなんともない」
橘さんはキョトンとしている。
(魔力を常に放ってるのか、常に魔力を感じるとは思っていたが...... 本人には自覚はないのか)
「まあ、二人には悪いことしたな」
顔面蒼白で倒れている二人をみて俺は拝んだ。
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