おこもり魔王の子守り人

曇天

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第二十五話

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「まさか、アディエルエが学校に通うとはな。 厳密には家だけど......」
 
「本当に驚いた...... まさか、アディエルエさまが学校に来るだなんて」

 ヴァライアも驚いている。 

「うん...... 私も、一応外のこと...... 知っておこうと思って......」

 ノートパソコンの画面には、卵かけゴハニャンコのプラモデルが写りその後ろに隠れているようだ。

(まあ、アディエルエにはこれが限界だな...... 音声だけじゃない分頑張ってるほうか)

「ほう、君が魔王アディエルエさまか......」 

 ルシールが近づいてくる。

「ひっ......」 

「?」

 人の声に驚いて、アディエルエの声が途切れたので、ルシールが不思議そうにしている。

「ああ、すまない。 アディエルエは知らない人とは話すのが苦手で、必要なら俺か、ヴァライアを通してくれ」

「そうか、それはこちらこそすまなかったね。 少し興味があっただけなんだ」

「......貴様、アディエルエさまになんのようだ」

 ヴァライアが凄んだ。

「やめろよヴァライア、クラスメートなんだから、話ぐらいはするだろ。 すまん、ヴァライアはアディエルエのことになるとナーバスになるんだ」

「はっはっは、構わないよ。 まあ慣れたら話をしたいな」

 そういうとルシールは離れていった。

「ねえ」

 橘さんがそっと近づく。

「ん? どうした橘さん。 アディエルエに用か」

「うん、びんちゃんが魔王さんに、お話があるとかで...... 伝えてほしいって言われてて」

「びんちゃん...... あっ」

 アディエルエがなぜか驚いているようだ。

「どうした? アディエルエ」

「う...... びんちゃんと...... あとで...... 一緒に城にきて」

「えっ? 私も?」 

「うん......」

(人を呼ぶなんて珍しいな)

「なら、帰りにつれていくかヴァライア」

「そうだな」

 俺たちは橘さんの家により、びんちゃんとともに城へと向かった。


「久しぶりじゃのうアディ! 元気に引きこもっておったか! あっはっは」

「う、うん......」

 びんちゃんはコタツに座り、中から顔を半分出しているアディエルエに話しかける。
 
(元気に引きこもるってなんだよ)

「......」

 アディエルエは橘さんをチラチラみて何かいいたげだ。

「なんだアディエルエ...... 橘さんに何か用か」

「な、なにかなアディエルエちゃん?」

 そうアディエルエは聞かれると、モゾモゾとコタツからはいだし、おもむろにクローゼットを開けた。 そこには黒いジャージが山ほどある。

(どんだけ同じ黒ジャージもってんだ...... アニメの主人公かよ、と突っ込みたいが、女子のクローゼットをジロジロみるのはよくないな)

 視界に入らないように気を付けた。

「こ、これ......」

 アディエルエは何か服を取り出すと、橘さんに見せた。

「えっ? こ、これ?」

「き、きてみて...... 欲しい」

「これを?」

 橘さんが困惑している。

「嫌なら断ってもいいよ」

「い、いや別にかまないけど」

「ふむ、わからんがユウナこっちの部屋に」

 ヴァライアは隣の部屋へ橘さんをつれていった。
 
「なんなんだ? あんまり橘さんを困らせるなよ」

「......う、うん...... ちょっとだけ」  

 しばらく待っていると、部屋に入ってきた。 橘さんは何か青色の衣装をきていた。

「ふぉぉ......」

 アディエルエは静かに興奮してスマホで写真をとりだした。

「あ、あの...... これはなんなのかな?」

 橘さんは状況がわからず困惑している。

「ふむ、その衣装で私も気づいた。 ユウナはアニメ、星麗騎士アストラエクエスのメルクーリウスに似ているのだ」

 ヴァライアは腕を組んで納得している。

「コスプレかよ! そんなことで橘さんを呼ぶなよ!」

「だ、だって...... に、にてた......」

「はっはっは、かまわぬ、かまわぬ、ユウナはかわいいからの! 写真を撮りたくもなろうて」

 びんちゃんは笑っている。
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