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第二十四話
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「おお! きたなマモル!」
「おはよう!」
「おはよう! 小森見くん」
俺たちが馬車で王都につくと、ガルムたち三人が王都の入り口でまっていた。
「ああ、おはよう」
「そっちは...... まさか! ヴァライアさまか!」
「ええ!?」
ガルムとラクレイは膝をついた。
「かまわぬ。 一応生徒なのだ。 クラスメートとして接してくれ」
そういわれて、おそるおそる二人はたちあがった。
「あ、私は橘ユウナです」
「ユウナ...... そうかそなたがビーンボカミン様の居候先の者か、ボカミンさまが世話になっている」
ヴァライアが礼をいう。
「いえ、びんちゃんは家族なので、今日もくるっていって駄々こねてたけど......」
橘さんは両手と首を左右にふった。
「まあ、挨拶も終わったから早くいこうぜ」
「ああ、あそこだ。 俺たちが通うゼフォル王立学園は」
そういって、ガルムは入り口から遠くにみえるひときわ大きな建物を指差した。
「あそこか...... かなりでかいな」
「ゼフォル王は病床だが、かなり柔軟な考えをもつ人物らしいな。 こっちの世界と同化したときから、学校を作ろうとしたらしいぜ」
ガルムがそういうと、ラクレイもうなづく。
「かなり外の世界のことを調べてて、科学技術の導入も進めているんだ。 ほら」
ラクレイが指差したのはWi-Fiの基地局だった。
「他の国に先駆けて、早くに取り入れて作ったらしいよ」
「ほお、それでここでもスマホが使えるのか」
ヴァライアは感心している。
「お前は特撮クラブとアニメ動画サイトしかみてないだろ」
「う、うるさい......」
(こんな風に柔軟に取り入れるのか、うちの国は魔法なんかの習得には消極的らしいし、そのうち逆転するんじゃないのか)
「ほら、学園に人が集まってる」
ラクレイがいう。 大勢の制服をきた少年少女たちが歩いている。
「けっこう、魔力が強いものもいるな」
「ああ、多分貴族か、王族だな」
「えっ? そうなの?」
俺とヴァライアが話していると、橘さんが聞いてくる。
「ユウナちゃん、基本的に貴族や王族は魔力が高いんだ」
「そう、だから昔、高い地位につけたんだしな」
「へえ、そうなんだね」
ラクレイとガルムの言葉に橘さんはうなづいた。
「それで、俺たちはどこが教室だろ?」
「私たちは、16才なので学園に入って一階の一番左はしだな」
ヴァライアがそういった。
それから教室で席につく、机が段々におかれており、高校というよりは大学の教室のようだった。 クラスメートは30人ほどで、さまざまな亜人と人間がいる。
俺たちが教室に入ると、クラスメートたちは男女ともに橘さんとヴァライアをみている。
「あの二人かわいくない?」
「うん、すごくかわいいね」
「一人は外の世界の人っぽい」
「おい、あの子話してこいよ」
「いや、お前がいけよ」
そんな声が聞こえる。
俺はヴァライアと橘さんをみた。
(確かに、あんまり意識して見てなかったが、二人ともかわいいな。 目立つのもしかたないか)
そんな時、一人の青い髪の少年が話しかけてきた。
「やあ、僕はルシールよろしく」
そういって、その整った顔で笑いかけてきた。
「ああ、俺はマモルだ。 よろしく」
(こいつかなりの魔力を持っているな)
「マモルか...... 君とあの子は外の世界の人だね」
そういって、少しはなれている橘さんを見ていった。
「ああ、橘さんだ。 外の人間は少ないみたいだな」
「そうだね。 少し残念だ...... 外の人たちから得られるものも多いんだけどね」
「仕方ないだろ。 魔法や剣術は外ではまだ使用できる者も少ないし習得も難しいしな。 魔法を調べてるなんてものずきは学者か暇人だ」
「君はそれをしている......」
そう少しこちらをみすえるようにいった。
「まあ、たまたまこっちの知り合いができたのと、冒険者生活に必要だからかな」
「そうか冒険者か、外の世界の者なのに、なかなか面白いやつだな君は」
「そうかな」
ふふっとルシールは笑いながらさっていった。
(ふむ、なんか気になるなあいつ、気になることといえば...... 俺のとなりの机空いてるな)
俺は窓側の一番後ろの席に座り、誰も座ってない隣の席をみた。
その時、扉が開き一人の女性が大きな荷台に段ボールをのせ、入ってきた。 その赤い髪の若い女性は教壇にたつ。
(あれが先生か若いな......)
「はい、今日からみなさんを、指導することになりました。ヤーム・コールマンです。 ヤーム先生ってよんでください。 それではみなさん一人一人自己紹介してください」
そうおっとりといわれてみな自己紹介をしていった。
「はい、これでみなさんの紹介は終わりですね。 それで何か質問はありますか」
そう先生がいったので俺は気になったことを聞いてみた。
「あの先生」
「えーとマモルくんでしたね。 なんでしょう?」
「隣、誰もいないんですけど」
「ああ、忘れていました!」
そう驚いたようにいうと、ヤーム先生は俺のとなりへときて、机の上に手に抱えていたノートパソコンをおいて開いた。
「では、自己紹介を」
「え、え、わ、わたしは...... あの、あ、アディ...... エルエです...... よろしく」
「えっ!?」
そのパソコンから聞こえてきたのは紛れもなく、アディエルエの声だった。 誰も言葉を発しないが生徒たちが驚いているのはわかった。
目の前の席のヴァライアも驚いている。
「アディエルエさんは安全上の問題で、このパソコンを通じて授業を受けるので、みなさんお願いしますね。 では授業用のタブレットをお渡ししますね」
そういって、先生はタブレットを配り始める。
「アディエルエ、学校に通うのか......」
「う、うん...... セレンティナに頼んだ......」
「そうか、まあ、よろしくな」
「う、うん......」
俺たちは学園生活をおくることになった。
「おはよう!」
「おはよう! 小森見くん」
俺たちが馬車で王都につくと、ガルムたち三人が王都の入り口でまっていた。
「ああ、おはよう」
「そっちは...... まさか! ヴァライアさまか!」
「ええ!?」
ガルムとラクレイは膝をついた。
「かまわぬ。 一応生徒なのだ。 クラスメートとして接してくれ」
そういわれて、おそるおそる二人はたちあがった。
「あ、私は橘ユウナです」
「ユウナ...... そうかそなたがビーンボカミン様の居候先の者か、ボカミンさまが世話になっている」
ヴァライアが礼をいう。
「いえ、びんちゃんは家族なので、今日もくるっていって駄々こねてたけど......」
橘さんは両手と首を左右にふった。
「まあ、挨拶も終わったから早くいこうぜ」
「ああ、あそこだ。 俺たちが通うゼフォル王立学園は」
そういって、ガルムは入り口から遠くにみえるひときわ大きな建物を指差した。
「あそこか...... かなりでかいな」
「ゼフォル王は病床だが、かなり柔軟な考えをもつ人物らしいな。 こっちの世界と同化したときから、学校を作ろうとしたらしいぜ」
ガルムがそういうと、ラクレイもうなづく。
「かなり外の世界のことを調べてて、科学技術の導入も進めているんだ。 ほら」
ラクレイが指差したのはWi-Fiの基地局だった。
「他の国に先駆けて、早くに取り入れて作ったらしいよ」
「ほお、それでここでもスマホが使えるのか」
ヴァライアは感心している。
「お前は特撮クラブとアニメ動画サイトしかみてないだろ」
「う、うるさい......」
(こんな風に柔軟に取り入れるのか、うちの国は魔法なんかの習得には消極的らしいし、そのうち逆転するんじゃないのか)
「ほら、学園に人が集まってる」
ラクレイがいう。 大勢の制服をきた少年少女たちが歩いている。
「けっこう、魔力が強いものもいるな」
「ああ、多分貴族か、王族だな」
「えっ? そうなの?」
俺とヴァライアが話していると、橘さんが聞いてくる。
「ユウナちゃん、基本的に貴族や王族は魔力が高いんだ」
「そう、だから昔、高い地位につけたんだしな」
「へえ、そうなんだね」
ラクレイとガルムの言葉に橘さんはうなづいた。
「それで、俺たちはどこが教室だろ?」
「私たちは、16才なので学園に入って一階の一番左はしだな」
ヴァライアがそういった。
それから教室で席につく、机が段々におかれており、高校というよりは大学の教室のようだった。 クラスメートは30人ほどで、さまざまな亜人と人間がいる。
俺たちが教室に入ると、クラスメートたちは男女ともに橘さんとヴァライアをみている。
「あの二人かわいくない?」
「うん、すごくかわいいね」
「一人は外の世界の人っぽい」
「おい、あの子話してこいよ」
「いや、お前がいけよ」
そんな声が聞こえる。
俺はヴァライアと橘さんをみた。
(確かに、あんまり意識して見てなかったが、二人ともかわいいな。 目立つのもしかたないか)
そんな時、一人の青い髪の少年が話しかけてきた。
「やあ、僕はルシールよろしく」
そういって、その整った顔で笑いかけてきた。
「ああ、俺はマモルだ。 よろしく」
(こいつかなりの魔力を持っているな)
「マモルか...... 君とあの子は外の世界の人だね」
そういって、少しはなれている橘さんを見ていった。
「ああ、橘さんだ。 外の人間は少ないみたいだな」
「そうだね。 少し残念だ...... 外の人たちから得られるものも多いんだけどね」
「仕方ないだろ。 魔法や剣術は外ではまだ使用できる者も少ないし習得も難しいしな。 魔法を調べてるなんてものずきは学者か暇人だ」
「君はそれをしている......」
そう少しこちらをみすえるようにいった。
「まあ、たまたまこっちの知り合いができたのと、冒険者生活に必要だからかな」
「そうか冒険者か、外の世界の者なのに、なかなか面白いやつだな君は」
「そうかな」
ふふっとルシールは笑いながらさっていった。
(ふむ、なんか気になるなあいつ、気になることといえば...... 俺のとなりの机空いてるな)
俺は窓側の一番後ろの席に座り、誰も座ってない隣の席をみた。
その時、扉が開き一人の女性が大きな荷台に段ボールをのせ、入ってきた。 その赤い髪の若い女性は教壇にたつ。
(あれが先生か若いな......)
「はい、今日からみなさんを、指導することになりました。ヤーム・コールマンです。 ヤーム先生ってよんでください。 それではみなさん一人一人自己紹介してください」
そうおっとりといわれてみな自己紹介をしていった。
「はい、これでみなさんの紹介は終わりですね。 それで何か質問はありますか」
そう先生がいったので俺は気になったことを聞いてみた。
「あの先生」
「えーとマモルくんでしたね。 なんでしょう?」
「隣、誰もいないんですけど」
「ああ、忘れていました!」
そう驚いたようにいうと、ヤーム先生は俺のとなりへときて、机の上に手に抱えていたノートパソコンをおいて開いた。
「では、自己紹介を」
「え、え、わ、わたしは...... あの、あ、アディ...... エルエです...... よろしく」
「えっ!?」
そのパソコンから聞こえてきたのは紛れもなく、アディエルエの声だった。 誰も言葉を発しないが生徒たちが驚いているのはわかった。
目の前の席のヴァライアも驚いている。
「アディエルエさんは安全上の問題で、このパソコンを通じて授業を受けるので、みなさんお願いしますね。 では授業用のタブレットをお渡ししますね」
そういって、先生はタブレットを配り始める。
「アディエルエ、学校に通うのか......」
「う、うん...... セレンティナに頼んだ......」
「そうか、まあ、よろしくな」
「う、うん......」
俺たちは学園生活をおくることになった。
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