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第二十話
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「ボカミンさまが人間とか、ふむ珍しいこともあるものだ」
ヴァライアはうなづく。
俺は昨日のことをヴァライアとアディエルエに伝えにきていた。
「そうなのか」
「ああ、あの方も人となれ合う方ではないからな」
「なんか、橘さんの作った食事が気に入ったようだったぞ。 あとこっちの食い物もな」
「びんちゃん...... たべるの...... すき。 あっ」
アディエルエはゲームをしながらそういった。
「確かに、まあ食べ物が好んでいるなら、暴れることもなかろう」
ヴァライアはそう納得した。
「......暴れるのか」
「うん...... ひとつの町を滅ぼしたこともある...... あっ、まける......」
アディエルエがそういってボタンをむちゃくちゃ押しだした。
(まあ、あの短気さなら、ありうるか)
「取りあえず単純な方だから、怒らせなければ問題なかろう」
「そうだな」
俺は立ち上がる。
「どっかいくの......」
「ああ、今日は橘さんも加えて、遺跡の調査にいく」
「また、あのスケルトンのところか?」
ヴァライアは首をかしげた。
「いや、今回のはこの国からの依頼だ。 この間の依頼達成で俺たちはDランク(アイアン)の冒険者になったからな。 より高度な依頼が受けられるようになったんだ」
「なるほど、冒険者の数が減ってるからな。 それで貴様たちにも依頼がきておるのだろうな」
「そうなのか?」
「ああ、どうやら、世界がひとつになって、交易が盛んになってるから、仕事が増えてるのでな。 冒険者が他の職業につきはじめ、やめているようなのだ」
「なんでだ?」
「シンプルにお金だ。 昔から冒険者になるのは仕事がないようなものたちが多かった。 それだけ危険だからな。 危険をおかさず金がかせげるのに、わざわざ命を懸ける酔狂な者はいない」
ヴァライアはそう当たり前だろうという顔でいう。
(まあ、こっちとの取引も始まってるし、そうか仕事が増えてるのか、こっちは海外との貿易が滞ってるが、景気が悪くないのはそのためか......)
「よっ、お待たせ!」
「必要なもの買ってきたよ」
ガルムとラクレイはそういって近づいてきた。 俺たちは依頼を受け、遺跡のほうへ向かうために合流した。
「ああ、橘さんも大丈夫」
「うん、大丈夫、かなり準備してきたよ」
俺たちは遺跡へと向かった。
「それにしてもビーンボカミンさまが八魔将とはな」
「危なかったね。 最悪殺されてるところだったよ......」
ガルムとラクレイがそう胸を撫で下ろしている。
「ごめんなさい...... びんちゃんはすぐカッとなる性格で、悪い子ではないんだけど......」
申し訳なさそうにいった。
「確かモンスターに教われているのを助けてもらったんだっけ?」
「う、ううん、腹ペコでうちの神社で倒れていたとき、モンスターに襲われてて...... モンスターは私がホウキを振り回したら逃げていったけど」
「ん? 助けてないの? でも神社壊れていたよね」
「あれは腹ペコのびんちゃんが大暴れしただけ」
困った顔で橘さんはいった。
(自分に都合いいこといってんな...... さすがアディエルエの関係者)
「追い出せばいいのに」
「おい! マモル恐ろしいこというなよ!」
「そうだよ! ビーンボカミンさまが世の中にでたほうが大問題だよ!」
二人は頭を抱え怯えながら先にいく。
「いいの、びんちゃんは海外にでて帰ってこれないお母さんの代わりにいつも、私のそばにいてくれるから」
橘さんはそう少し嬉しそうにいう。
「......橘さんはなんで一人で冒険者に、びんちゃんとやればよかったんじゃないのか」
「壊れた神社の修復代と生活費だよ。 氏子の方々が出してくださるといってはいるけど、やっぱり巫女としては自分で直したいので...... でもびんちゃんをつれていくと、多分別の被害がでるので一人でやってたんだ」
そう控えめにはにかんだ。
(ひ、久々にまともな人間をみた。 俺の回りは大抵変人ばかりだからな)
俺は感心した。
ヴァライアはうなづく。
俺は昨日のことをヴァライアとアディエルエに伝えにきていた。
「そうなのか」
「ああ、あの方も人となれ合う方ではないからな」
「なんか、橘さんの作った食事が気に入ったようだったぞ。 あとこっちの食い物もな」
「びんちゃん...... たべるの...... すき。 あっ」
アディエルエはゲームをしながらそういった。
「確かに、まあ食べ物が好んでいるなら、暴れることもなかろう」
ヴァライアはそう納得した。
「......暴れるのか」
「うん...... ひとつの町を滅ぼしたこともある...... あっ、まける......」
アディエルエがそういってボタンをむちゃくちゃ押しだした。
(まあ、あの短気さなら、ありうるか)
「取りあえず単純な方だから、怒らせなければ問題なかろう」
「そうだな」
俺は立ち上がる。
「どっかいくの......」
「ああ、今日は橘さんも加えて、遺跡の調査にいく」
「また、あのスケルトンのところか?」
ヴァライアは首をかしげた。
「いや、今回のはこの国からの依頼だ。 この間の依頼達成で俺たちはDランク(アイアン)の冒険者になったからな。 より高度な依頼が受けられるようになったんだ」
「なるほど、冒険者の数が減ってるからな。 それで貴様たちにも依頼がきておるのだろうな」
「そうなのか?」
「ああ、どうやら、世界がひとつになって、交易が盛んになってるから、仕事が増えてるのでな。 冒険者が他の職業につきはじめ、やめているようなのだ」
「なんでだ?」
「シンプルにお金だ。 昔から冒険者になるのは仕事がないようなものたちが多かった。 それだけ危険だからな。 危険をおかさず金がかせげるのに、わざわざ命を懸ける酔狂な者はいない」
ヴァライアはそう当たり前だろうという顔でいう。
(まあ、こっちとの取引も始まってるし、そうか仕事が増えてるのか、こっちは海外との貿易が滞ってるが、景気が悪くないのはそのためか......)
「よっ、お待たせ!」
「必要なもの買ってきたよ」
ガルムとラクレイはそういって近づいてきた。 俺たちは依頼を受け、遺跡のほうへ向かうために合流した。
「ああ、橘さんも大丈夫」
「うん、大丈夫、かなり準備してきたよ」
俺たちは遺跡へと向かった。
「それにしてもビーンボカミンさまが八魔将とはな」
「危なかったね。 最悪殺されてるところだったよ......」
ガルムとラクレイがそう胸を撫で下ろしている。
「ごめんなさい...... びんちゃんはすぐカッとなる性格で、悪い子ではないんだけど......」
申し訳なさそうにいった。
「確かモンスターに教われているのを助けてもらったんだっけ?」
「う、ううん、腹ペコでうちの神社で倒れていたとき、モンスターに襲われてて...... モンスターは私がホウキを振り回したら逃げていったけど」
「ん? 助けてないの? でも神社壊れていたよね」
「あれは腹ペコのびんちゃんが大暴れしただけ」
困った顔で橘さんはいった。
(自分に都合いいこといってんな...... さすがアディエルエの関係者)
「追い出せばいいのに」
「おい! マモル恐ろしいこというなよ!」
「そうだよ! ビーンボカミンさまが世の中にでたほうが大問題だよ!」
二人は頭を抱え怯えながら先にいく。
「いいの、びんちゃんは海外にでて帰ってこれないお母さんの代わりにいつも、私のそばにいてくれるから」
橘さんはそう少し嬉しそうにいう。
「......橘さんはなんで一人で冒険者に、びんちゃんとやればよかったんじゃないのか」
「壊れた神社の修復代と生活費だよ。 氏子の方々が出してくださるといってはいるけど、やっぱり巫女としては自分で直したいので...... でもびんちゃんをつれていくと、多分別の被害がでるので一人でやってたんだ」
そう控えめにはにかんだ。
(ひ、久々にまともな人間をみた。 俺の回りは大抵変人ばかりだからな)
俺は感心した。
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