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続26. 酩酊(2)
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「可澄、そろそろ出そうだ」
柔らかな髪を撫でながら声をかけると、熱心に男根をしゃぶっていた男は、上目遣いで視線だけをこちらに向けた。
「飲みたいか?」
「ん」
安達は肉棒を咥えたまま、短く返事をした。そこで自分は相手の舌の上に、遠慮なくたっぷりと精液を吐き出した。射精が終わると彼は素直に性器から唇を離し、片手で口を押さえ、至極上品に出されたものを飲み込んだ。そうして一つ満足げな溜め息をつく。その様子が可愛いと思ったので、彼の手を取って指先に唇を押しつけた。
「次は俺がしよう。横になって」
安達は首を傾げた。何を言われているのかよくわからない様子だった。しかしシーツの上に柔らかく押し倒してみると、彼は素直に力を抜いた。そうしてそのまま大人している。自分は背徳感とも罪悪感ともつかない薄暗い興奮に襲われながら、相手の下半身から衣服を剥ぎ取った。露わになった彼の性器は、しっかりと芯をもっている。機嫌を取るように何度か軽く扱いてから、それを口に含んだ。
「うぅ……ん……」
半ば眠っているような、気持ちよさそうな声が耳をくすぐる。だが、精神的に追い込まれることを好む彼にとって、性器を咥えられることは射精に直結する刺激とはならないらしい。そのうち、もうやだ、と可愛くないことを可愛い声で訴え始める。
「俺には飲ませてくれないのか」
性器から口を離して問う。すると安達は自身の目許を腕で擦った。
「……はやくはめて……」
甘えた調子で挿入をねだられて、我ながら呆れるくらいすぐにその気になった。ヘッドボードに置かれた避妊具の箱を手に取り、自身の性器にゴムを装着する。安達は目を閉じていたため、自分が初めて恋人と寝る高校生のように焦った手つきで個包装の袋を破っている姿を見られることはなかった。
ゴムをつけ終えると、やるべきことは一つしか残っていなかった。力の抜けきった脚を掴んで開かせ、太腿に手をかけて尻を浮かせる。準備をしたという言葉どおり、彼の小さな穴は湿っていた。性器の先端を軽く押しつけただけで、綻んで丸呑みしようとする。酒で身体全体が緩んでいるのだろう。いつもより肌も熱く、鎖骨の下までめくられたシャツから零れた乳首は、先ほど散々弄ったことを差し引いても異様に赤い。
あまり性急に事を運ぶと、アルコールが入った身体にはきついだろう。時間をかけて楽しむことに決め、自分は焦りを抑えてゆっくりと腰を進めた。ゴムに覆われた太い亀頭を、濡れた穴が懸命に口を開いて受け入れていく。異物が侵入してくる感覚にはやはりそれなりに苦しさがあるようで、安達は顔を横に傾けて微かに呻いた。その様子は酔いにつけ込まれて無理やり犯されているように見えなくもない。今夜はどろどろに甘やかすはずが、泣かせてしまいそうになっていることに気づき、自分は一人で頭を振った。これではいけない。だからある程度まで嵌め終えると、労わるように彼の腰や腹を撫でた。
「よしよし、上手に咥えたな。きつかっただろう、よく頑張った。可澄は世界一いい子だ」
甘い言葉を並べ、機嫌を取る。すると彼も少し圧迫感が和らいだのだろう、苦しそうだった呻き声がしっとりとした吐息に変わった。柔らかな粘膜が肉棒に吸いついてくるのが、ゴム越しでも伝わってくる。一度射精しておいてよかったと思いながら、自分は彼の腰を抱え直した。
「可澄、今日は浅いところを擦るのと深いところを突くの、どっちがいい」
相手の好きな攻め方をするつもりで優しく訊ねた。だが安達は返事をしなかった。びくりと身体を震わせて、実に物欲しそうに蕾を収縮させる。もう何が何だがわかっていないのかもしれない。仕方がないので自分は上体を前に倒し、彼の顔に自らの顔を寄せた。弾みで奥を軽く抉ってしまい、安達の身体に僅かに力が入る。
「っ、く……ぅ……」
「可澄」
名前を呼び、目を開かせる。青みがかった白目と、捉えどころのない色の光彩と、底の知れない瞳孔。そんな美しい眼球に自らの影が落ちているのを認めるだけで、セックスの最中であるにも拘らず、何か崇高な奇跡に遭遇しているような気持ちになる。
「……ん……」
「キスしていいか」
少しでも嫌がる素振りを見せられれば、潔く引き下がるつもりだった。しかし彼は薄く唇を開いた。そこで遠慮なく舌を突っ込み、自分の精液の味が残る相手の口を貪った。繋がったまま深い口づけをしていると、それまで力が抜けて溶けきっていた彼の腰が、焦れたように微かに動き始める。下品な音をたてて相手の唇を吸ってから、自分は彼の顔を覗き込んでもう一度訊ねた。
「浅いところと深いところ、どっちがいいんだ」
彼は瞬きした。下睫には結露のように涙の雫が溜まっていて、瞼が下りるたびその小さな水滴は危うく震えた。
「……ふかいの……」
自分は肯く代わりに雫を舐め取り、既に奥に収まっていた性器を更に深い部分へと進ませた。淫らなわりに何処か成熟しきっていない印象を与える肉を、カリで優しく解すように突いてやる。安達は少しの間切なげに喘いでいたが、やがて切羽詰まった調子でこちらの手首を掴んだ。
「ち……ちくび……ちくびも、して」
恐ろしく欲望に忠実な言葉に、思わず苦笑が漏れる。
「まんこを突かれながらおっぱいも弄られたいのか。いやらしい子だ」
すると安達は濡れた目でこちらを見つめた。
「…………だめ……ですか……?」
反射的に、自分は彼の首筋に噛みついた。そうでもしなければ射精してしまいそうだった。何もかも、硝子の瞳と吐息に紛れかけた微かな声のせいだ。安達は噛みつかれるとは思っていなかったようで、小さく悲鳴を上げて身を竦ませた。こうなると、性欲は食欲と区別がつかない。自分は彼の白い肌に歯を立てたまま、平たい胸をまさぐった。腫れ上がった乳首は恐ろしく容易に見つかる。指先で弾いてやると、安達は猫のように喉の奥で唸って蕾を窄めた。
「奥に嵌めたまま乳首を捏ねてあげるから、中で上手にいってごらん。可愛くいけたら、今度は後ろから嵌めて胸を揉みながらいかせてあげよう」
それは特に意味のある台詞ではなかった。安達が可愛らしく達さなかったことなど、過去に一度もない。いってみれば彼を興奮させるためだけの言葉だ。そして安達はというと狙いどおり興奮したようで、上手にいく、とあまり回らない舌で子供のようにこちらの言葉をなぞり、既に開いていた股を更に開いた。
ここまで協力的な姿勢を取られてしまうと、こちらも行為で誠意を見せなければならない。彼の望みどおり、小刻みに腰を動かして最奥を穿ち、膨れた乳首を指の間で挟んで捏ねる。
「本当に可澄の乳首は助平だな、また膨らんだんじゃないか。最初はあるのかないのかわからないくらいだったのに、俺に抱かれるようになってから随分大きくなった」
「い、あ、あぁっ」
指に力を込めて乳首を押し潰すと、淫らな男は身体を震わせた。結合部がぎりぎりと締まり、強い快感にこちらの下腹部も震える。射精したいという欲求をやり過ごしてから、相手の首筋につけた真新しい歯型を見下ろして一息つくと、自身の顎先から滴った汗が、彼の滑らかな皮膚の上にぽとりと落ちた。たいしたことではないのに、その光景に妙に心を揺さぶられた。揺れた心に生じているのは強い感情――恐らくは強烈な多幸感だ。
「上手に中でいけたな。顔も声もすごく可愛い。こんなに可愛い恋人を抱けるなんて、俺は世界で最も恵まれた人間だ。宇宙に感謝しなければならない」
彼の頬を撫でて思いつくまま喋り続けた。多少知性に欠けていても、とにかく甘い言葉をかけたかった。安達も気をよくしたようで、息を乱したままこちらの掌に顔を擦りつけてくる。まるで人に慣れた猫のような甘え方だ。そのまま思考停止して頬を撫で続けていると、突然彼は顔を擦りつけるのをやめ、閉じていた目を開いた。
「どうした?」
「……うしろは……?」
約束を履行しろ、ということらしい。自分は切断していた思考を再接続し、しっかりと肯いた。うっかり気をやってしまわぬよう慎重に彼の体内から性器を引き抜き、紅潮したその耳に唇を寄せる。
「横向きになってごらん。寝たまま嵌める方が可澄は楽だろう」
安達は、うう、と呻いて微かに震えた。腰が砕けて自力では動けないのか、それともただ単に甘えたいのか、にわかには判断がつかない。しかし実のところ、判断する必要など何処にもなかった。自分は彼の身体を横に倒すと、自らもその背後に身を寄せ、すっかり開いた秘所に再び性器を咥えさせた。そうして後ろから手を回し、脂肪の欠片もない胸を強引に揉む。
「乳首は随分成長したが、これで胸まで大きくなったらどうしようか」
「っく…………ならな、い……っ」
「そうだな、別に大きくならなくていい。俺は今の可澄の胸が好きだから」
「……ぁ……うぅ」
気が済むまで胸をまさぐってから、人差し指で乳頭を嬲り、相手の尻に腰を打ちつける。暫くすると自分も射精したくなったので、挿入したまま彼をうつ伏せにしてその上に覆い被さると、好き放題抉られてぐったりした安達の身体の脇に手をついた。
「もうおまんこを大きいのでごりごりされるのは嫌だよな。白いの出したら小さくなるから、あと少し、ごめんな」
自分でもどうかと思うほど気持ちの悪い声が出た。いいことをするはずが、最早完全に悪いことになっている。だがそこは安達の安達たる所以で、気持ちの悪い声に性的興奮を覚えたらしく、こちらの性器を締めつけて歓喜を表した。
「本当によく締まるな……チンポが大好きだって締め方だ」
「ひ……っ、ん、あ、ぅあっ」
我慢するつもりはなかった。身体を前後に揺らして彼の内側を味わってから、自分は今夜二度目の射精をした。
ゴムを使っていたため、後始末は比較的簡単だった。安達はセックスが終わると同時に眠り込んでしまったため、自分は一人で軽くシャワーを浴び、水の入ったグラスを持ってベッドに戻った。
「……本当に酔っ払っていたのか?」
安らかな寝顔を眺め、呟くように訊ねてみる。答えはもちろんない。きっと彼自身にもわかっていないだろう。
「いずれにせよ、俺はお前には永遠に敵わないな」
指を伸ばし、まだ湿り気の残る睫をそっと撫でる。眠る男はくすぐったそうな顔をした。自分はグラスを干してヘッドボードに置き、彼と同じ夢に潜り込むべくベッドに入った。
柔らかな髪を撫でながら声をかけると、熱心に男根をしゃぶっていた男は、上目遣いで視線だけをこちらに向けた。
「飲みたいか?」
「ん」
安達は肉棒を咥えたまま、短く返事をした。そこで自分は相手の舌の上に、遠慮なくたっぷりと精液を吐き出した。射精が終わると彼は素直に性器から唇を離し、片手で口を押さえ、至極上品に出されたものを飲み込んだ。そうして一つ満足げな溜め息をつく。その様子が可愛いと思ったので、彼の手を取って指先に唇を押しつけた。
「次は俺がしよう。横になって」
安達は首を傾げた。何を言われているのかよくわからない様子だった。しかしシーツの上に柔らかく押し倒してみると、彼は素直に力を抜いた。そうしてそのまま大人している。自分は背徳感とも罪悪感ともつかない薄暗い興奮に襲われながら、相手の下半身から衣服を剥ぎ取った。露わになった彼の性器は、しっかりと芯をもっている。機嫌を取るように何度か軽く扱いてから、それを口に含んだ。
「うぅ……ん……」
半ば眠っているような、気持ちよさそうな声が耳をくすぐる。だが、精神的に追い込まれることを好む彼にとって、性器を咥えられることは射精に直結する刺激とはならないらしい。そのうち、もうやだ、と可愛くないことを可愛い声で訴え始める。
「俺には飲ませてくれないのか」
性器から口を離して問う。すると安達は自身の目許を腕で擦った。
「……はやくはめて……」
甘えた調子で挿入をねだられて、我ながら呆れるくらいすぐにその気になった。ヘッドボードに置かれた避妊具の箱を手に取り、自身の性器にゴムを装着する。安達は目を閉じていたため、自分が初めて恋人と寝る高校生のように焦った手つきで個包装の袋を破っている姿を見られることはなかった。
ゴムをつけ終えると、やるべきことは一つしか残っていなかった。力の抜けきった脚を掴んで開かせ、太腿に手をかけて尻を浮かせる。準備をしたという言葉どおり、彼の小さな穴は湿っていた。性器の先端を軽く押しつけただけで、綻んで丸呑みしようとする。酒で身体全体が緩んでいるのだろう。いつもより肌も熱く、鎖骨の下までめくられたシャツから零れた乳首は、先ほど散々弄ったことを差し引いても異様に赤い。
あまり性急に事を運ぶと、アルコールが入った身体にはきついだろう。時間をかけて楽しむことに決め、自分は焦りを抑えてゆっくりと腰を進めた。ゴムに覆われた太い亀頭を、濡れた穴が懸命に口を開いて受け入れていく。異物が侵入してくる感覚にはやはりそれなりに苦しさがあるようで、安達は顔を横に傾けて微かに呻いた。その様子は酔いにつけ込まれて無理やり犯されているように見えなくもない。今夜はどろどろに甘やかすはずが、泣かせてしまいそうになっていることに気づき、自分は一人で頭を振った。これではいけない。だからある程度まで嵌め終えると、労わるように彼の腰や腹を撫でた。
「よしよし、上手に咥えたな。きつかっただろう、よく頑張った。可澄は世界一いい子だ」
甘い言葉を並べ、機嫌を取る。すると彼も少し圧迫感が和らいだのだろう、苦しそうだった呻き声がしっとりとした吐息に変わった。柔らかな粘膜が肉棒に吸いついてくるのが、ゴム越しでも伝わってくる。一度射精しておいてよかったと思いながら、自分は彼の腰を抱え直した。
「可澄、今日は浅いところを擦るのと深いところを突くの、どっちがいい」
相手の好きな攻め方をするつもりで優しく訊ねた。だが安達は返事をしなかった。びくりと身体を震わせて、実に物欲しそうに蕾を収縮させる。もう何が何だがわかっていないのかもしれない。仕方がないので自分は上体を前に倒し、彼の顔に自らの顔を寄せた。弾みで奥を軽く抉ってしまい、安達の身体に僅かに力が入る。
「っ、く……ぅ……」
「可澄」
名前を呼び、目を開かせる。青みがかった白目と、捉えどころのない色の光彩と、底の知れない瞳孔。そんな美しい眼球に自らの影が落ちているのを認めるだけで、セックスの最中であるにも拘らず、何か崇高な奇跡に遭遇しているような気持ちになる。
「……ん……」
「キスしていいか」
少しでも嫌がる素振りを見せられれば、潔く引き下がるつもりだった。しかし彼は薄く唇を開いた。そこで遠慮なく舌を突っ込み、自分の精液の味が残る相手の口を貪った。繋がったまま深い口づけをしていると、それまで力が抜けて溶けきっていた彼の腰が、焦れたように微かに動き始める。下品な音をたてて相手の唇を吸ってから、自分は彼の顔を覗き込んでもう一度訊ねた。
「浅いところと深いところ、どっちがいいんだ」
彼は瞬きした。下睫には結露のように涙の雫が溜まっていて、瞼が下りるたびその小さな水滴は危うく震えた。
「……ふかいの……」
自分は肯く代わりに雫を舐め取り、既に奥に収まっていた性器を更に深い部分へと進ませた。淫らなわりに何処か成熟しきっていない印象を与える肉を、カリで優しく解すように突いてやる。安達は少しの間切なげに喘いでいたが、やがて切羽詰まった調子でこちらの手首を掴んだ。
「ち……ちくび……ちくびも、して」
恐ろしく欲望に忠実な言葉に、思わず苦笑が漏れる。
「まんこを突かれながらおっぱいも弄られたいのか。いやらしい子だ」
すると安達は濡れた目でこちらを見つめた。
「…………だめ……ですか……?」
反射的に、自分は彼の首筋に噛みついた。そうでもしなければ射精してしまいそうだった。何もかも、硝子の瞳と吐息に紛れかけた微かな声のせいだ。安達は噛みつかれるとは思っていなかったようで、小さく悲鳴を上げて身を竦ませた。こうなると、性欲は食欲と区別がつかない。自分は彼の白い肌に歯を立てたまま、平たい胸をまさぐった。腫れ上がった乳首は恐ろしく容易に見つかる。指先で弾いてやると、安達は猫のように喉の奥で唸って蕾を窄めた。
「奥に嵌めたまま乳首を捏ねてあげるから、中で上手にいってごらん。可愛くいけたら、今度は後ろから嵌めて胸を揉みながらいかせてあげよう」
それは特に意味のある台詞ではなかった。安達が可愛らしく達さなかったことなど、過去に一度もない。いってみれば彼を興奮させるためだけの言葉だ。そして安達はというと狙いどおり興奮したようで、上手にいく、とあまり回らない舌で子供のようにこちらの言葉をなぞり、既に開いていた股を更に開いた。
ここまで協力的な姿勢を取られてしまうと、こちらも行為で誠意を見せなければならない。彼の望みどおり、小刻みに腰を動かして最奥を穿ち、膨れた乳首を指の間で挟んで捏ねる。
「本当に可澄の乳首は助平だな、また膨らんだんじゃないか。最初はあるのかないのかわからないくらいだったのに、俺に抱かれるようになってから随分大きくなった」
「い、あ、あぁっ」
指に力を込めて乳首を押し潰すと、淫らな男は身体を震わせた。結合部がぎりぎりと締まり、強い快感にこちらの下腹部も震える。射精したいという欲求をやり過ごしてから、相手の首筋につけた真新しい歯型を見下ろして一息つくと、自身の顎先から滴った汗が、彼の滑らかな皮膚の上にぽとりと落ちた。たいしたことではないのに、その光景に妙に心を揺さぶられた。揺れた心に生じているのは強い感情――恐らくは強烈な多幸感だ。
「上手に中でいけたな。顔も声もすごく可愛い。こんなに可愛い恋人を抱けるなんて、俺は世界で最も恵まれた人間だ。宇宙に感謝しなければならない」
彼の頬を撫でて思いつくまま喋り続けた。多少知性に欠けていても、とにかく甘い言葉をかけたかった。安達も気をよくしたようで、息を乱したままこちらの掌に顔を擦りつけてくる。まるで人に慣れた猫のような甘え方だ。そのまま思考停止して頬を撫で続けていると、突然彼は顔を擦りつけるのをやめ、閉じていた目を開いた。
「どうした?」
「……うしろは……?」
約束を履行しろ、ということらしい。自分は切断していた思考を再接続し、しっかりと肯いた。うっかり気をやってしまわぬよう慎重に彼の体内から性器を引き抜き、紅潮したその耳に唇を寄せる。
「横向きになってごらん。寝たまま嵌める方が可澄は楽だろう」
安達は、うう、と呻いて微かに震えた。腰が砕けて自力では動けないのか、それともただ単に甘えたいのか、にわかには判断がつかない。しかし実のところ、判断する必要など何処にもなかった。自分は彼の身体を横に倒すと、自らもその背後に身を寄せ、すっかり開いた秘所に再び性器を咥えさせた。そうして後ろから手を回し、脂肪の欠片もない胸を強引に揉む。
「乳首は随分成長したが、これで胸まで大きくなったらどうしようか」
「っく…………ならな、い……っ」
「そうだな、別に大きくならなくていい。俺は今の可澄の胸が好きだから」
「……ぁ……うぅ」
気が済むまで胸をまさぐってから、人差し指で乳頭を嬲り、相手の尻に腰を打ちつける。暫くすると自分も射精したくなったので、挿入したまま彼をうつ伏せにしてその上に覆い被さると、好き放題抉られてぐったりした安達の身体の脇に手をついた。
「もうおまんこを大きいのでごりごりされるのは嫌だよな。白いの出したら小さくなるから、あと少し、ごめんな」
自分でもどうかと思うほど気持ちの悪い声が出た。いいことをするはずが、最早完全に悪いことになっている。だがそこは安達の安達たる所以で、気持ちの悪い声に性的興奮を覚えたらしく、こちらの性器を締めつけて歓喜を表した。
「本当によく締まるな……チンポが大好きだって締め方だ」
「ひ……っ、ん、あ、ぅあっ」
我慢するつもりはなかった。身体を前後に揺らして彼の内側を味わってから、自分は今夜二度目の射精をした。
ゴムを使っていたため、後始末は比較的簡単だった。安達はセックスが終わると同時に眠り込んでしまったため、自分は一人で軽くシャワーを浴び、水の入ったグラスを持ってベッドに戻った。
「……本当に酔っ払っていたのか?」
安らかな寝顔を眺め、呟くように訊ねてみる。答えはもちろんない。きっと彼自身にもわかっていないだろう。
「いずれにせよ、俺はお前には永遠に敵わないな」
指を伸ばし、まだ湿り気の残る睫をそっと撫でる。眠る男はくすぐったそうな顔をした。自分はグラスを干してヘッドボードに置き、彼と同じ夢に潜り込むべくベッドに入った。
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