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続1. 朝
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朝が来たことに気づくよりも、脇腹の辺りにぴたりとくっついた温かな塊を認識する方が、いくらか早かった。
瞼を開く前に、その心地よい塊に手を伸ばす。柔らかな髪の毛や、ひどく露わな頸椎や、布越しでも骨が浮いていることがわかる薄い背中の、何処か不安定で危うい感触を、目を閉じたまま繰り返し確かめる。
しつこく触り続けていると、塊が小さく唸った。
「ぅー……」
擦り寄ってくるそれを腕の中に押し込んでから、ゆっくりと目を開く。
これまで生きてきた中で、最も完璧な目覚めだった。
安達の台所は、笑ってしまうほど閑散としていた。
どうやら彼は本当に料理をしないらしい。棚に置かれた電子レンジには使われた形跡があったが、炊飯器は存在すらしていないようだった。料理はしなくてもコーヒーを淹れる習慣はあるようで、意外に立派なコーヒーメーカーがレンジの脇に鎮座していた。
自分の部屋に戻り、二人分の朝食を用意してもよかった。けれど彼が起きたとき傍にいたかったので、コーヒーを淹れて待つことにした。冷蔵庫を開けると、几帳面に密封されたコーヒー豆の袋が収まっている。そのほかは、予想どおり全て飲み物だった。
彼が起きたら自分の部屋に連れ込んで、餌付けしてしまおう。そんなことを考えながら、ラックからマグカップを取る。完全に下心しかないが、そのことに疾しさを覚えるには、自分は彼にのめり込みすぎていた。
大きさも柄も違う二つのカップ。まるで彼と自分のようだ。
コーヒーメーカーの立てる微かな音だけが、午前七時の空気を揺らす。何処までも穏やかな時間だ。しかしどうしても落ち着かない。
さっきまで同じベッドに寝ていたはずなのに、もう彼の肌に触れたがっている自分がいる。
だから湯気の立つカップを二つテーブルに並べ終えると、真っ直ぐ寝室に戻った。
「可澄」
ベッドの上の男は、先ほどと同じような姿勢で横たわっている。
「可澄。……可澄」
何度か声をかけても、安達は目を覚まさなかった。瞼と唇をしっかりと閉じて、懸命に見えるほど深く眠っている。
恐らく昨夜の疲れのせいだろう。休日なのだから、このまま寝かせておいてやればいい。頭では、わかっていた。
「――可澄」
毛布から僅かに覗く首筋に、人差し指でそっと触れた。皮膚の滑らかさと、その下を通う血の温もり。もっと味わいたくなって、つい毛布をみぞおちの辺りまでずらしてしまう。すると、柔らかそうな寝巻に包まれた、薄い身体が現れた。そのあまりに無防備な展望に、潤したはずの渇きが戻ってくる。
「……ん」
心地よい被膜を剥ぎ取られたせいか、安達は眉間に浅く皺を刻んだ。こちらへ寝返りを打って、肩を縮める。その様子が気に入ったので、服の裾から手を入れた。内臓脂肪も皮下脂肪も足りていない、平べったい腹を撫でてみる。恐らくこの中にはまだ、掻き出しきれなかった自分の精液の残滓が留まっている。
「可澄」
腹を摩られるのが気持ちよいらしい。安達の表情が穏やかなものになる。しかし一向に起きる気配がない。だから首筋に顔を寄せた。シャンプーとボディソープの香りがする。その何処までも清潔な匂いに、しかし、欲を覚えた。我慢することを早々に放棄して、細い喉に舌を這わせる。くすぐったいのか、彼は小さく唸って首を竦めた。そんな非協力的な態度に、ますます引き下がれなくなる。片手で腹を撫でて機嫌を取りながら、もう一方の手でゆっくりと上衣のボタンを外していく。やがて、吸われた痕が赤く残る、白い胸が露わになった。
「……起きないと、また虐めるぞ」
まだ腫れの引ききっていない乳首に、中指でそっと触れた。そのまま小さな円を描くように指を動かす。少し硬くなったところで、摘み上げて指の間で転がした。小さな粒がぽってりと硬く膨らむまで、さほど時間はかからなかった。
「ぁ……ん……」
少しずつ、胸の上下する間隔が狭くなる。弄っていない方の乳首を優しく吸ってやると、吐息はあからさまに甘くなった。体温も上がり始めたのか、肌の触れ合った部分が、徐々にしっとりとしてくる。可哀想になったので、毛布を完全に取り去ってやった。すると、朝の生理現象なのか、それとも乳首を弄られて催したのか、彼のものが僅かに持ち上がっているのがわかった。堪らなかった。
彼のズボンと下着を引き下ろし、脚から抜いて床に放った。さすがに安達も異変に気づいたのか、睫が震えて目が開きそうになる。しかし封をするように瞼に唇を押しつければ、それで簡単に誤魔化されてしまうあたり、まだ覚醒は遠いらしい。
ローションを取るためにヘッドボードに目をやると、コンドームの箱が視界に入った。次はゴムを使えという安達の言葉が蘇る。少し考えてから、手に取って開封した。欲しがりの安達のことだから、起きているときに抱こうとすれば、最終的に中出しを強請られるのは目に見えている。せっかく彼が自分に抱かれるために用意したものなのだ。一度くらい使っておきたい。
ベッドに上がり、横向きに寝ている彼の脚の間に、ローションで濡らした指を差し込む。ぴたりと閉じたそこを湿らせるために撫でていると、やがて焦れたような甘い鳴き声が聞こえてきた。見れば、さっきまで脱力して投げ出されていた手が、今はシーツを握っている。今まで寝たふりをしていたのだろうかと顔を覗き込んでみたが、しかし彼は吐息を漏らすだけだった。もしかしたら、抱かれる夢でも見ているのかもしれない。上品といってよいくらいすっきりとした性器を握って緩く扱いてみると、安達は身体を丸め、母親から引き離された猫の子供みたいな声を上げた。
「入れていいか」
返事はない。だから承諾は事後に得ることにした。我ながら下衆だと思うが、止められない。恋愛もセックスも淡白だったはずが、いったい自分に何が起きたのだろう。
自身の性器にゴムをつけ、ローションを塗りたくる。自ら擦る必要もないほど、それは見事に勃ち上がっていた。
「入れるぞ」
横を向いている彼の片脚を掴んで持ち上げ、あまり解していない部分を暴く。昨夜性器の代わりにされて散々荒らされた場所は、縁が赤らんで僅かに腫れていた。塗られたローションが、まるで泣いているように映る。限界だった。
「い、あぁっ」
力任せに突き入れると、安達は悲鳴を上げた。かなりきつく締めつけてくる。あれだけ執拗に犯されたのだからまだ緩んでいるだろうと踏んでいたのだが、どうやら考えが甘かったようだ。
漸く目を開けた安達は、事態を把握できていないようで、頻りに瞬きを繰り返していた。下睫には小さな水滴が溜まっている。不意打ちで抉られた襞は、侵入した異物に対し完全に怯えて震えていた。表情も体内の反応も、これ以上のセックスは無理だと語っているようだった。
「痛いか」
囁くように問いかけると、安達はこくりと肯いた。目許を手の甲で擦り、苦しげに息を吐く。セックスはここまでにしよう、そう思って腰を引くと、しかし柔らかな粘膜がきゅうと吸いついてきた。
「ん、や」
嫌がるような声だった。見れば、彼は唇を噛んで震えている。ゆっくりと引き抜く動きを再開すると、すんなりとした腿が強張った。先程まで中途半端に勃起していた彼のものは、今や上向いて先端に透明な液を滲ませていた。
「……くぅ……ん……」
突っ込んだものを抜いて痛む場所を優しく慰めてやり、頭を撫でてあやしながらコーヒーを飲ませてやる、という選択肢は、生じる前に消えた。
彼が混乱しているうちに快楽で押し流して、とろとろにして食ってしまおう。
決心してしまえば行動は早かった。挿入したままの状態で、後ろから抱き上げる。無茶なことをしたのでこちらも少し痛みがあったが、安達の苦痛はその比ではなかったらしく、ただでさえ小さな穴は、食いちぎるつもりなのではないかと思うほどきつく窄まった。
「ほら、もう大丈夫だから」
膝の上に乗せて、抱き締めてやる。彼はしがみつくように回された腕を抱き返した。
「まだ痛いか」
果実のように赤くなった耳殻に向かって訊ねると、安達はさっきと同じように肯いた。
「でも、痛いだけじゃないよな。痛いだけならこんなふうにはならないもんな」
だらしなく涎を垂らした性器を指で弾くと、彼の中がひどく狭くなった。
「朝からこんなに濡らして、恥ずかしい子だ」
健気なほど股間を膨らませ、彼は睫の先から雫を零した。硝子じみた滑らかな腹に、雨粒のような涙がぽたぽたと落ちては流れていく。まだ泣かさずに抱くことのできない自分に腹立たしさを覚えつつ、しかしもし抱いても彼が泣かなければ、きっと泣くまで犯すだろうということも、同時に自覚していた。全く救いようがない。
「さあ可澄。起きてすぐ嵌められた気分はどうだ? 正直に言ってごらん」
ボディソープの匂いのする肌を舐めながら、臍の下辺りを丸く撫でてやる。
「正直に言えば、ご褒美だ。嘘をついたら、もちろんお仕置きだが」
安達は泣きながら考えているようだった。恐らく、ご褒美とお仕置きを天秤にかけているのだ。二度目に寝たとき感じたことだが、彼はセックスの際、完全に理性を放擲しているように見えて、実は案外計算高く動いている。きっと自らの欲望に対し、ひたむきなまでに忠実なのだろう。そして自分は彼のそういうところさえ、可愛いと思ってしまった。だから行為の主導権は、最終的に彼に移らざるをえない。
仕方ないので、つんと自己主張している乳首を撫で、優しく訊ねた。
「可澄はご褒美とお仕置き、どっちが欲しいんだ」
「ひぁ……、ふ…………お、おしお、き……」
「虐められるのがそんなに好きなのか。さすがマゾだ」
安達が望むものなら、何だって与えるつもりだ。自分が望むものを、彼は全て持っているのだから。
ふっくらした乳首を摘み上げると、すり潰すように指の間で擦る。微かに痙攣する身体があからさまに快楽を訴えてくるので、限界間近と思しき性器を握って締め上げた。
「あうぅっ」
「お仕置きなんだから、お前が先にいくのは駄目だろう。まったく、無理やり嵌められたのにすぐにまんこを蕩かせて、とんだ淫乱だ」
「うぅー……ご……ごめんなさ……ん、んんっ」
「だらだら汁を垂らしながら謝られてもな。ここを縛ってドライでいかせてやろうか」
安達はいやいやと首を横に振った。だから性器を手荒く扱き、噛みつくように低く命じた。
「出していきたかったら、可澄はまんこにずっぽり咥え込むのが好きな淫乱ですって言ってみろ」
安達は沈黙した。睫が忙しなく動く。しかし呆気なく欲望に負けたらしく、口を開いた。
「かすみは……おまんこに……しゅ……ごさんのおちんちん……ずっぽり、くわえこむのが……だ……だいすきな……いんらんです……」
何か単語が増えているような気がしたが、可愛いので咎めないことにした。
「いい子だ」
そのまま手の動きを加速させると、簡単に蜜が噴き出した。
「水みたいだな」
零れたものを指ですくい、先端に塗り込める。柔らかくなったそれは、もう硬くなる兆しがなかった。本人も限界らしく、ぶるぶる震えながら懸命に逃げ出そうとしている。
「……も……もう、ぬいて……おろして……」
だが、逃がすわけにはいかなかった。
「自分だけいって終わりにするつもりか」
「……でも…………あそこ、こわれ……」
「あそこ? まんこだろ。可澄のまんこがどうなるって?」
「あうぅーっ」
「壊れるくらいしてほしいのか?」
「や、やっ」
「嫌なら少し緩めたらどうだ。こんなに吸いつかれたら、期待しているとしか思えない」
セックスに対する欲望はかなり強いものの、肝心のスタミナがないため、貪欲にねだってみてもすぐに泣きを入れてしまう愚かな男が、可哀想で可愛くて仕方ない。
腰を掴んで上下に動かすと、安達は身体を反らして鳴いた。
「いってほしいか?」
「っ……い、いって、くださ……いぁっ」
「まだ当分いきそうにないな。お前がエロく煽れば、もしかしたら少しは早くなるかもしれないが」
「ん、くぅ……」
「可澄」
どうする、と囁いて、首筋を吸った。赤い痕が、また一つ増える。実家に行くときは自分が彼の服を選ぼう、と思った。安達のことだから、放っておくとうっかり首回りのあいた服を着て行きそうだ。彼の母親としても、首にキスマークをつけた息子と、それをつけた張本人とが並ぶ光景は、さすがに生々しすぎて見たくないだろう。
そんなことを考えていると、安達は本当に我慢ができなくなったらしく、自分で腰を振り始めた。
「……か、かすみの、いやらしいおまんこで、いっ、て……おねがい、いって、いって……」
ローションまみれの襞が、ジュブジュブと音を立てて肉棒を食む。これほど気持ちのよい場所に長居ができないことを残念に思いながら、しかし射精のための動きに切り替えることに決めた。これ以上無理をさせると、きっと明日が辛いだろう。もう手遅れかもしれないが。
「そんなに言うなら、いってやる」
彼の薄い上半身をベッドに倒し、腰を上げさせる。そのまま犬のように後ろから犯した。容赦なく突き上げ、まだあまり開発できていない最奥を抉る。快感よりも痛みが優っているはずなのに、それでも安達の声は甘かった。
「あ、あっ、い、いい……っん、い、……ひぁ、あ、ああぁっ」
「く……っ」
全てを収めた状態で、射精した。ゴムを使っているので中には出ていないはずなのに、粘膜が精液を欲しがるように蠢動する。その動きを充分楽しんでから、自身の性器を柔らかな場所から引きずり出した。
「最高だ」
ずるりとシーツの上に落ちた腰を軽く撫で、ゴムの処理をする。それからもう一度褒めるためにベッドに視線を戻すと、彼は腕を身体の下に敷いた不自然な体勢のまま、ぐったりしていた。
「……可澄?」
不安を覚え、顔を覗く。不安はすぐに、安堵と呆れに取って代わった。
彼は非常に安らかな表情を浮かべ、ぴたりと瞼を閉じていた。
どうやら、再び眠ってしまったらしい。
「――さて、どうするかな」
腕の中に、温かな塊。
「……さん。……ひかわさん」
耳朶に、柔らかく息が触れる。気持ちがよいのでそのままにしていると、遠慮がちに肩をつつかれる。
「樋川さん」
目を開けて首を傾ける。すぐ傍に、硝子玉の瞳がある。
首を抱いて唇を寄せると、瞼が静かに下りた。薄い肉にそっと口づける。
「――おはよう、可澄」
本日二度目の完璧な目覚めだった。
「…………おはようございます……あの」
やや乱れた髪を指で梳いてやっていると、安達は何か言いたそうに言葉を途切れさせた。
「どうした」
顔を覗き込んで穏やかに問いかける。途端に安達の視線は迷走した。春先の蕾のように、頬が淡く色づく。
「ええと……えっと……その……」
「ん?」
「……気のせいかもしれないんですが……さっき、俺に、何かしましたか……?」
「何かって?」
安達はでたらめな図形を引くように視線を動かしていたが、やがて小さな声で、やっぱりいいです、と言った。どうやら彼は朝の一件を、はっきりと記憶していないらしい。身体には異物を挿入されたような感覚が濃厚に残っているのに、セックスした痕跡が見当たらないので戸惑っているのだろう。ゴムを使ったので中出しはしなかったし、安達が寝ているうちに体液を全て拭き取り、服も元通りに着せてやったから、仕方のないことではある。
「なんだ。変な夢でも見たのか」
何食わぬ顔でそう訊ねると、安達は真っ赤になってしまった。
「だいぶ寝坊したな。そろそろ起きるか」
宥めるように頭を撫でて告げる。いたたまれない、と顔に書いたまま、安達は無言で肯いた。
このまま誤魔化してしまえそうだと考えていたのだが、しかしさすがの安達も、そこまで抜けてはいなかったらしい。
二人で寝室を出ると、安達は途中でぴたりと足を止め、眉をひそめた。その目は、テーブルの上の二人分のコーヒーに向けられている。彼は何も言わずにテーブルへ直行し、マグカップの表面に触れた。それが既にすっかり冷えていることは、用意した本人である自分には、確認するまでもなくわかっていた。
じっとりとした視線が、こちらに注がれる。
「……これ、いつ淹れたんですか」
「四時間くらい前だな」
嘘をついても仕方ないので正直に答えると、硝子の目が据わった。
「……樋川さん、もしかして」
「悪かった。もう寝ているときに悪戯はしない。完全に起こしてからにする」
「…………反省、してないですよね」
見透かされている。これは話題を変えて、ひたすら機嫌を取るほかないだろう。
「朝――いや、昼飯は何がいいか? 可澄が食べたいものを作ってやる。肉でも魚でも、和食でも洋食でも中華でも」
無機質なほど冷たい視線が、しかし、妙に心地よかった。だがそれを告げると安達の目が更に軽蔑の色を増しそうだったので、頬を撫でて優しく訊ねる。
「何が食べたいんだ、可澄」
安達は依然として凍った眼差しをこちらに向けていたが、暫くすると溜め息をついた。
「……ごはんと味噌汁と卵焼き」
自分は相当安達に甘いが、安達も安達でだいぶ甘い。
「鰤の塩焼きもつける」
すると彼は数回瞬きした。そしてふわりと笑みを浮かべる。起き抜けに目にするには、あまりにも眩しい微笑。
「……鰤はすごく、すごく好きです」
鰤と俺のどっちが好きなんだ、と言いかけそうになる程度には、熱のこもった言い方だった。
切り身風情に負けるわけにはいかない。食事をしたらもう一度ベッドに連れ込もうと決意しつつ、自分はカップを掴むとコーヒーを飲み干した。
「よし、着替えてこい。俺の部屋に行くぞ」
何も知らない男は、嬉しそうに肯いた。
瞼を開く前に、その心地よい塊に手を伸ばす。柔らかな髪の毛や、ひどく露わな頸椎や、布越しでも骨が浮いていることがわかる薄い背中の、何処か不安定で危うい感触を、目を閉じたまま繰り返し確かめる。
しつこく触り続けていると、塊が小さく唸った。
「ぅー……」
擦り寄ってくるそれを腕の中に押し込んでから、ゆっくりと目を開く。
これまで生きてきた中で、最も完璧な目覚めだった。
安達の台所は、笑ってしまうほど閑散としていた。
どうやら彼は本当に料理をしないらしい。棚に置かれた電子レンジには使われた形跡があったが、炊飯器は存在すらしていないようだった。料理はしなくてもコーヒーを淹れる習慣はあるようで、意外に立派なコーヒーメーカーがレンジの脇に鎮座していた。
自分の部屋に戻り、二人分の朝食を用意してもよかった。けれど彼が起きたとき傍にいたかったので、コーヒーを淹れて待つことにした。冷蔵庫を開けると、几帳面に密封されたコーヒー豆の袋が収まっている。そのほかは、予想どおり全て飲み物だった。
彼が起きたら自分の部屋に連れ込んで、餌付けしてしまおう。そんなことを考えながら、ラックからマグカップを取る。完全に下心しかないが、そのことに疾しさを覚えるには、自分は彼にのめり込みすぎていた。
大きさも柄も違う二つのカップ。まるで彼と自分のようだ。
コーヒーメーカーの立てる微かな音だけが、午前七時の空気を揺らす。何処までも穏やかな時間だ。しかしどうしても落ち着かない。
さっきまで同じベッドに寝ていたはずなのに、もう彼の肌に触れたがっている自分がいる。
だから湯気の立つカップを二つテーブルに並べ終えると、真っ直ぐ寝室に戻った。
「可澄」
ベッドの上の男は、先ほどと同じような姿勢で横たわっている。
「可澄。……可澄」
何度か声をかけても、安達は目を覚まさなかった。瞼と唇をしっかりと閉じて、懸命に見えるほど深く眠っている。
恐らく昨夜の疲れのせいだろう。休日なのだから、このまま寝かせておいてやればいい。頭では、わかっていた。
「――可澄」
毛布から僅かに覗く首筋に、人差し指でそっと触れた。皮膚の滑らかさと、その下を通う血の温もり。もっと味わいたくなって、つい毛布をみぞおちの辺りまでずらしてしまう。すると、柔らかそうな寝巻に包まれた、薄い身体が現れた。そのあまりに無防備な展望に、潤したはずの渇きが戻ってくる。
「……ん」
心地よい被膜を剥ぎ取られたせいか、安達は眉間に浅く皺を刻んだ。こちらへ寝返りを打って、肩を縮める。その様子が気に入ったので、服の裾から手を入れた。内臓脂肪も皮下脂肪も足りていない、平べったい腹を撫でてみる。恐らくこの中にはまだ、掻き出しきれなかった自分の精液の残滓が留まっている。
「可澄」
腹を摩られるのが気持ちよいらしい。安達の表情が穏やかなものになる。しかし一向に起きる気配がない。だから首筋に顔を寄せた。シャンプーとボディソープの香りがする。その何処までも清潔な匂いに、しかし、欲を覚えた。我慢することを早々に放棄して、細い喉に舌を這わせる。くすぐったいのか、彼は小さく唸って首を竦めた。そんな非協力的な態度に、ますます引き下がれなくなる。片手で腹を撫でて機嫌を取りながら、もう一方の手でゆっくりと上衣のボタンを外していく。やがて、吸われた痕が赤く残る、白い胸が露わになった。
「……起きないと、また虐めるぞ」
まだ腫れの引ききっていない乳首に、中指でそっと触れた。そのまま小さな円を描くように指を動かす。少し硬くなったところで、摘み上げて指の間で転がした。小さな粒がぽってりと硬く膨らむまで、さほど時間はかからなかった。
「ぁ……ん……」
少しずつ、胸の上下する間隔が狭くなる。弄っていない方の乳首を優しく吸ってやると、吐息はあからさまに甘くなった。体温も上がり始めたのか、肌の触れ合った部分が、徐々にしっとりとしてくる。可哀想になったので、毛布を完全に取り去ってやった。すると、朝の生理現象なのか、それとも乳首を弄られて催したのか、彼のものが僅かに持ち上がっているのがわかった。堪らなかった。
彼のズボンと下着を引き下ろし、脚から抜いて床に放った。さすがに安達も異変に気づいたのか、睫が震えて目が開きそうになる。しかし封をするように瞼に唇を押しつければ、それで簡単に誤魔化されてしまうあたり、まだ覚醒は遠いらしい。
ローションを取るためにヘッドボードに目をやると、コンドームの箱が視界に入った。次はゴムを使えという安達の言葉が蘇る。少し考えてから、手に取って開封した。欲しがりの安達のことだから、起きているときに抱こうとすれば、最終的に中出しを強請られるのは目に見えている。せっかく彼が自分に抱かれるために用意したものなのだ。一度くらい使っておきたい。
ベッドに上がり、横向きに寝ている彼の脚の間に、ローションで濡らした指を差し込む。ぴたりと閉じたそこを湿らせるために撫でていると、やがて焦れたような甘い鳴き声が聞こえてきた。見れば、さっきまで脱力して投げ出されていた手が、今はシーツを握っている。今まで寝たふりをしていたのだろうかと顔を覗き込んでみたが、しかし彼は吐息を漏らすだけだった。もしかしたら、抱かれる夢でも見ているのかもしれない。上品といってよいくらいすっきりとした性器を握って緩く扱いてみると、安達は身体を丸め、母親から引き離された猫の子供みたいな声を上げた。
「入れていいか」
返事はない。だから承諾は事後に得ることにした。我ながら下衆だと思うが、止められない。恋愛もセックスも淡白だったはずが、いったい自分に何が起きたのだろう。
自身の性器にゴムをつけ、ローションを塗りたくる。自ら擦る必要もないほど、それは見事に勃ち上がっていた。
「入れるぞ」
横を向いている彼の片脚を掴んで持ち上げ、あまり解していない部分を暴く。昨夜性器の代わりにされて散々荒らされた場所は、縁が赤らんで僅かに腫れていた。塗られたローションが、まるで泣いているように映る。限界だった。
「い、あぁっ」
力任せに突き入れると、安達は悲鳴を上げた。かなりきつく締めつけてくる。あれだけ執拗に犯されたのだからまだ緩んでいるだろうと踏んでいたのだが、どうやら考えが甘かったようだ。
漸く目を開けた安達は、事態を把握できていないようで、頻りに瞬きを繰り返していた。下睫には小さな水滴が溜まっている。不意打ちで抉られた襞は、侵入した異物に対し完全に怯えて震えていた。表情も体内の反応も、これ以上のセックスは無理だと語っているようだった。
「痛いか」
囁くように問いかけると、安達はこくりと肯いた。目許を手の甲で擦り、苦しげに息を吐く。セックスはここまでにしよう、そう思って腰を引くと、しかし柔らかな粘膜がきゅうと吸いついてきた。
「ん、や」
嫌がるような声だった。見れば、彼は唇を噛んで震えている。ゆっくりと引き抜く動きを再開すると、すんなりとした腿が強張った。先程まで中途半端に勃起していた彼のものは、今や上向いて先端に透明な液を滲ませていた。
「……くぅ……ん……」
突っ込んだものを抜いて痛む場所を優しく慰めてやり、頭を撫でてあやしながらコーヒーを飲ませてやる、という選択肢は、生じる前に消えた。
彼が混乱しているうちに快楽で押し流して、とろとろにして食ってしまおう。
決心してしまえば行動は早かった。挿入したままの状態で、後ろから抱き上げる。無茶なことをしたのでこちらも少し痛みがあったが、安達の苦痛はその比ではなかったらしく、ただでさえ小さな穴は、食いちぎるつもりなのではないかと思うほどきつく窄まった。
「ほら、もう大丈夫だから」
膝の上に乗せて、抱き締めてやる。彼はしがみつくように回された腕を抱き返した。
「まだ痛いか」
果実のように赤くなった耳殻に向かって訊ねると、安達はさっきと同じように肯いた。
「でも、痛いだけじゃないよな。痛いだけならこんなふうにはならないもんな」
だらしなく涎を垂らした性器を指で弾くと、彼の中がひどく狭くなった。
「朝からこんなに濡らして、恥ずかしい子だ」
健気なほど股間を膨らませ、彼は睫の先から雫を零した。硝子じみた滑らかな腹に、雨粒のような涙がぽたぽたと落ちては流れていく。まだ泣かさずに抱くことのできない自分に腹立たしさを覚えつつ、しかしもし抱いても彼が泣かなければ、きっと泣くまで犯すだろうということも、同時に自覚していた。全く救いようがない。
「さあ可澄。起きてすぐ嵌められた気分はどうだ? 正直に言ってごらん」
ボディソープの匂いのする肌を舐めながら、臍の下辺りを丸く撫でてやる。
「正直に言えば、ご褒美だ。嘘をついたら、もちろんお仕置きだが」
安達は泣きながら考えているようだった。恐らく、ご褒美とお仕置きを天秤にかけているのだ。二度目に寝たとき感じたことだが、彼はセックスの際、完全に理性を放擲しているように見えて、実は案外計算高く動いている。きっと自らの欲望に対し、ひたむきなまでに忠実なのだろう。そして自分は彼のそういうところさえ、可愛いと思ってしまった。だから行為の主導権は、最終的に彼に移らざるをえない。
仕方ないので、つんと自己主張している乳首を撫で、優しく訊ねた。
「可澄はご褒美とお仕置き、どっちが欲しいんだ」
「ひぁ……、ふ…………お、おしお、き……」
「虐められるのがそんなに好きなのか。さすがマゾだ」
安達が望むものなら、何だって与えるつもりだ。自分が望むものを、彼は全て持っているのだから。
ふっくらした乳首を摘み上げると、すり潰すように指の間で擦る。微かに痙攣する身体があからさまに快楽を訴えてくるので、限界間近と思しき性器を握って締め上げた。
「あうぅっ」
「お仕置きなんだから、お前が先にいくのは駄目だろう。まったく、無理やり嵌められたのにすぐにまんこを蕩かせて、とんだ淫乱だ」
「うぅー……ご……ごめんなさ……ん、んんっ」
「だらだら汁を垂らしながら謝られてもな。ここを縛ってドライでいかせてやろうか」
安達はいやいやと首を横に振った。だから性器を手荒く扱き、噛みつくように低く命じた。
「出していきたかったら、可澄はまんこにずっぽり咥え込むのが好きな淫乱ですって言ってみろ」
安達は沈黙した。睫が忙しなく動く。しかし呆気なく欲望に負けたらしく、口を開いた。
「かすみは……おまんこに……しゅ……ごさんのおちんちん……ずっぽり、くわえこむのが……だ……だいすきな……いんらんです……」
何か単語が増えているような気がしたが、可愛いので咎めないことにした。
「いい子だ」
そのまま手の動きを加速させると、簡単に蜜が噴き出した。
「水みたいだな」
零れたものを指ですくい、先端に塗り込める。柔らかくなったそれは、もう硬くなる兆しがなかった。本人も限界らしく、ぶるぶる震えながら懸命に逃げ出そうとしている。
「……も……もう、ぬいて……おろして……」
だが、逃がすわけにはいかなかった。
「自分だけいって終わりにするつもりか」
「……でも…………あそこ、こわれ……」
「あそこ? まんこだろ。可澄のまんこがどうなるって?」
「あうぅーっ」
「壊れるくらいしてほしいのか?」
「や、やっ」
「嫌なら少し緩めたらどうだ。こんなに吸いつかれたら、期待しているとしか思えない」
セックスに対する欲望はかなり強いものの、肝心のスタミナがないため、貪欲にねだってみてもすぐに泣きを入れてしまう愚かな男が、可哀想で可愛くて仕方ない。
腰を掴んで上下に動かすと、安達は身体を反らして鳴いた。
「いってほしいか?」
「っ……い、いって、くださ……いぁっ」
「まだ当分いきそうにないな。お前がエロく煽れば、もしかしたら少しは早くなるかもしれないが」
「ん、くぅ……」
「可澄」
どうする、と囁いて、首筋を吸った。赤い痕が、また一つ増える。実家に行くときは自分が彼の服を選ぼう、と思った。安達のことだから、放っておくとうっかり首回りのあいた服を着て行きそうだ。彼の母親としても、首にキスマークをつけた息子と、それをつけた張本人とが並ぶ光景は、さすがに生々しすぎて見たくないだろう。
そんなことを考えていると、安達は本当に我慢ができなくなったらしく、自分で腰を振り始めた。
「……か、かすみの、いやらしいおまんこで、いっ、て……おねがい、いって、いって……」
ローションまみれの襞が、ジュブジュブと音を立てて肉棒を食む。これほど気持ちのよい場所に長居ができないことを残念に思いながら、しかし射精のための動きに切り替えることに決めた。これ以上無理をさせると、きっと明日が辛いだろう。もう手遅れかもしれないが。
「そんなに言うなら、いってやる」
彼の薄い上半身をベッドに倒し、腰を上げさせる。そのまま犬のように後ろから犯した。容赦なく突き上げ、まだあまり開発できていない最奥を抉る。快感よりも痛みが優っているはずなのに、それでも安達の声は甘かった。
「あ、あっ、い、いい……っん、い、……ひぁ、あ、ああぁっ」
「く……っ」
全てを収めた状態で、射精した。ゴムを使っているので中には出ていないはずなのに、粘膜が精液を欲しがるように蠢動する。その動きを充分楽しんでから、自身の性器を柔らかな場所から引きずり出した。
「最高だ」
ずるりとシーツの上に落ちた腰を軽く撫で、ゴムの処理をする。それからもう一度褒めるためにベッドに視線を戻すと、彼は腕を身体の下に敷いた不自然な体勢のまま、ぐったりしていた。
「……可澄?」
不安を覚え、顔を覗く。不安はすぐに、安堵と呆れに取って代わった。
彼は非常に安らかな表情を浮かべ、ぴたりと瞼を閉じていた。
どうやら、再び眠ってしまったらしい。
「――さて、どうするかな」
腕の中に、温かな塊。
「……さん。……ひかわさん」
耳朶に、柔らかく息が触れる。気持ちがよいのでそのままにしていると、遠慮がちに肩をつつかれる。
「樋川さん」
目を開けて首を傾ける。すぐ傍に、硝子玉の瞳がある。
首を抱いて唇を寄せると、瞼が静かに下りた。薄い肉にそっと口づける。
「――おはよう、可澄」
本日二度目の完璧な目覚めだった。
「…………おはようございます……あの」
やや乱れた髪を指で梳いてやっていると、安達は何か言いたそうに言葉を途切れさせた。
「どうした」
顔を覗き込んで穏やかに問いかける。途端に安達の視線は迷走した。春先の蕾のように、頬が淡く色づく。
「ええと……えっと……その……」
「ん?」
「……気のせいかもしれないんですが……さっき、俺に、何かしましたか……?」
「何かって?」
安達はでたらめな図形を引くように視線を動かしていたが、やがて小さな声で、やっぱりいいです、と言った。どうやら彼は朝の一件を、はっきりと記憶していないらしい。身体には異物を挿入されたような感覚が濃厚に残っているのに、セックスした痕跡が見当たらないので戸惑っているのだろう。ゴムを使ったので中出しはしなかったし、安達が寝ているうちに体液を全て拭き取り、服も元通りに着せてやったから、仕方のないことではある。
「なんだ。変な夢でも見たのか」
何食わぬ顔でそう訊ねると、安達は真っ赤になってしまった。
「だいぶ寝坊したな。そろそろ起きるか」
宥めるように頭を撫でて告げる。いたたまれない、と顔に書いたまま、安達は無言で肯いた。
このまま誤魔化してしまえそうだと考えていたのだが、しかしさすがの安達も、そこまで抜けてはいなかったらしい。
二人で寝室を出ると、安達は途中でぴたりと足を止め、眉をひそめた。その目は、テーブルの上の二人分のコーヒーに向けられている。彼は何も言わずにテーブルへ直行し、マグカップの表面に触れた。それが既にすっかり冷えていることは、用意した本人である自分には、確認するまでもなくわかっていた。
じっとりとした視線が、こちらに注がれる。
「……これ、いつ淹れたんですか」
「四時間くらい前だな」
嘘をついても仕方ないので正直に答えると、硝子の目が据わった。
「……樋川さん、もしかして」
「悪かった。もう寝ているときに悪戯はしない。完全に起こしてからにする」
「…………反省、してないですよね」
見透かされている。これは話題を変えて、ひたすら機嫌を取るほかないだろう。
「朝――いや、昼飯は何がいいか? 可澄が食べたいものを作ってやる。肉でも魚でも、和食でも洋食でも中華でも」
無機質なほど冷たい視線が、しかし、妙に心地よかった。だがそれを告げると安達の目が更に軽蔑の色を増しそうだったので、頬を撫でて優しく訊ねる。
「何が食べたいんだ、可澄」
安達は依然として凍った眼差しをこちらに向けていたが、暫くすると溜め息をついた。
「……ごはんと味噌汁と卵焼き」
自分は相当安達に甘いが、安達も安達でだいぶ甘い。
「鰤の塩焼きもつける」
すると彼は数回瞬きした。そしてふわりと笑みを浮かべる。起き抜けに目にするには、あまりにも眩しい微笑。
「……鰤はすごく、すごく好きです」
鰤と俺のどっちが好きなんだ、と言いかけそうになる程度には、熱のこもった言い方だった。
切り身風情に負けるわけにはいかない。食事をしたらもう一度ベッドに連れ込もうと決意しつつ、自分はカップを掴むとコーヒーを飲み干した。
「よし、着替えてこい。俺の部屋に行くぞ」
何も知らない男は、嬉しそうに肯いた。
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