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①第四章 見ようとしなければ見えない、何事も
2カードの更新(ブラビット視点)
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死神協会へ赴き、定期的に更新しなければならない『通り名カード』を持ち、受付へと向かう。
これが無ければ死神として活動は出来ず、死神に相応しくない者は半強制的に、社会的制裁として不遇な『通り名』を付けられるのである。
死神にとって称号と通り名は身分を明かす上で非常に重要視されており、それによって階級が決まる。例えば、私の称号は「エリート死神」だが、通り名は「血みどろ兎」とされている。
周囲に言わせれば「残酷で残忍! 仕事が出来るエリート死神、赤い目を持つ血みどろ兎ブラビット!」が私な訳で、死神の中での扱いはそれなりに上なのだ。
「これはこれは、ブラビット様。本日もいつもと同じ更新で?」
「ええ。雑務も勿論、していきますけれど……今月もあの量なのですか?」
は~っと溜め息が漏れる。
それを見て、カードを受け取りながら情報を更新する受付担当のドレイトは苦笑した。
ドレイトは、人型の死神で、肌の色は人外らしい灰色だ。黒いスーツに、骸骨のネクタイピンをしているのだが、好んで男の姿にしている為、『彼』と呼ぶことにしていた。
協会内では愛されるに愛され、死神活動をしていた頃にはストーカーとやらが出現したこともあるせいか、今は受付のみの担当となっている。
「あのブラビット様でも、あれはやはり厳しいですか」
「当たり前です、手作業でやらねば怒るでしょう。ここの長様は」
長年私とこうして受付で話している彼は、常に察しが早く、いとも簡単に言いたいことを拾い上げてくれるのだ。
「ゴート様は受け継がれてきた文化や仕来りを大切にするお方ですからね。無理もありませんよ、名家カルステッド家の出ですし」
「いえね、私だって分かっておりますのよ? カルステッド家の者は皆、こう……ねぇ。真面目過ぎるというか、なんというか……だからって何も今の時代で手作業は、ハッキリ言って無いでしょう」
魔法ですれば他の作業も片付いて一石二鳥、なはず。
だとしても昔からの習わしを徹底的に貫き通すのがゴートという死神長であった。
「まあまあ、一か月に一回にしたのですから大分楽になったでしょう。血魂狩りを出来るのは貴方だけですし、皆期待しているんですよ? ゴート様も私も」
目を交換して丘志三年の後半に入る約四年間、協会へ行っていなかった。
そのためカードの有効期限は切れており、消息不明扱いで一部で騒ぎになりかけていたらしい。
惜しくも、血魂狩りを出来るのは現時点で私だけ。だからこその心配であることは、重々承知していた。
「貴方が、まさかご自分の目を誰かと交換するとは……ゴート様もびっくりしておいででしたよ。弟子でもお取りになったんですか?」
「ほんの気紛れです。弟子……弟子ねえ……」
あの性格が続くようならば、二人目の血魂狩りを出来る断罪者としては悪くないかもしれないが。しかし、凶悪犯罪の未来を持つ者が犯罪を重ねない運命になどなるのだろうか?
私自らが多少、手を加えてやれば十二分にあり得ることではあるが、私自身は基本的に運命に身をゆだねているのだ。
ランダムに任せているといった方が正しい。
現段階で彼の魂の色はどうなのであろう。
考えても分からぬのに身を任せても、時間の無駄だということは、勿論のこと。
創造の書を開いてこれまでのデータを記していき、黒兎赤という少年の『ステータス』を更新しておく。
「……その様子ですと、上手く行けばそうなる、といった感じですか。だから狩りを休まれているので?」
流石、ドレイトだ。話が早くて助かるが、狩りを休んでいるのはそういった理由ではないのも、今も尚唸りながら言葉を濁す原因の一つであった。
「もしや……」
動揺もせずに視線だけを寄越す。
「あまりの量の多さに、気が滅入っている……とか? 今の時代はやたらと捨て魂も多いですし」
「そんなところです」
前回の仕事量を思い出して頭痛とやらが来そうであったが、私には頭痛は無い。
それでも、ドレイトには頭痛が来ているように見えたようだ。
労わるように、私の前へ紅茶を出そうとするが、実体化に不向きな精神体の都合上飲めないのでやんわりと手で断りを入れる。
「ご苦労様です……本日はエミリア坊ちゃんの様子、聞いて行かれますか? 気分転換にでも」
「まぁ! 新しい話がもうあるんですの? 一か月に一回は話題が出来るなんて、なんとも、まぁ。素晴らしいです……して、今度はどのような?」
──一か月に一回は噂ができるのは、もはや才能だよ。エミリア君。
なんでも、第百二十回目魔界の『ダンジョン』チャレンジを試み、ものの見事に最初の出入口でHP0になり、挑戦者に助けられたそうだ。
実に彼らしいことだが、推奨LVが30のダンジョンへ行こうとするとは……焦っているのが丸分かりではないか。今のエミリアが己のHPを減らさずに行けてよくてLV2だろう。
それこそ、超が付く程の初心者向けでなければ、下手をすれば敵に『オーバーキル』されて死んでしまうというのに。
あの者へ加護を授けたのは、一時の情によるものであったが、話を聞く度に与えて良かったと感じている。
「スーパー雑魚様の回復アイテムはおやっすいキノコで足りたでしょう。むしろ回復量が多すぎるくらいだったでは?」
「坊ちゃんのHPは今10あるか無いかといったところですから……100回復という超クソアイテムでも、彼にとっては命綱になるのは道理と言えましょう。便利と言えば便利そうでその点では羨ましい限りです、お金には困りませんし」
「100はカスすぎる回復量ですものね、我々死神には特に。お、そういえばレベルが上がったのですねドレイトさん。おめでとうございます、LV61にもなればファンクラブへの勧誘もあるのでは?」
見ようと思った時に表示される、ドレイトの頭付近の『LV表記』。
人外にとっては当たり前のことだが、これらは『戦闘ルール』が適用されていない人間には無い。
「お恥ずかしながら……レベル上げをしようと中の上のダンジョンへと挑戦しまして、罠のダメージを回復する為にとここの事務用品である包帯を頻繁に使ってしまったのです。その際にきっちりかっちり60だったのが中途半端に1上がったという訳です。三天王への勧誘はありましたが、丁重にお断りさせていただきました」
事務用品を勝手に断りも無く使ったのであれば、死神長からの怒りを買いかねない。妥当な判断だろう。
……無断で持っていく程、所持金額が低かったのか?
訝しむように半目にして軽く睨んでやると、肩を竦めた。
「ブラビット様が今お考えであるように、不景気なもので……攻略後に入った賞金から、ちゃんと大量に購入したんですよ。この包帯回復アイテム」
ほら、と彼が示すのは、背後にある格調高い柄が模してある整理棚。
棚の中には確かに大量の包帯が並べられている、それも恐らく、はみ出る量の。
「……買いすぎではありません? 入りきらない量を買いになったのなら、お一つくださいな」
「ご尤もで。調子に乗って買い込んでしまったのです、人間界で言うところの爆買いって奴ですね。どうぞ」
二つ返事で差し出してくれたドレイトに礼を述べ、更新の終わったカードを受け取る。
「ホウタイ……実は使ったことが無いのですよね、人間界っぽい怪我の手当ての仕方とか書いてある本はございません?」
「人間界っぽいと言いますと、こちらになります。『てんしやあくまにもわかる! はじめてのちりょう』」
凄い、平仮名しか書いてないぞ。なんて親切な本なんだ!
心躍る私の様を見て、微笑ましく感じたのだろう、包帯が出ているページを教えてくれた。
お買い上げになるかと問われれば勿論答えはYES。
魔界の通貨を手渡し、本を受け取った。
死神には人間や悪魔、天使のような共通通貨が無い為、人間界の『片』でも魔界の『M』でも天界の『T』でも支払う時に使える。逆に裏を返せば、金は稼ぎやすいものの金の減りも早いということである。
メリットあればデメリットは付き物である為、こればかりは自然の理とも言えよう。
「ではそろそろ失礼致します。またお会いしましょう、ドレイトさん」
「ええ。ブラビット様もお元気で」
挨拶を終え、その場から離れる。
またあの雑務の量を片付けねばならぬのか、億劫する。が、仕方あるまい。
面倒だとは思いながらも、雑魚死神達の努力を考え、彼等の負担を少しでも減らさなくてはと己を意気込まていく。
狩りのことは、あの少年がある程度成長するまでお預けだ。
これが無ければ死神として活動は出来ず、死神に相応しくない者は半強制的に、社会的制裁として不遇な『通り名』を付けられるのである。
死神にとって称号と通り名は身分を明かす上で非常に重要視されており、それによって階級が決まる。例えば、私の称号は「エリート死神」だが、通り名は「血みどろ兎」とされている。
周囲に言わせれば「残酷で残忍! 仕事が出来るエリート死神、赤い目を持つ血みどろ兎ブラビット!」が私な訳で、死神の中での扱いはそれなりに上なのだ。
「これはこれは、ブラビット様。本日もいつもと同じ更新で?」
「ええ。雑務も勿論、していきますけれど……今月もあの量なのですか?」
は~っと溜め息が漏れる。
それを見て、カードを受け取りながら情報を更新する受付担当のドレイトは苦笑した。
ドレイトは、人型の死神で、肌の色は人外らしい灰色だ。黒いスーツに、骸骨のネクタイピンをしているのだが、好んで男の姿にしている為、『彼』と呼ぶことにしていた。
協会内では愛されるに愛され、死神活動をしていた頃にはストーカーとやらが出現したこともあるせいか、今は受付のみの担当となっている。
「あのブラビット様でも、あれはやはり厳しいですか」
「当たり前です、手作業でやらねば怒るでしょう。ここの長様は」
長年私とこうして受付で話している彼は、常に察しが早く、いとも簡単に言いたいことを拾い上げてくれるのだ。
「ゴート様は受け継がれてきた文化や仕来りを大切にするお方ですからね。無理もありませんよ、名家カルステッド家の出ですし」
「いえね、私だって分かっておりますのよ? カルステッド家の者は皆、こう……ねぇ。真面目過ぎるというか、なんというか……だからって何も今の時代で手作業は、ハッキリ言って無いでしょう」
魔法ですれば他の作業も片付いて一石二鳥、なはず。
だとしても昔からの習わしを徹底的に貫き通すのがゴートという死神長であった。
「まあまあ、一か月に一回にしたのですから大分楽になったでしょう。血魂狩りを出来るのは貴方だけですし、皆期待しているんですよ? ゴート様も私も」
目を交換して丘志三年の後半に入る約四年間、協会へ行っていなかった。
そのためカードの有効期限は切れており、消息不明扱いで一部で騒ぎになりかけていたらしい。
惜しくも、血魂狩りを出来るのは現時点で私だけ。だからこその心配であることは、重々承知していた。
「貴方が、まさかご自分の目を誰かと交換するとは……ゴート様もびっくりしておいででしたよ。弟子でもお取りになったんですか?」
「ほんの気紛れです。弟子……弟子ねえ……」
あの性格が続くようならば、二人目の血魂狩りを出来る断罪者としては悪くないかもしれないが。しかし、凶悪犯罪の未来を持つ者が犯罪を重ねない運命になどなるのだろうか?
私自らが多少、手を加えてやれば十二分にあり得ることではあるが、私自身は基本的に運命に身をゆだねているのだ。
ランダムに任せているといった方が正しい。
現段階で彼の魂の色はどうなのであろう。
考えても分からぬのに身を任せても、時間の無駄だということは、勿論のこと。
創造の書を開いてこれまでのデータを記していき、黒兎赤という少年の『ステータス』を更新しておく。
「……その様子ですと、上手く行けばそうなる、といった感じですか。だから狩りを休まれているので?」
流石、ドレイトだ。話が早くて助かるが、狩りを休んでいるのはそういった理由ではないのも、今も尚唸りながら言葉を濁す原因の一つであった。
「もしや……」
動揺もせずに視線だけを寄越す。
「あまりの量の多さに、気が滅入っている……とか? 今の時代はやたらと捨て魂も多いですし」
「そんなところです」
前回の仕事量を思い出して頭痛とやらが来そうであったが、私には頭痛は無い。
それでも、ドレイトには頭痛が来ているように見えたようだ。
労わるように、私の前へ紅茶を出そうとするが、実体化に不向きな精神体の都合上飲めないのでやんわりと手で断りを入れる。
「ご苦労様です……本日はエミリア坊ちゃんの様子、聞いて行かれますか? 気分転換にでも」
「まぁ! 新しい話がもうあるんですの? 一か月に一回は話題が出来るなんて、なんとも、まぁ。素晴らしいです……して、今度はどのような?」
──一か月に一回は噂ができるのは、もはや才能だよ。エミリア君。
なんでも、第百二十回目魔界の『ダンジョン』チャレンジを試み、ものの見事に最初の出入口でHP0になり、挑戦者に助けられたそうだ。
実に彼らしいことだが、推奨LVが30のダンジョンへ行こうとするとは……焦っているのが丸分かりではないか。今のエミリアが己のHPを減らさずに行けてよくてLV2だろう。
それこそ、超が付く程の初心者向けでなければ、下手をすれば敵に『オーバーキル』されて死んでしまうというのに。
あの者へ加護を授けたのは、一時の情によるものであったが、話を聞く度に与えて良かったと感じている。
「スーパー雑魚様の回復アイテムはおやっすいキノコで足りたでしょう。むしろ回復量が多すぎるくらいだったでは?」
「坊ちゃんのHPは今10あるか無いかといったところですから……100回復という超クソアイテムでも、彼にとっては命綱になるのは道理と言えましょう。便利と言えば便利そうでその点では羨ましい限りです、お金には困りませんし」
「100はカスすぎる回復量ですものね、我々死神には特に。お、そういえばレベルが上がったのですねドレイトさん。おめでとうございます、LV61にもなればファンクラブへの勧誘もあるのでは?」
見ようと思った時に表示される、ドレイトの頭付近の『LV表記』。
人外にとっては当たり前のことだが、これらは『戦闘ルール』が適用されていない人間には無い。
「お恥ずかしながら……レベル上げをしようと中の上のダンジョンへと挑戦しまして、罠のダメージを回復する為にとここの事務用品である包帯を頻繁に使ってしまったのです。その際にきっちりかっちり60だったのが中途半端に1上がったという訳です。三天王への勧誘はありましたが、丁重にお断りさせていただきました」
事務用品を勝手に断りも無く使ったのであれば、死神長からの怒りを買いかねない。妥当な判断だろう。
……無断で持っていく程、所持金額が低かったのか?
訝しむように半目にして軽く睨んでやると、肩を竦めた。
「ブラビット様が今お考えであるように、不景気なもので……攻略後に入った賞金から、ちゃんと大量に購入したんですよ。この包帯回復アイテム」
ほら、と彼が示すのは、背後にある格調高い柄が模してある整理棚。
棚の中には確かに大量の包帯が並べられている、それも恐らく、はみ出る量の。
「……買いすぎではありません? 入りきらない量を買いになったのなら、お一つくださいな」
「ご尤もで。調子に乗って買い込んでしまったのです、人間界で言うところの爆買いって奴ですね。どうぞ」
二つ返事で差し出してくれたドレイトに礼を述べ、更新の終わったカードを受け取る。
「ホウタイ……実は使ったことが無いのですよね、人間界っぽい怪我の手当ての仕方とか書いてある本はございません?」
「人間界っぽいと言いますと、こちらになります。『てんしやあくまにもわかる! はじめてのちりょう』」
凄い、平仮名しか書いてないぞ。なんて親切な本なんだ!
心躍る私の様を見て、微笑ましく感じたのだろう、包帯が出ているページを教えてくれた。
お買い上げになるかと問われれば勿論答えはYES。
魔界の通貨を手渡し、本を受け取った。
死神には人間や悪魔、天使のような共通通貨が無い為、人間界の『片』でも魔界の『M』でも天界の『T』でも支払う時に使える。逆に裏を返せば、金は稼ぎやすいものの金の減りも早いということである。
メリットあればデメリットは付き物である為、こればかりは自然の理とも言えよう。
「ではそろそろ失礼致します。またお会いしましょう、ドレイトさん」
「ええ。ブラビット様もお元気で」
挨拶を終え、その場から離れる。
またあの雑務の量を片付けねばならぬのか、億劫する。が、仕方あるまい。
面倒だとは思いながらも、雑魚死神達の努力を考え、彼等の負担を少しでも減らさなくてはと己を意気込まていく。
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