血みどろ兎と黒兎

脱兎だう

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①第一章 クリスマスに出会ったのは……サンタさん!?

9本音を言えばランドセルは赤色がよかった

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 次に通う、しょーがっこーというのは漢字で小さい学校と書くらしい。
 へー、そうなんだ。色々聞きたいことが山のようにあったが、それで又図鑑や辞典を買われても困る。
 僕の部屋の本棚は、重い本ばかりのせいか物理的な威力が抜群だぞ! あれよりも重くなったならば、揺れた時に僕の命は無いかもしれない……そのことが頭を占め、僕は一つ二つだけ質問したのだ。

 一つは、小学校にはどう通うのか。二つ目は「死神とはなんなのか」だった。

 一つ目は単純で、柳下第一小学校が歩いて通える範囲内にあるらしく、聞いた道なりもぼんやり思い出せそうなとこだった。
 二つ目を口にするなり、両親は心配になったのか、病院に電話をかけようとしたので必死に止めた。

 ただ単に、物語でそういうのが出てきて気になっただけで、死相は見えていないと説明するに、まさか二時間も苦労するとは思ってもいなかった。

 ──両親の説明によると、死神というのは不吉な存在として知られているらしい。
 会ったら最後、人生が終わるとか。
 確かにブラビットは殺しに来たとか言っていたし、不気味と言われれば他の人からはそう見えるのかもしれない。でも、彼女は綺麗だ。そこは断固として異議を申し立てさせていただきたい。
 身に覚えがありすぎて、百面相をしていたようだ。
 唸り声を上げ伏せっていたら、またしても心配をされてしまった。
 ただ、骸骨でローブを身に纏い、鎌を振るうというこの部分は人が生み出した与太話なのだろうか?
 どうも実際と食い違っている箇所があるのは、やはり人外の存在が人間に知れ渡っていなさそうなことが原因だろう。
 可能性の一つとして頭の片隅に置いておいても、悪くはない。

「そういえば、赤。今から学校に必要な物を買いに行くのよ。一緒に来る?」
「行く!」

 好奇心旺盛なお子様なのだ、行かないなんて考えすらなく文房具とやらを買いに着いて行く。
 着いた先では、読めないがキャンペーン? だかをやっているらしく、店頭に頑丈そうな鞄みたいなものが色とりどりに置かれていた。

「気に入ったランドセルを買いなさい、なんでも良いぞ」

 ランドセルというのか、これ。認識すると同時にお母さんも好きな色を、というので自分の好きな色を思い浮かべてみた。
 ……赤色って、言ったら「うーん」と悩ませてしまった。
 僕の一つ前の世代の子達はほとんど女の子=赤や可愛い色で、男の子=黒やかっこいい色だったらしく、目の色も赤だから、茶化されないか心配だと正直に話してくれた。
 ──赤色だってかっこいいじゃん!
 なんて思いもしたけど、そうか。女の子と同じ色になると何か言われるのはありそうな話だ。
 奥の方に見える黒に赤が入ってるあれだったら良いかなぁなんて思ったりもしたけど、デザイン性が売りなのか値段が倍以上の金額だった。
 バレないようにすぐに視線を他に移していく。うん、あれは駄目だ。高すぎる。
 ただでさえ色々買って貰っているのに、小学校でそんな使わせる訳には。
 しかも小ということは中も大もあるってことだ。初手で高いのを買ってランクダウンしていくより、後に貯め込んで少し良いのを買うくらいが理想的だろう。
 なら、答えは至ってシンプルだ。

「いちばんたかくないのがいい!」

「遠慮しなくていいのよ? 赤はちょっと心配だからうんって言ってあげられないけど……他に欲しいのがあったら……あっ、奥にある黒に赤いラインが入ってるあれとかは?」

 ちっくしょー! なんでそういうとこするどいの!?

 これが親の力って奴か、冷や汗を垂らしていたら、ブラビットが笑いを堪える姿が目に入る。
 ねぇ、今、僕真剣に悩んでるんだよ? などと思ったが、心の叫びが分かったのかもしれない。そうだよな、五歳児が普段大人しい感じの子がちっくしょーなんて叫んでたらちょっと面白いよな。

「あれはラインしかはいってないからあかじゃない。だんこきょひします」

「どこでそんな言葉覚えてきたの!? さては探偵小説ね……本当に安いので良いの?」
「おかあさんとおとうさんがかってくれるだけで、ぼくはうれしいんだ。だから、たかくなくていーの! せいい? がこもってるのって、なんでもうれしーでしょ? それとおなじ」

 どう考えてもブラビットの言葉遣いや知識に影響を受けた言葉が多く、彼女のことを知らない両親は驚愕の表情を浮かべた。

「赤……ちょっと見ない間に、賢くなったな……」
「どうしよう、私達より大人になっていってる気がする……わ、分かったわ。私達も貴方の思いを無駄にしないよう、頑張るからね……」
「俺も仕事を頑張るとするかな。あー、俺達の息子が優秀すぎて少し怖いよ」

 怖い!? 親に怖がられたことにショックを軽く受けていると、とうとう彼女が吹き出した。ツボに入ったらしい。
 僕は悲しいよ、ブラビット。
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