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①第一章 クリスマスに出会ったのは……サンタさん!?
プロローグ
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──この世界には、天界、魔界、……そして人間界。三つの世界が存在している。
つまり『悪魔』や『天使』、『死神』という我々が呼ぶ“人外”たちがいるという訳だ。
意識を持って感情を使って動く命には「魂」があり、この世の神様はその感情に制限をかけた。
三つの外界にはそれぞれ頂点に立つ長がおり、ルールが定められている。これは言わば“保険”。何をしでかすか、神様であっても予想が付かない……というよりは管理しきれない──面倒を見切れないというのが本音だろう。
人外のように「魔力」や「創造力」といった超越された不可思議な力を持たぬ人間たちの魂は、当然無力。
平和にきっと生きることだろう──当時、神様はそう思っていた。だが、考えが甘かった。自分たちの無力を知っている人間だからこそ“物”を使って同族を殺める者が出てきたのだ。しかも……それ又大層な量だった。
そこで神様は「そういえばまだ死神には仕事が無かったな」と思い返し、死神に「人間の魂の管理」という役割を持たせた。
──死を司る神と書いて死神なのだから、これくらいは朝飯前のはず。
一つの魂では区別も出来ないだろうから、人間の魂だけは三つの魂に分別してみた。
特に罪を重ねることも無い『通常の魂』、同族殺し(又は生命力が無い者)を指す『捨て魂』、そして……未来に罪を犯す『血魂』。
そうだ。捨て魂がこんなに多いのなら、ひとまず、捨て魂と通常の魂を区別出来る“青い瞳”を死神達に授けよう。うん、ゴミを掃除する掃除屋。なかなかいいのではないか?
この決まりを決めた神様は、自分の仕事が一段落したことに安堵し、深い眠りについた。要は──することが無くなったから飽きたのだ。
こうして寝ている間にも“泣き寝入りしている者”がいるとも知らずに──
西暦四万年、何日二十四年。十二月二十五日。
今や死神たちの間では魂グルメが当たり前になってきた頃、一人の死神らしき少女(?)が餌の宝庫である人間界を上空から見下ろす。
少女が片手に取った一枚の紙には、黒髪の少年が映し出されていた。その少年の胸元には血の色をした赤黒く輝く結晶……ハートの形をした『血魂』がよく見える。
血魂をじっくりと観察して、ふと、少女は意地の悪い笑みを浮かべた。──どうやら“当たり”らしい。
「さて、品定めといきましょうかね」
彼女はご自慢の天使の羽と悪魔の羽をはたはたと靡かせながら円を描くようにして舞い上がる。目指すは──勿論、彼がいるところだった。
つまり『悪魔』や『天使』、『死神』という我々が呼ぶ“人外”たちがいるという訳だ。
意識を持って感情を使って動く命には「魂」があり、この世の神様はその感情に制限をかけた。
三つの外界にはそれぞれ頂点に立つ長がおり、ルールが定められている。これは言わば“保険”。何をしでかすか、神様であっても予想が付かない……というよりは管理しきれない──面倒を見切れないというのが本音だろう。
人外のように「魔力」や「創造力」といった超越された不可思議な力を持たぬ人間たちの魂は、当然無力。
平和にきっと生きることだろう──当時、神様はそう思っていた。だが、考えが甘かった。自分たちの無力を知っている人間だからこそ“物”を使って同族を殺める者が出てきたのだ。しかも……それ又大層な量だった。
そこで神様は「そういえばまだ死神には仕事が無かったな」と思い返し、死神に「人間の魂の管理」という役割を持たせた。
──死を司る神と書いて死神なのだから、これくらいは朝飯前のはず。
一つの魂では区別も出来ないだろうから、人間の魂だけは三つの魂に分別してみた。
特に罪を重ねることも無い『通常の魂』、同族殺し(又は生命力が無い者)を指す『捨て魂』、そして……未来に罪を犯す『血魂』。
そうだ。捨て魂がこんなに多いのなら、ひとまず、捨て魂と通常の魂を区別出来る“青い瞳”を死神達に授けよう。うん、ゴミを掃除する掃除屋。なかなかいいのではないか?
この決まりを決めた神様は、自分の仕事が一段落したことに安堵し、深い眠りについた。要は──することが無くなったから飽きたのだ。
こうして寝ている間にも“泣き寝入りしている者”がいるとも知らずに──
西暦四万年、何日二十四年。十二月二十五日。
今や死神たちの間では魂グルメが当たり前になってきた頃、一人の死神らしき少女(?)が餌の宝庫である人間界を上空から見下ろす。
少女が片手に取った一枚の紙には、黒髪の少年が映し出されていた。その少年の胸元には血の色をした赤黒く輝く結晶……ハートの形をした『血魂』がよく見える。
血魂をじっくりと観察して、ふと、少女は意地の悪い笑みを浮かべた。──どうやら“当たり”らしい。
「さて、品定めといきましょうかね」
彼女はご自慢の天使の羽と悪魔の羽をはたはたと靡かせながら円を描くようにして舞い上がる。目指すは──勿論、彼がいるところだった。
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