5 / 8
その五.明朗な姪っ娘はなかなか鋭いご様子で
しおりを挟む
「ところで、ですね…おじちゃま」
(あ、コイツ仕事しろとか、言いそうだな)
と、新居徒特有の勘で警戒をし始めた時、遥は居住まいをただすと、綺麗な素足をピシッと鮮やかな所作で折り畳み折り目正しく正座した。
「お話があります」
股間の前張りを悟られないように、ベッドの上で人真似子猿の様に正座する淳二。
「うん…何かな、お嬢さん?」
「真面目なお話です」
「はい」
もう美人家庭教師に牛耳られる劣等生のごとし、だ。
この可愛い姪がどうやって自分をお説教するのか、内心わくわくモノの不届きなおっさん。
だが、遥は意外な話を切り出した。
「先日、帝都区役所女玄支部から、通知が来まして」
「はあ」
今度は淳二が小首をかしげる。
「今年度の我が世帯の住民税がですね、爆上がりしていまして…なんと前年の5倍です」
帝都では一世帯のすべての構成員の前年収入から税額を決定し、それを世帯主あてに通知している。
ゆえに、誰がいくら稼いでいるか、世帯主にはまる解りなのだ。
家長制度を重んじるこの国らしい制度である。
「おかしいでしょう? 我が家は4人家族です」
「そーだねー。俺も立派に家族してますよ、いずれは働きますからねー」
その後、冷や汗が噴き出す羽目になることも知らず、この時は生半可に返事をする淳二だ。
(俺も一応家族にしてくれてるんだ、遥は優しいぜ、ラッキー)
「稼ぎ手はお父様、私もまあ、もろもろと方々から頂戴はしていますけど、それほど高額では…。拓斗は小学生…。そしてもう一人…“立派なおじちゃま”は新居徒…収入が増えるわけありません」
と、遥はぴしゃり。
「税率が変更されたという知らせはないですし、コレはおかしいなと…」
「う、うん」
だんだん嫌な予感がしてくる淳二。
「そこで、日ノ本税務局に照会をかけてみたんです」
帝都貴族は、国税にもかかわる税務局に問い合わせれば、さらに細かく、構成員の誰が収入を得ているか、知ることが出来るのだ。
(こ、高校生のお嬢ちゃんがそこまでやるかよ。さすがは聡明かつ家計を守る主婦まで兼務しているしっかり者の長女だぜ…)
「そうしましたらね…。おじちゃま…。おじちゃまは昨年、ずいぶん収入があるようで…」
新居徒の仮面をかぶってある職業を遂行していたことが、この頭の良い姪にバレたことを実感する淳二。
「遥ちゃん、大陸で亜細亜高校スポーツ選手権で賞金もらったこと忘れてたとか…?」
遥はゆっくりと頭を振る。
実際のところ、彼女はなかなか収入があるようで、女子高生にして実家の山本財閥の名誉職にも名は連ねている。
資金難の伯父貴としてあるまじき行為だが、なんとこの可愛い姪にお小遣いをもらった過去がある。
それは二人だけの内緒、であるが…。
ともあれ、遥は、疑念の表情で続ける。
「ああ、アルバイトを少し、ね…・」
と、一応ワンクッション置く意味で言い訳して見せる。
「ほほう、ずいぶん高額なバイトがあったものですねえ、おじちゃま…。いったい自給いくらのお仕事をすれば、3億円も稼げるんですか? 3億円ですヨ、3億円! 筋金入りの新居徒のおじちゃまが3億円!?」
と、怒り顔で詰ってくる遥。
(こいつなかなか失礼だな、可愛いから許すけどさ)
しかし、そんな貌すら愛しくてたまらない淳二だ。
が、今はなんとか言い訳せねばならない。
知られては、不味い、というより、お家騒動に発展しかねない話だからだ。
(ここはオジサンの威厳で押し切るしかないな)
と、淳二は意を決する。
「大ジョーブッ、あなたのオジサンを信じなさいって! 決して疚しい事はしてませんから、ね、遥お嬢様!」
「…まだ納得したわけじゃありませんから…。帰宅したらきっちり説明していただきますね!」
と、遥はツンと澄まし顔を作ると、惚れ惚れするようなスクール水着姿の肢体を翻し部屋を後にしかかるが、ピタリと足を止める。
困り貌とも母性溢れる慈愛の貌ともとれる表情で、こちらを見返してくる美少女。
「ほんとに、おじちゃま、悪い事していないわよね?」
心配そうな顔も可愛いな、と心底思う淳二だ。
(あ、コイツ仕事しろとか、言いそうだな)
と、新居徒特有の勘で警戒をし始めた時、遥は居住まいをただすと、綺麗な素足をピシッと鮮やかな所作で折り畳み折り目正しく正座した。
「お話があります」
股間の前張りを悟られないように、ベッドの上で人真似子猿の様に正座する淳二。
「うん…何かな、お嬢さん?」
「真面目なお話です」
「はい」
もう美人家庭教師に牛耳られる劣等生のごとし、だ。
この可愛い姪がどうやって自分をお説教するのか、内心わくわくモノの不届きなおっさん。
だが、遥は意外な話を切り出した。
「先日、帝都区役所女玄支部から、通知が来まして」
「はあ」
今度は淳二が小首をかしげる。
「今年度の我が世帯の住民税がですね、爆上がりしていまして…なんと前年の5倍です」
帝都では一世帯のすべての構成員の前年収入から税額を決定し、それを世帯主あてに通知している。
ゆえに、誰がいくら稼いでいるか、世帯主にはまる解りなのだ。
家長制度を重んじるこの国らしい制度である。
「おかしいでしょう? 我が家は4人家族です」
「そーだねー。俺も立派に家族してますよ、いずれは働きますからねー」
その後、冷や汗が噴き出す羽目になることも知らず、この時は生半可に返事をする淳二だ。
(俺も一応家族にしてくれてるんだ、遥は優しいぜ、ラッキー)
「稼ぎ手はお父様、私もまあ、もろもろと方々から頂戴はしていますけど、それほど高額では…。拓斗は小学生…。そしてもう一人…“立派なおじちゃま”は新居徒…収入が増えるわけありません」
と、遥はぴしゃり。
「税率が変更されたという知らせはないですし、コレはおかしいなと…」
「う、うん」
だんだん嫌な予感がしてくる淳二。
「そこで、日ノ本税務局に照会をかけてみたんです」
帝都貴族は、国税にもかかわる税務局に問い合わせれば、さらに細かく、構成員の誰が収入を得ているか、知ることが出来るのだ。
(こ、高校生のお嬢ちゃんがそこまでやるかよ。さすがは聡明かつ家計を守る主婦まで兼務しているしっかり者の長女だぜ…)
「そうしましたらね…。おじちゃま…。おじちゃまは昨年、ずいぶん収入があるようで…」
新居徒の仮面をかぶってある職業を遂行していたことが、この頭の良い姪にバレたことを実感する淳二。
「遥ちゃん、大陸で亜細亜高校スポーツ選手権で賞金もらったこと忘れてたとか…?」
遥はゆっくりと頭を振る。
実際のところ、彼女はなかなか収入があるようで、女子高生にして実家の山本財閥の名誉職にも名は連ねている。
資金難の伯父貴としてあるまじき行為だが、なんとこの可愛い姪にお小遣いをもらった過去がある。
それは二人だけの内緒、であるが…。
ともあれ、遥は、疑念の表情で続ける。
「ああ、アルバイトを少し、ね…・」
と、一応ワンクッション置く意味で言い訳して見せる。
「ほほう、ずいぶん高額なバイトがあったものですねえ、おじちゃま…。いったい自給いくらのお仕事をすれば、3億円も稼げるんですか? 3億円ですヨ、3億円! 筋金入りの新居徒のおじちゃまが3億円!?」
と、怒り顔で詰ってくる遥。
(こいつなかなか失礼だな、可愛いから許すけどさ)
しかし、そんな貌すら愛しくてたまらない淳二だ。
が、今はなんとか言い訳せねばならない。
知られては、不味い、というより、お家騒動に発展しかねない話だからだ。
(ここはオジサンの威厳で押し切るしかないな)
と、淳二は意を決する。
「大ジョーブッ、あなたのオジサンを信じなさいって! 決して疚しい事はしてませんから、ね、遥お嬢様!」
「…まだ納得したわけじゃありませんから…。帰宅したらきっちり説明していただきますね!」
と、遥はツンと澄まし顔を作ると、惚れ惚れするようなスクール水着姿の肢体を翻し部屋を後にしかかるが、ピタリと足を止める。
困り貌とも母性溢れる慈愛の貌ともとれる表情で、こちらを見返してくる美少女。
「ほんとに、おじちゃま、悪い事していないわよね?」
心配そうな顔も可愛いな、と心底思う淳二だ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる