英雄(ヒーロー)の奥様は魑魅魍魎の輩に惚れこまれ…

奇談エバンジェリスト

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教祖サマは邪なる作戦を実行し…

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「あなたぁ、いってらっしゃいませ」
「ああ、行ってくるよ」
と、いう夫婦の会話。
「ここ、ここ」
と、真は妻に何やら催促する。

「んもう…貴方ったら。…ちゅ…」
「わぁー、パパとママがちゅっちゅっしてるぅ」
「もう成太ちゃんったら!」
「成太も、大きくなったらママみたいに素敵な女性を見つけるんだぞ、いつまでもチューしたくなるような、な」
「もう、あなたまでぇ…」
と、家族の蜜月を髣髴させるな仲睦まじいスチュエーションが続く。
警視とはいえそこは庶民的な誠は乗り合いバス、成太は幼稚園の送迎ワゴンと、二人の出発を手を振って見送る都子夫人。

(ウヒヒヒヒ…幸せを絵に描いたような家庭をぶち壊す快感…。それも嫁の略奪っていうのが背徳的でそそるわい…。見て俺、守屋。貴様の幸福はもうじき破壊しつくされる。人生のどん底を味合わせてくれようぞ)
と、声ならぬ声を心の中で押し殺すのは教祖にして怪盗ジゴロ…。
都子は幸福の余韻に浸るように、マイホームへと戻ってゆく。
「予想したとおり、可愛げな顔をしておるな都子という女は…。またあのエプロン姿っていうのが、如何にもいい嫁さん然としていて、大いに萌えあがるわい…。幸せの壊し甲斐があるというものだ」
絶世の美女とは言えずとも、如何にも家庭的で、良妻賢母型、しかも、結構豊満ときている都子の姿を初めて目にしたジゴロは、標的にぞっこん惚れ込んでいる様子だ。
「ふふん…なかなかセキュリティの堅い家に住んでおるようだな」
小ぶりだが堅牢で、政府御用達の保安部に繋がるセンサー付きの玄関の設備を前に、ジゴロは、軍師から授かった戦術を披露することとなる。

守屋家のインターフォンが鳴らされる。
「はぁい…どなたでいらっしゃいますか?」
奥様然とした声の主に向かって邪なる男はこう囁く。
「カルト教団“悦びの園”を脱走してきたものですぅ‼ どうか、守屋警視に匿って頂きたいのですぅ‼」
狙いは的中した。
警視の妻としての倫理観に満ちた都子が、玄関のロックを解除したことは言うまでもない――――。
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