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マオの新たなる配下.72
しおりを挟むお昼は過ぎてしまったが、冒険者ギルドは二十四時間営業なのでまだ開いている。
この美味しい野菜スープとスクランブルエッグ、ベーコン、パンを食べ終わったら行くとしよう。
腹が減っては戦はできぬのだ…。
イチ達も僕と同じような食事を美味しそうに食べている。ダディさんの好意で余ったご飯を少し分けてもらったのだ。ダディさん、いい人。
「わんわん…おいし?」
「わ、わん!」
アリー君はイチがお気に入りらしく、撫でる手を辞めない。イチ達には事前に外では無害な魔物らしく大人しく装うように言い聞かせていた。
もちろん言葉を話すのも禁止である。
若干の違和感はあるものの、イチは犬っぽくアリー君に鳴いてみせた。これなら問題ないだろう。
美味しいご飯を食べ終わった僕達は、ついに冒険者ギルドへと向かう!…
「お待ちくださいマオ様!」
ということで出鼻をくじかれてしまった。下から聞こえた声に振り向く。宿の出入口でイチに呼び止められたのだ。
「ど、どうしたの?イチ、突然」
「はい。この街に入ってから考えていたのですが、お付の者を同行させた方が良いかと思います」
「お付の者?」
「ここは人間の住む場所。私達のような獣は戦闘こそお役に立ちはしますが、それ以外では少し戦力外です。それに人間の中には小賢しい悪知恵の働く奴らも多々いますし、そんな奴らに我らの力は通じにくい。“白翼の天使”と“黒翼の堕天使”、二人の召喚を提案します。」
白翼の天使、黒翼の堕天使。
たしかこの二人は僕の付き人としてよくそばに居た配下だ。天使と名がつくのは伊達でなく、とても美しい容姿と優れた頭脳を持っていた。
ゲームの時クエストなどで発生する問題に対して、え?この二人もう答え知ってるじゃん。と思うくらいヒントをバンバンくれるので頭はいいのだろう。
イチの言う通り、僕は人と頭脳戦をしたとして勝てる自信はない。皆無である。
今後の生活で何が起こるか分からない。いてくれた方が安心かもしれない。
今ある戦力は充分だ。後は頭脳力ってことだね!
「うん。確かに居た方がいいかも。よし!召喚しようか!皆はどう思う?」
「マオ様の安全がより強固となるなら、うさまるは賛成ですうさ!」
「!」
「美しいものは好むでございまする」
「じゃあ、召喚しよっか!」
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