60 / 109
マオの配下は働き者.60
しおりを挟む召喚に随分と時間を使ってしまったようだ。しかし城とヤラスティの街までは随分と距離が近かった。
遠くに街の城壁だろか。灰色の壁が見えてきたので夜になる前には着くだろうことはわかる。
でも、野宿っていうのもキャンプみたいで面白そうだったんだけどなぁ。そう言うと配下の皆は反対してきた。
「マオ様を危険なところへ置くわけにはいきません!夜はとても危険です!」
「そううさ!それにとっても怖いうさよ!幽霊が出てくるかもしれませんうさ!」
「!っ!!!」
「わたくしもおすすめはできないでございまする」
皆が口々にそう言った。とても過保護です。
楽しいと思うんだけどな…。こう思えるのも、イチ達がいるからなんだけどね。一人だったら速攻街まで走っていたもの。怖いもの。
でもまぁ幽霊はご遠慮したいので今日中に街まで入ろう。
皆とそうこう話しているともうすぐそこに石でできた壁があった。
そこまで遠いとは感じなかったな。疲れとかも感じないし。これもステータスアップのおかげ?
それに魔物とかにも全然会わなかった。いや、決して会いたいわけじゃないんだけどね。不思議だなぁって。
街へ入るための入口には長い列がなっており、沢山の人や馬、馬車が行ききしていた。街は高い壁に覆われておりついつい見上げてしまう。入口を見る限りあそこにある一つしかないようだ。
「よし。じゃあいこっか」
イチ達に視線を向けると、なにやら視線をきょろきょろと忙しなく動かしていた。
イチは僕の腕から抜け出して地面へと降り立った。
うさまるのぴくぴく動く耳と鼻がなんとも愛らしい。
よく見れば僕の影も不自然に蠢いている気がする。クロスケかな?
ギンがわさわさと羽を動かすのでほっぺが擽ったい。
どうしたのかと聞くと、周りの者達を警戒していたようだ。
「こんな人が多い中でそんな物騒なことする人なんていないんじゃない?」
「いいえ!例えいなくともこれが我々の使命です!マオ様はお気になさらず!」
僕は無言でみんなを撫でた。ちなみにクロスケは影から出てきたら驚かれてしまうかもしれないので僕の影を撫でた。周りに変な目で見られたがクロスケが嬉しそうなのでよしとしよう。
僕達は行列の最後尾に並び、気長に待つこととする。
のんびりとした時間。これからもずっとこんな時間が続くのだと思うと、笑みがこぼれた。
0
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
騎士団長の欲望に今日も犯される
シェルビビ
恋愛
ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。
就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。
ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。
しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。
無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。
文章を付け足しています。すいません
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる