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マオはゼロじぃとお別れする.38
しおりを挟む「それにしてもほんとに凄く良くなったなぁ。背景とか細かくて綺麗だし、いいなぁ。こんな所に住んでみたいなぁ…」
マオにとっては、何気ない一言。
しかしゼロじぃには衝撃の一言であった。
「そ、それじゃぁぁぁぁぁぁぁあああ」
びくぅっっ
ゼロじぃの声が響き渡る。
「な、なにが??」
「それじゃよ!そのフリーデイズのデータを、マオの力にするんじゃ!いや、もともとマオのじゃけどな!」
ん?どういうこと?首を傾げる。
「む?わからんか?マオのそのゲームのデータをわしの世界に移すんじゃ!ゼロの世界で実際に配下達と会うことができると言ったらわかるか?」
実際に?
「…じゃ、じゃあ、イチにも実際に会って触れるってこと?」
「そうじゃ!その通り!いいぞいいぞ!自分の作り上げた国なら安心するし、周りには自分の育て上げた配下たち!決まりじゃ決まりじゃ!さっそく作業に取りかかるのじゃ!元はわしの世界を見本としてつくったもの!簡単なもんじゃ!」
あ、あの夢にまで見たモフモフの毛に触れることが出来る…。
ゼロじぃに任せよう!頑張って!全力で!!
ゼロじぃはすぐさま作業に移る。
僕は持っていたスマホをゼロじぃに渡して待つこと…、時間わからないんだった。
ともかく結構待った。
するとゼロじぃが暗い顔で帰ってきた。
「すまん…マオ。お主のデータ量が凄すぎて、わしの神様パワーが足りんかったのじゃ…。」
あぁ、そんなこと。びっくりした。凄い暗いからどうしたのかと…
「いいよ。別に。無理しなくても。」
少し残念だけど。
「くっ、わしはマオにたくさんの恩や償いをしないといけないというのに…!わしは無力じゃぁぁぁぁあ」
よしよしと嘆いているゼロじぃを慰めていると、どこからかピロリんと音が鳴った。ん?なんだ?その音を聞いたゼロじぃは顔を輝かせた。
「はっ!そうじゃ!これがあった!まっとれマオ!わしは賭けに勝って、神様パワーをがっつりぶんどってくるからノ!」
地球の神からの連絡らしい。賭けが終わったのだと。ゼロじぃはまた全力で姿を消した。
また待つのか…。
数分しないうちにゼロじぃは帰ってきた。
「ふぅぅーー!!!やったのじゃマオ!わしは勝った!めちゃくちゃ勝ったのじゃ!あやつのパワーをほとんど奪ってやったわい!!!」
どうやら勝ったらしい。
ってことは日本でフリーデイズは人気になったってこと?
やった!よかった!でもテンション上がりすぎてるよ。ちょっと落ち着いてね。ゼロじぃ。もうお年寄りなんだから…。
「これでマオの国がデータ通り完璧に、いや、それ以上に作りあがったのじゃ!ほれ!これじゃ!」
僕は特に変わった様子のないスマホを受け取る。
「夢から覚めたら使ってみぃ!使い方はゲームのときと同じじゃ!!色々とわしがいじっているから凄いことになってるはずじゃ!それとマオが言っていた家の物もそのスマホの中に入れておいたでな!」
「そ、そっか!ゼロじぃ…。ほんとに嬉しいよ!ありがとう!」
自分が愛情を込めて育ててきたわが子のような配下たちだ。
会えるのがとても楽しみ。それとおじいちゃん、おばあちゃん。それにお父さんとお母さんの形見も…。本当にありがとう。ゼロじぃ。
「マオには本当に感謝しかない…。わしができることはここまでじゃ。あとはマオ次第。マオが幸せになるのを、わしは見守っとるよ…。なぁに、わしともきっと、またどこかで会える。だから、そう泣くな…。」
「…ゔんっ、また、絶対会おうね、ゼロじぃ…」
ゼロじぃの手の温もりを頭に感じながら、僕の意識は薄くなっていった。
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