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第3部 第4章・あちら
第1回
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1
「――ヤバい、めちゃくちゃ眠い」
桜が、大きなあくびと共にそう口にした。
時刻は午前十時を過ぎたところで、玲奈と桜はふたり、リビングで向かい合ってテスト勉強に励んでいた。
昨夜のあの一件から、結局まともに眠ることのできなかったふたりは、何度も何度もあくびを漏らしながら、重たい瞼と戦いを繰り広げなければならなかった。おかげでテスト勉強は思った以上にはかどらず、何を読んでも書いても頭に一切入ってこない。いっそもうひと眠りした方が良いんじゃないかと思った玲奈は、そのまま開いたノートの上に突っ伏しながら、
「私も、もう、無理……」
と音を上げてしまう。
そんな玲奈に、桜も同意したように、
「ちょっと、休憩する?」
「……うん」
玲奈は眠気に抗うように頭をもたげ、若干ふらつく足取りで台所へ向かうとふたり分、コーヒーの準備に取り掛かった。
母親は朝から出かけてしまったので、自分で淹れるしかない。
普段あまりコーヒーを飲まない玲奈だったが、今日ばかりはカフェインを摂取してこの眠気を取り払わなければ、もはやどうする事もできなかった。
コトラもリビングのソファーの上で丸くなって眠っているが、それでも警戒を怠らないよう耳をぴんと立てている。
玲奈はカップをふたつ取り出すと、父親が良く飲んでいる粉コーヒーを少し多めにスプーンですくった。それからコンロでお湯を沸かして注ぎ、トレーに乗せてリビングまで運ぶと桜が寝息を立てていた。
「……桜、コーヒー淹れたよ」
玲奈の声に、桜は「ふぇっ」と身体を震わせると、慌てたように上半身を起こして、
「あ、あぁ、ごめん、ありがと、玲奈」
その口の端から垂れる涎を拭いながら、にへらと笑ってそういった。
ふたりは教科書やノートを机の脇に置いて、向かい合ってコーヒーに口を付ける。
「――おっと、苦い」
「ちょっと濃いめに入れたから。お砂糖とか、いる?」
「うん、お願い。しっかし、玲奈はブラックで飲めるんだね」
「ううん」玲奈は首を横に振り、「あんまり眠いから、このままの方が良いかなって思っただけ」
「なーんだ」
それから玲奈は改めて台所に向かうと、スティックシュガーとコーヒーミルクをいくつか引き出しから引っ張り出して、
「はい、どうぞ」
「ありがと」
桜はそれらを受け取ると、ドバドバとコーヒーの中に突っ込んだ。
「あぁ、あたしはこれくらい甘いのがいいや」
「そう? じゃぁ、私もいれよ」
玲奈も砂糖とミルクをコーヒーに混ぜ、口に含む。
渋みと苦みが抑えられて、飲みやすくなったコーヒーが口の中いっぱいに広がった。
まだちょっと苦いけど、まぁ、これくらいでいいだろう。
少しだけ、眠気が飛んでいったような気もする。
「――それにしても、昨日は大事にならなくてよかったね」
桜の言葉に、玲奈は「うん」と頷いて、
「まさか、あのスーツの人だけじゃなくて、石上さんまで現れるなんて思わなかった。あのふたり、いったいどういう関係だったんだろう」
「そうだね」と桜は頷き、「何となく、石上さんの為に、玲奈が一人になるよう仕向けてた感じがする」
「……うん」
でも、あの二人に接点があるとして、いったいどういう繋がりだったんだろう。それに、石上さんの言っていた、『あの女』というのも気になるところだ。玲奈は石上の中で、相原によく似た髪の長い女の後ろ姿を目にしている。ぼんやりとした姿だったが、その女は真っ黒い服を着ていたような気がする。
でも、だとすると、その真っ黒い服の女って、もしかして――
「それに、ふたりじゃなかったかもしれない」
桜が眉間に皺を寄せて、玲奈は「えっ?」と小首を傾げる。
「どういうこと?」
「実はさ、昨日、あたしがトイレに行ったとき、閉じ込められたんだよ。外から誰かにドアを押さえられてる感じだった」
「閉じ込められたって、大丈夫だったの?」
「まぁ、その時は焦ったけどさ」桜は小さくため息を吐いてから、「何度かトイレのドアをドンドン叩いてみたり、ノブをガチャガチャやってみたけど、全然開かなくてさ。どうしようどうしよう、って焦ってる間に、なんか外から物音が聞こえてくるし――」
「そ、それで、どうしたの?」
「どうもできなかった」ことりと空になったコーヒーカップを机に置いて、桜はじっと玲奈を見やる。「何度か試してるうちに、外でドアを押さえてた誰かの気配が消えて、そのまま急いで玲奈の部屋に向かったの。何かあったんじゃないかって思ったから。そしたら、ベッドに横たわったまま、玲奈、息をしてなかったから、慌てて声を掛けたんだ」
「……息、してなかったんだ、私」
「うん。本当に焦ったよ」桜は、今度は深い深いため息を吐く。「あたし、死んじゃったのかと思って泣きそうになっちゃったもん」
「――ごめん。ありがとう、呼んでくれて。たぶん、それで戻ってこれた」
ううん、と桜は首を横に振って、
「まぁ、何にしても、無事でよかったよ」
と玲奈の頬に手を伸ばした。
その桜の手に、玲奈も思わず手を伸ばす。
「――うん」
それから互いに微笑みあったあと、
「でも、だとしたらあのとき、ここには三体の死霊がいたってことだよね?」桜は言って、コトラの方に顔を向ける。「コトラは気が付かなかったわけ?」
するとコトラは「え、あ」と一瞬、戸惑うように顔を上げ、
「す、すみません。あの男の気配に集中するあまり、他の存在に気付きませんでした……」
「……まぁ、あたしもまさか、あの変態男以外に玲奈を狙っているやつがいるなんて思ってもいなかったしなぁ」
「それは――うん。私も、まさか石上さんが――」
石上のことを思うと、心を深く抉られたような気分になる。石上の中で視た彼女の死の間際を思い出すだけで、玲奈は何も知らなかった自分が悔しかった。彼女が抱えていた問題を、少しでも共有してあげられていたら、もしかしたら、或いは……
そんなことを考えるだけ無駄なのは解っている。起きてしまったことは変えられない。その現実を、玲奈は受け止めるより他に仕方がなかった。
それに、今頃は麻奈が石上をあちら側に連れて行ってくれているはずだ。
少なからず、石上の魂は救われたのである――と、玲奈は信じたかった。
「でも、気になるのはやっぱり、あの変態男と石上さん、それからあたしをトイレに閉じ込めてた誰かの関係だよね」
確かにその通りだ。
石上の記憶の中に、少なくともあのスーツの男は一度も登場しなかった。
それはつまり、生前に於いて、石上とあのスーツの男には何の接点もなかったということになるだろう。
だとすれば、石上とスーツの男の接点は恐らく死後に……?
そう玲奈が考えたとき、再び玲奈の頭に浮かび上がってきたのは、やはりあの長い黒髪の女だった。
黒い服に身を包んだ、長い黒髪の女――或いは、少女。
まさか、それって……
――ドドンッ!
その瞬間、玲奈も桜も思わず身をすくめて目を見開いた。
あまりにも大きな音、そしてマンション全体が大きく揺れる。
それはほんの一瞬のことだったけれど、次いで外から聞こえてくる人々の叫ぶ声やクラクションに、玲奈と桜は立ち上がり、「なになに? 何が起こったの?」とベランダに出た。
「なに、これ――」
桜は階下に見えるその有様に、信じられないといった声を漏らした。
マンションから見える歩道や道路のマンホールの蓋が一斉に吹き飛び、空高く水が噴き出していたのである。
道を行く人々は悲鳴を上げ、或いは立ち止まり、茫然とその様子を見上げていた。
がらんがらんと重たい音とともに、振ってきたマンホールの蓋に驚きながら避ける人々。
続けてボコン、ボコン、と道路のアスファルトが次々に陥没し始め、それにハンドルを取られた自動車やバスの運転手が、甲高い音を立てながら急ブレーキをかけて停車する。中には急停車した車の後ろにそのまま突っ込み、ドン! とフロントバンパーが大きく潰れた車もあった。
辺りは喧騒に包まれていた。
誰もが何が起こっているのか理解しきれず、狼狽していた。
スマホを取り出し嬉々としてその様子を録画している者たちがいる中で、ごうごうと噴き上げるその水に交じって、いくつもの赤黒い塊が宙を舞うさまが玲奈の目に入った。
「なに? あれ……」
「行ってみよう!」
玄関に向かって駆け出す桜に、
「あ、桜!」
玲奈も慌てて、そのあとを追うのだった。
「――ヤバい、めちゃくちゃ眠い」
桜が、大きなあくびと共にそう口にした。
時刻は午前十時を過ぎたところで、玲奈と桜はふたり、リビングで向かい合ってテスト勉強に励んでいた。
昨夜のあの一件から、結局まともに眠ることのできなかったふたりは、何度も何度もあくびを漏らしながら、重たい瞼と戦いを繰り広げなければならなかった。おかげでテスト勉強は思った以上にはかどらず、何を読んでも書いても頭に一切入ってこない。いっそもうひと眠りした方が良いんじゃないかと思った玲奈は、そのまま開いたノートの上に突っ伏しながら、
「私も、もう、無理……」
と音を上げてしまう。
そんな玲奈に、桜も同意したように、
「ちょっと、休憩する?」
「……うん」
玲奈は眠気に抗うように頭をもたげ、若干ふらつく足取りで台所へ向かうとふたり分、コーヒーの準備に取り掛かった。
母親は朝から出かけてしまったので、自分で淹れるしかない。
普段あまりコーヒーを飲まない玲奈だったが、今日ばかりはカフェインを摂取してこの眠気を取り払わなければ、もはやどうする事もできなかった。
コトラもリビングのソファーの上で丸くなって眠っているが、それでも警戒を怠らないよう耳をぴんと立てている。
玲奈はカップをふたつ取り出すと、父親が良く飲んでいる粉コーヒーを少し多めにスプーンですくった。それからコンロでお湯を沸かして注ぎ、トレーに乗せてリビングまで運ぶと桜が寝息を立てていた。
「……桜、コーヒー淹れたよ」
玲奈の声に、桜は「ふぇっ」と身体を震わせると、慌てたように上半身を起こして、
「あ、あぁ、ごめん、ありがと、玲奈」
その口の端から垂れる涎を拭いながら、にへらと笑ってそういった。
ふたりは教科書やノートを机の脇に置いて、向かい合ってコーヒーに口を付ける。
「――おっと、苦い」
「ちょっと濃いめに入れたから。お砂糖とか、いる?」
「うん、お願い。しっかし、玲奈はブラックで飲めるんだね」
「ううん」玲奈は首を横に振り、「あんまり眠いから、このままの方が良いかなって思っただけ」
「なーんだ」
それから玲奈は改めて台所に向かうと、スティックシュガーとコーヒーミルクをいくつか引き出しから引っ張り出して、
「はい、どうぞ」
「ありがと」
桜はそれらを受け取ると、ドバドバとコーヒーの中に突っ込んだ。
「あぁ、あたしはこれくらい甘いのがいいや」
「そう? じゃぁ、私もいれよ」
玲奈も砂糖とミルクをコーヒーに混ぜ、口に含む。
渋みと苦みが抑えられて、飲みやすくなったコーヒーが口の中いっぱいに広がった。
まだちょっと苦いけど、まぁ、これくらいでいいだろう。
少しだけ、眠気が飛んでいったような気もする。
「――それにしても、昨日は大事にならなくてよかったね」
桜の言葉に、玲奈は「うん」と頷いて、
「まさか、あのスーツの人だけじゃなくて、石上さんまで現れるなんて思わなかった。あのふたり、いったいどういう関係だったんだろう」
「そうだね」と桜は頷き、「何となく、石上さんの為に、玲奈が一人になるよう仕向けてた感じがする」
「……うん」
でも、あの二人に接点があるとして、いったいどういう繋がりだったんだろう。それに、石上さんの言っていた、『あの女』というのも気になるところだ。玲奈は石上の中で、相原によく似た髪の長い女の後ろ姿を目にしている。ぼんやりとした姿だったが、その女は真っ黒い服を着ていたような気がする。
でも、だとすると、その真っ黒い服の女って、もしかして――
「それに、ふたりじゃなかったかもしれない」
桜が眉間に皺を寄せて、玲奈は「えっ?」と小首を傾げる。
「どういうこと?」
「実はさ、昨日、あたしがトイレに行ったとき、閉じ込められたんだよ。外から誰かにドアを押さえられてる感じだった」
「閉じ込められたって、大丈夫だったの?」
「まぁ、その時は焦ったけどさ」桜は小さくため息を吐いてから、「何度かトイレのドアをドンドン叩いてみたり、ノブをガチャガチャやってみたけど、全然開かなくてさ。どうしようどうしよう、って焦ってる間に、なんか外から物音が聞こえてくるし――」
「そ、それで、どうしたの?」
「どうもできなかった」ことりと空になったコーヒーカップを机に置いて、桜はじっと玲奈を見やる。「何度か試してるうちに、外でドアを押さえてた誰かの気配が消えて、そのまま急いで玲奈の部屋に向かったの。何かあったんじゃないかって思ったから。そしたら、ベッドに横たわったまま、玲奈、息をしてなかったから、慌てて声を掛けたんだ」
「……息、してなかったんだ、私」
「うん。本当に焦ったよ」桜は、今度は深い深いため息を吐く。「あたし、死んじゃったのかと思って泣きそうになっちゃったもん」
「――ごめん。ありがとう、呼んでくれて。たぶん、それで戻ってこれた」
ううん、と桜は首を横に振って、
「まぁ、何にしても、無事でよかったよ」
と玲奈の頬に手を伸ばした。
その桜の手に、玲奈も思わず手を伸ばす。
「――うん」
それから互いに微笑みあったあと、
「でも、だとしたらあのとき、ここには三体の死霊がいたってことだよね?」桜は言って、コトラの方に顔を向ける。「コトラは気が付かなかったわけ?」
するとコトラは「え、あ」と一瞬、戸惑うように顔を上げ、
「す、すみません。あの男の気配に集中するあまり、他の存在に気付きませんでした……」
「……まぁ、あたしもまさか、あの変態男以外に玲奈を狙っているやつがいるなんて思ってもいなかったしなぁ」
「それは――うん。私も、まさか石上さんが――」
石上のことを思うと、心を深く抉られたような気分になる。石上の中で視た彼女の死の間際を思い出すだけで、玲奈は何も知らなかった自分が悔しかった。彼女が抱えていた問題を、少しでも共有してあげられていたら、もしかしたら、或いは……
そんなことを考えるだけ無駄なのは解っている。起きてしまったことは変えられない。その現実を、玲奈は受け止めるより他に仕方がなかった。
それに、今頃は麻奈が石上をあちら側に連れて行ってくれているはずだ。
少なからず、石上の魂は救われたのである――と、玲奈は信じたかった。
「でも、気になるのはやっぱり、あの変態男と石上さん、それからあたしをトイレに閉じ込めてた誰かの関係だよね」
確かにその通りだ。
石上の記憶の中に、少なくともあのスーツの男は一度も登場しなかった。
それはつまり、生前に於いて、石上とあのスーツの男には何の接点もなかったということになるだろう。
だとすれば、石上とスーツの男の接点は恐らく死後に……?
そう玲奈が考えたとき、再び玲奈の頭に浮かび上がってきたのは、やはりあの長い黒髪の女だった。
黒い服に身を包んだ、長い黒髪の女――或いは、少女。
まさか、それって……
――ドドンッ!
その瞬間、玲奈も桜も思わず身をすくめて目を見開いた。
あまりにも大きな音、そしてマンション全体が大きく揺れる。
それはほんの一瞬のことだったけれど、次いで外から聞こえてくる人々の叫ぶ声やクラクションに、玲奈と桜は立ち上がり、「なになに? 何が起こったの?」とベランダに出た。
「なに、これ――」
桜は階下に見えるその有様に、信じられないといった声を漏らした。
マンションから見える歩道や道路のマンホールの蓋が一斉に吹き飛び、空高く水が噴き出していたのである。
道を行く人々は悲鳴を上げ、或いは立ち止まり、茫然とその様子を見上げていた。
がらんがらんと重たい音とともに、振ってきたマンホールの蓋に驚きながら避ける人々。
続けてボコン、ボコン、と道路のアスファルトが次々に陥没し始め、それにハンドルを取られた自動車やバスの運転手が、甲高い音を立てながら急ブレーキをかけて停車する。中には急停車した車の後ろにそのまま突っ込み、ドン! とフロントバンパーが大きく潰れた車もあった。
辺りは喧騒に包まれていた。
誰もが何が起こっているのか理解しきれず、狼狽していた。
スマホを取り出し嬉々としてその様子を録画している者たちがいる中で、ごうごうと噴き上げるその水に交じって、いくつもの赤黒い塊が宙を舞うさまが玲奈の目に入った。
「なに? あれ……」
「行ってみよう!」
玄関に向かって駆け出す桜に、
「あ、桜!」
玲奈も慌てて、そのあとを追うのだった。
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