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【番外編】3
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夜鳥を寮の布団に寝かせて、一応教師にも体調が悪いことを伝えた。熊野も一緒に着いてきてくれた為、凄く助かった。
「ほんとに何から何までごめんな」
「これ位構わない。寧ろ猫宮といれるから嬉しい」
至極当然のように言い、ふっと笑う熊野に思わず見惚れる。まるで漫画に出てくる女ファンが多いクールキャラみたいだ。顔も性格も良いのに俺が好きとか宝の持ち腐れだぞ。俺に分けろ!そんな嫉妬混じりの憤慨は胸の内に留め、ぶっきらぼうに「それは良かった」とだけ返した。折角手伝ってくれた熊野にこんな図々しい態度で怒るか?と不安げに見上げたが、熊野は目が合えば寧ろ嬉しそうに微笑んだ。もしや、ドM……?
試しに爪先立ちで立ち、頬を人差し指と親指で摘んで軽く引っ張ってみる。すると、熊野は当然の如く目を少しだけ開いた。
「なんだ?」
「あ、ごめん。痛かった?」
「いや。全く」
喜ぶかと思ったが特に変化無し。もっと強く抓った方が喜ぶかもしれないが、俺は人を痛みつける趣味は無いし、自分も見るだけでヒリヒリと体が痛むような感覚が湧くから無理だ。う、それを考えてくると熊野の頬を見てると俺の頬まで何だか痛く感じてきた。そんな俺とは裏腹に熊野は何故かククッと堪えるように笑った。え、やっぱりドM?疑わしげに見上げると、笑い声を漏らしながらも話した。
「ふっ、自分から抓ったくせに、不安げに見てどうした?」
「だって痛そう」
「痛くない。子猫がじゃれてきたようなものだ」
慰めるように俺の髪を優しく撫でながら言ったが、そこまで痛くないなんて逆に不満がある。ていうかちょっと小馬鹿にしてないか?子猫なんて、一応俺全国平均と同じ位の握力あるしそこまで弱くないと思うが。
眉間に皺を寄せ不満を露わにするが、熊野はきょとんとしてる。コイツ、本当に言動全て悪気が無いのが厄介だな……。
すると、突如寮の扉が開いた。扉の先にいた男は俺を見た瞬間飛び付いてきた。
「猫宮!あのさ、合コンの事だけどさ、そ、その彼女なんか作らなくても良くね?今は男の友情を深めようぜ?な?な?」
汗をダラダラ流しながら犬山は言う。急になんだコイツ。というか、いつの間に生き返ったんだろう。
突然の彼の言い分に呆然としていると、何故か犬山は頬を赤く染め下を俯きながらそっとチケットを差し出してきた。
「これ、さっきクラスのやつに貰ったんだけど、折角だし一緒に行かね?」
照れたように笑う。チケットの文字を見てみると、どうやら遊園地のチケットのようだ。久々に行くのも良いかも。
すると、ふと横の男からの視線に気付く。そういや熊野って俺のこと好きなんだった。もし犬山と一緒に行くなんて知ったら……。
恐る恐る隣を見ると顰めっ面の熊野がいた。やっぱり怒ってる!いや、普通友達と遊園地とか行くものじゃないのか?お前も行くだろ。あ、でも熊野はそういう友達がいないのか。何だか申し訳なくなってきた。
いや、よく考えれば熊野に友達作れば俺から意識を離してくれるんじゃないか?丁度寮のみんなで親睦を深める機会になるし、これは良い。
親指を立てて犬山の肩に腕を回した。
「よし、行こう!!」
「おお、楽しみだな!」
「みんなで!」
「え、みんな……?」
「ほんとに何から何までごめんな」
「これ位構わない。寧ろ猫宮といれるから嬉しい」
至極当然のように言い、ふっと笑う熊野に思わず見惚れる。まるで漫画に出てくる女ファンが多いクールキャラみたいだ。顔も性格も良いのに俺が好きとか宝の持ち腐れだぞ。俺に分けろ!そんな嫉妬混じりの憤慨は胸の内に留め、ぶっきらぼうに「それは良かった」とだけ返した。折角手伝ってくれた熊野にこんな図々しい態度で怒るか?と不安げに見上げたが、熊野は目が合えば寧ろ嬉しそうに微笑んだ。もしや、ドM……?
試しに爪先立ちで立ち、頬を人差し指と親指で摘んで軽く引っ張ってみる。すると、熊野は当然の如く目を少しだけ開いた。
「なんだ?」
「あ、ごめん。痛かった?」
「いや。全く」
喜ぶかと思ったが特に変化無し。もっと強く抓った方が喜ぶかもしれないが、俺は人を痛みつける趣味は無いし、自分も見るだけでヒリヒリと体が痛むような感覚が湧くから無理だ。う、それを考えてくると熊野の頬を見てると俺の頬まで何だか痛く感じてきた。そんな俺とは裏腹に熊野は何故かククッと堪えるように笑った。え、やっぱりドM?疑わしげに見上げると、笑い声を漏らしながらも話した。
「ふっ、自分から抓ったくせに、不安げに見てどうした?」
「だって痛そう」
「痛くない。子猫がじゃれてきたようなものだ」
慰めるように俺の髪を優しく撫でながら言ったが、そこまで痛くないなんて逆に不満がある。ていうかちょっと小馬鹿にしてないか?子猫なんて、一応俺全国平均と同じ位の握力あるしそこまで弱くないと思うが。
眉間に皺を寄せ不満を露わにするが、熊野はきょとんとしてる。コイツ、本当に言動全て悪気が無いのが厄介だな……。
すると、突如寮の扉が開いた。扉の先にいた男は俺を見た瞬間飛び付いてきた。
「猫宮!あのさ、合コンの事だけどさ、そ、その彼女なんか作らなくても良くね?今は男の友情を深めようぜ?な?な?」
汗をダラダラ流しながら犬山は言う。急になんだコイツ。というか、いつの間に生き返ったんだろう。
突然の彼の言い分に呆然としていると、何故か犬山は頬を赤く染め下を俯きながらそっとチケットを差し出してきた。
「これ、さっきクラスのやつに貰ったんだけど、折角だし一緒に行かね?」
照れたように笑う。チケットの文字を見てみると、どうやら遊園地のチケットのようだ。久々に行くのも良いかも。
すると、ふと横の男からの視線に気付く。そういや熊野って俺のこと好きなんだった。もし犬山と一緒に行くなんて知ったら……。
恐る恐る隣を見ると顰めっ面の熊野がいた。やっぱり怒ってる!いや、普通友達と遊園地とか行くものじゃないのか?お前も行くだろ。あ、でも熊野はそういう友達がいないのか。何だか申し訳なくなってきた。
いや、よく考えれば熊野に友達作れば俺から意識を離してくれるんじゃないか?丁度寮のみんなで親睦を深める機会になるし、これは良い。
親指を立てて犬山の肩に腕を回した。
「よし、行こう!!」
「おお、楽しみだな!」
「みんなで!」
「え、みんな……?」
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