眠りに落ちると、俺にキスをする男がいる

ぽぽ

文字の大きさ
上 下
3 / 14

3

しおりを挟む

「何だよ、力はそんなに弱くないからな。見くびるなよー!」

 確かに運動は暑いし嫌いだから万年文化部の俺は自然とヒョロヒョロの体だが、体力テストの結果を見る限り全国平均と同じ位だ。まあ運動部の犬山や夜鳥と比べれば劣るが。
 すると、夜鳥は手に込める力を強めた。指先が肉に食い込んで痛いくらい握られる。

「痛っ、おいやり過ぎ」
「こんなに直ぐに痛みつけられるんだ。危ないな」
「はぁ?お前何言って」

 その時、勘の良い俺は気付いた。
 誰も居ない部屋。抵抗出来なさそうな軟弱な男とゲイの2人きり。間違いない。

 掘られる。

 やばいやばいやばい。間違いとかじゃなくて本当にキスされるじゃん。それにその先のもっとヤバイ事もされてしまう。勘弁してくれ。初めての行為が男に無理矢理とか最悪だろ!しかも性のはけ口に使われるとか絶対に無理。

 腕は抑えられているから、下半身で攻撃するしかない。
そう考えた俺は目の前の男の足を思いっきり踏み付けた。すると、計画通り彼は痛みを受けてその場で崩れるように足を抑えた。その隙に逃げようとしたが、必死の声が聞こえ立ち止まった。
 
「待って!!ごめん。暴力を振るつもりじゃなくて」

 暴力を振るつもりは無くてもやるつもりはあっただろうが。
 いや、まだ断定するのは早すぎる。単に腕ほっそと揶揄うだけだったかもしれない。

「じゃあ何だよ」
「ごめん。男子校でそんなに細いと狙われたら危険だと思って警戒心を試したんだけど、心配無用みたいだね」

 夜鳥は眉を下げて情けなさそうに笑った。
 一方、俺も自分が本気で狙われた訳ではなかったことに心底安心した。
 なんだ、俺を試しただけか。本気にした俺が馬鹿みたいだな。まあよくよく考えたら細いとしても俺みたいな平凡顔を誰も襲う気にはならないだろう。

 そして安心し切った俺はそのまま余計なことまで口を滑らせてしまった。
 
「あー、びっくりした。でも良かったよ。本気だったらキスだけじゃなくて俺の処女も奪われるのかと……」
「は?」
「ん?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い

過保護な不良に狙われた俺

ぽぽ
BL
強面不良×平凡 異能力者が集まる学園に通う平凡な俺が何故か校内一悪評高い獄堂啓吾に呼び出され「付き合え」と壁ドンされた。 頼む、俺に拒否権を下さい!! ━━━━━━━━━━━━━━━ 王道学園に近い世界観です。

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

王道学園なのに会長だけなんか違くない?

ばなな
BL
※更新遅め この学園。柵野下学園の生徒会はよくある王道的なも のだった。 …だが会長は違ったーー この作品は王道の俺様会長では無い面倒くさがりな主人公とその周りの話です。 ちなみに会長総受け…になる予定?です。

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う

らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。 唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。 そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。 いったいどうなる!? [強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。 ※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。 ※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。

お迎えから世界は変わった

不知火
BL
「お迎えに上がりました」 その一言から180度変わった僕の世界。 こんなに幸せでいいのだろうか ※誤字脱字等あると思いますがその時は指摘をお願い致します🙇‍♂️ タグでこれぴったりだよ!ってのがあったら教えて頂きたいです!

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

主人公は俺狙い?!

suzu
BL
生まれた時から前世の記憶が朧げにある公爵令息、アイオライト=オブシディアン。 容姿は美麗、頭脳も完璧、気遣いもできる、ただ人への態度が冷たい冷血なイメージだったため彼は「細雪な貴公子」そう呼ばれた。氷のように硬いイメージはないが水のように優しいイメージもない。 だが、アイオライトはそんなイメージとは反対に単純で鈍かったり焦ってきつい言葉を言ってしまう。 朧げであるがために時間が経つと記憶はほとんど無くなっていた。 15歳になると学園に通うのがこの世界の義務。 学園で「インカローズ」を見た時、主人公(?!)と直感で感じた。 彼は、白銀の髪に淡いピンク色の瞳を持つ愛らしい容姿をしており、BLゲームとかの主人公みたいだと、そう考える他なかった。 そして自分も攻略対象や悪役なのではないかと考えた。地位も高いし、色々凄いところがあるし、見た目も黒髪と青紫の瞳を持っていて整っているし、 面倒事、それもBL(多分)とか無理!! そう考え近づかないようにしていた。 そんなアイオライトだったがインカローズや絶対攻略対象だろっ、という人と嫌でも鉢合わせしてしまう。 ハプニングだらけの学園生活! BL作品中の可愛い主人公×ハチャメチャ悪役令息 ※文章うるさいです ※背後注意

処理中です...