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しおりを挟む「何だよ、力はそんなに弱くないからな。見くびるなよー!」
確かに運動は暑いし嫌いだから万年文化部の俺は自然とヒョロヒョロの体だが、体力テストの結果を見る限り全国平均と同じ位だ。まあ運動部の犬山や夜鳥と比べれば劣るが。
すると、夜鳥は手に込める力を強めた。指先が肉に食い込んで痛いくらい握られる。
「痛っ、おいやり過ぎ」
「こんなに直ぐに痛みつけられるんだ。危ないな」
「はぁ?お前何言って」
その時、勘の良い俺は気付いた。
誰も居ない部屋。抵抗出来なさそうな軟弱な男とゲイの2人きり。間違いない。
掘られる。
やばいやばいやばい。間違いとかじゃなくて本当にキスされるじゃん。それにその先のもっとヤバイ事もされてしまう。勘弁してくれ。初めての行為が男に無理矢理とか最悪だろ!しかも性のはけ口に使われるとか絶対に無理。
腕は抑えられているから、下半身で攻撃するしかない。
そう考えた俺は目の前の男の足を思いっきり踏み付けた。すると、計画通り彼は痛みを受けてその場で崩れるように足を抑えた。その隙に逃げようとしたが、必死の声が聞こえ立ち止まった。
「待って!!ごめん。暴力を振るつもりじゃなくて」
暴力を振るつもりは無くてもやるつもりはあっただろうが。
いや、まだ断定するのは早すぎる。単に腕ほっそと揶揄うだけだったかもしれない。
「じゃあ何だよ」
「ごめん。男子校でそんなに細いと狙われたら危険だと思って警戒心を試したんだけど、心配無用みたいだね」
夜鳥は眉を下げて情けなさそうに笑った。
一方、俺も自分が本気で狙われた訳ではなかったことに心底安心した。
なんだ、俺を試しただけか。本気にした俺が馬鹿みたいだな。まあよくよく考えたら細いとしても俺みたいな平凡顔を誰も襲う気にはならないだろう。
そして安心し切った俺はそのまま余計なことまで口を滑らせてしまった。
「あー、びっくりした。でも良かったよ。本気だったらキスだけじゃなくて俺の処女も奪われるのかと……」
「は?」
「ん?」
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