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第5章
どうも、ドラゴンの専門家です
しおりを挟む国際会議にとーさまと共に参戦する旨を戦地に居るにぃ様とノヴァには魔導送書でお知らせした。
すぐに返事が届いて二人とも心配しつつも僕ならば出来ると激励してくれる内容に、更に自信を持って挑む国際会議当日。
「何度も申し上げるが、こちらに理解を示せと言うのならば我等にもドラゴンの恩恵を分けていただかなければ。何もなしに言葉だけで我等に納得しろと言われても…っは!話になりませんな」
「ドラゴンが恩恵を与えるかどうかはドラゴン次第とおっしゃるのならば、何か?我等にはドラゴンの恩恵を受けるだけの器がないとでも言うつもりか?」
「何と!我が国を愚弄しておるのか!これは同盟も見直さねばなりませんなぁ」
理解を示さない3割の国の代表が誰かはすぐに分かった。
踏ん反り返って偉そうな態度、高圧的な物言い、嘲笑…全てが不愉快で下品極まりない。
他国の代表の中にはそんな彼等に煽られて険しい顔をこちらへ向ける者、騒ぐ彼等を目を細めて見ている者と別れていて、とても友好的な国同士の会議とは思えない空気が漂っている。
「我等はドラゴンから力を借りている状況だ。今の混乱が落ち着けばドラゴンが戦争に参加することは滅多にないだろう。我等に手を貸すかどうかはドラゴン次第。アーナンダ国に住まうドラゴンが同盟国へ故意に危害を加えた場合はアーナンダ国が責任を持って対応する誓約書も発行すると、こちらも何度も申し上げているが貴殿等が納得できないと言うので今回は我が国の専門家を連れて来た。ルナイス・ウォードだ」
「ご紹介に与りました、ルナイス・ウォードです。幸運にもドラゴンと会話をすることができますので、専門家として皆様にドラゴンについてお話する機会を得ることができ、とても光栄にございます」
溜息を飲み込んだ国王様からの紹介で立ち上がり他国の王へと挨拶をする僕を興味深そうに見る者、気に入らなそうに見る者、厭らしい目で見てくる者と様々。
僕を厭らしい目で見てくる輩はコルダがチェックしてるので帰り道にせいぜい気を付けるがいい。
「では聞くが、ドラゴン達の牙が今後我が国に牙を向けないという証明が出来るのか」
「出来ません」
「なに?っは!アーナンダ国王、専門家はどうやら貴殿の期待には応えられないようだぞ」
最初に口を開いたのは、納得していない国の王の中でもまともそうな獣人の王。
出来ないと答えた僕に一瞬驚いた顔をしたが、すぐに鼻で笑い国王様に残念だったなと声をかける。
国王様も僕のまさかの答えに動揺しているのを必死に隠している。
「先程我が国王様がおっしゃられた通り、ドラゴン達は己の意思で危機的状況にあるアーナンダ国を助けてくれているのです。アマ国に牙を向けないという証明は出来ませんが、ドラゴン達やアーナンダ国に侵略して来ない友好的な国へ牙を向けない証明ならば出来ます」
話は最後まで聞けよっと内心呟きながらそう言うと獣人王、アマ国の国王様は鋭い視線を僕へと向け、グルっと威嚇の音を発する。
「重ねて申し上げますが、たかが我等ごときに古よりこの地に生きる彼等を思い通りに動く兵器にする術はありません。ただお互いを尊重し思いやることが出来れば、無駄な戦はしなくて済むとだけ申し上げます。ドラゴンに対してだけではなく」
「なっ…ただの専門家如きが偉そうに!!貴様はドラゴンと言葉が交わせるから良いが、多くの者はそうはいかんのだぞ!意思疎通できぬ圧倒的な力をもつ相手と情を築くことなど出来るわけがないだろう!!」
「出来ますよ。言葉など通じずとも情は移る。それは人だけでなく獣人も悪魔も天使も魔物も動物も精霊もどんな種族であろうと思いやることはできるはずです。貴方が他者を思いやれないから他者も貴方を思いやれないだけでは?」
僕の言葉に苛立った肥えたどこかの国の国王が唾を撒き散らしながら声を荒げるので、つい僕もイラっとして言い返してしまったが…まぁいいだろう。
隣で国王様がついに耐えきれず溜息を吐いているが僕を頼った国王様が悪いのだ。
「貴様ぁ!!誰かこの者を処せ!!」
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