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第4章
ナマズとラプラス様は仲良し
しおりを挟む翌朝
朝食の席でお腹を満たした後、ラプラス様に例の報告書を提出する。
今朝ラプラス様に提出する前の事前確認と称してノヴァにも見せたのだけど、報告書の内容を見て僕が昨夜虚無顔で報告書を仕上げていた理由を察したノヴァがよく頑張ったなって改めて僕を労い頭を撫でてくれた。
そんな報告書をラプラス様は顔色一つ変えずじっと見て、そしてぶほっと真顔のまま吹き出して、耐えきれないというようにお腹を抱えて笑い出した。
「まっ…まさか沼地の危機が!こんな理由で!?あはははははは!!!!こ、これはナマズに教えてやらねば!あはははは!!!」
お会いしてから初めて聞く爆笑である。
ラプラス様は報告書を丁寧に折りたたんで懐に納めると今日は沼地を出る前に一度ナマズの所へ寄らせてほしいと僕達にお願いしてきたので、全然いいですよーっと答えた。
そして沼地の主、ナマズさんのお家に到着。
ナマズが何を言っているのかは分からないし、どんな感情なのかも分からないけれど楽しそうにラプラス様が話す事の顛末を聞いているように見える。
ゆらゆら揺れているし、偶にすごいうねってる。
ラプラス様達が楽しくお話をしている間、僕達は自由行動を許可されているのでこの地にしかない貴重な植物や動物達を観察することにした。
いくつか難病に効くかもしれないと耳にしたことがある植物を見つけたので後でラプラス様から数本頂けないか聞いてみることにして、そろそろいいかなぁって時間にナマズの所へ戻ると丁度楽しいお話がひと段落したところだった。
もう少しだけ話すというので、植物の採取の許可を貰い僕達は再び沼地を探索。
全てを狩りつくさなければ何でも採取してよいとのことだったので、此処等でしか見ない植物も中央に戻った時に研究する為に頂くことにした。
もしかしたら新たな薬となるかもしれないしね。
必要な分だけ採取した後、再びナマズの所へ戻り僕達は次に熱砂の地へと足を運んだ。
レッドドラゴンの熱波で全身火傷を一度体験した僕は、熱砂の暑さは暑いけれど耐えられないほどじゃなかった。
ノヴァは自分の周りに結界を施していて(僕にもしようとしたけれど必要ないと断った)護衛達は結構な量の汗をながして歩いている。(護衛達は訓練になるからと結界を断った)
ガンナーだけは熱に強い体質のようですごく平然とした様子で歩いている。
「この熱砂にはギフトと呼ばれる熱砂の主が居る。体内に猛毒を持つ者であるから誤って傷つけたりしない方がいいぞ。本人は傷つけられても多少のことでは気づかんほど硬い鎧を持っているがな。」
ラプラス様からもたらされた熱砂の主ギフトは前世と同じ呼び名の生き物、毒蠍であった。
ただ前世の記憶と大きく違うのはその大きさ。
ドラゴンと同じくらいの大きさをもつ主はラプラス様の掛け声に熱い砂の中からその巨体を現した。
「息災であったかギフトよ。」
ラプラス様の言葉に毒蠍ことギフトは尾を揺らして返答する。
どうやら元気でやっているらしいことは何となく伝わってきた。
「うむ…よし。熱砂の方は問題ないようだな。強いて言えばやはり水の確保が問題か。」
どうやら熱砂の地は大きな問題はないらしく、今日はこの後、水溜地へ行き状況確認をし明日そこへラプラス様の魔法で水質や量を調節するというスケジュールが決まった。
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