上 下
292 / 328
第4章

そして南の地へ

しおりを挟む
精霊の他、聖獣等色んな種族の者をホルス様から紹介してもらった。



ホルス様も故郷を僕達に紹介するのは楽しいようで、いつもより活き活きとしている様子で僕達も楽しく東の地を見て回ることができた。







そして東の地を見て回った後、ファクター公爵に一応挨拶をしてから南の地へ。

ホルス様は東の地に居た方がいいのでは?と聞いたが精霊族ほど影響はないらしく、悪魔族と仲の良いドラゴンもいるらしいことを知った。



地竜も南の地の影響は受けないとのことなので、ホルス様と地竜に乗せてもらって移動したので予定よりずっと早く南の地に着くことができた。


色々あって新婚旅行の帰還を延ばしてもらっているから移動時間を短縮できるのはとても有難い。







南の地は悪魔族をまとめている族長、ラプラス様が統治している。

知識欲求の高い悪魔のようで、結構位の高い悪魔のようだけど魔界ではなくこちらの世界に居を構えたお方で悪魔界でも有名だとバグ様から聞いている。




ラプラス様はアーナンダ国から爵位は与えられていないが、人間や精霊では統治しずらい南の地を正式に国から任されている。


ラプラス様も他種族の文化や考え、発明等に興味があるようで定期的に新たな知識を報酬として南の地を統治されているのだとか。







そんなラプラス様の邸宅に辿り着いたのは恐らく夕方頃。

日が当たらず、ずっと仄暗いのであまり時間の感覚が分からない。



「ようこそおいでくださいました。ウォード男爵様方。大変申し訳ないのですがラプラス様は只今何やら閃いたようでして紙に文字を書き殴っておいでて止められません。先に夕食を召し上がっていただき部屋で休んでいただき、ラプラス様が落ち着かれましたら必ずご挨拶させていただきますのでご容赦くださいませ。」


羊の顔をした従者が恭しく出迎えてくれ、そして主が挨拶に現れない理由を説明してくれ今後の簡単なスケジュールを告げてくれる。




「それでしたら明日の朝にでも挨拶をさせていただいても?夕食後には私達は寝てしまいそうでして。」


「あぁ!そうでしたね。失念しており誠に申し訳ありません。では明日の皆様が起きていらっしゃる間に必ずご挨拶させますので。」



悪魔族の大半は睡眠で長時間眠ることはないらしい。

夢魔など夢を扱う悪魔は例外。



そのことは前もってバグさんから聞いていたので、前もって自分達には睡眠時間が必要なことを告げれば、羊さんは思い出したように目を見開き、ご丁寧に深く頭を下げた。








羊さんはラプラス様に仕える悪魔で、名前はないらしい。

ラプラス様からは執事って呼ばれているようで、僕達も彼を呼ぶときは執事っと呼んでくれっと言われた。





執事さんに案内されて夕飯を食し、その後小さなヤギのメイドさんに案内されそれぞれ部屋で休息をとることに。







部屋は僕とノヴァが同室で、隣にヨハネス達従者の部屋。

ホルス様は悪魔界でも重要人物らしく、ドラゴンの姿でのびのびとできる大きな部屋が用意されていた。



ホルス様の部屋が少し遠いのは気になるが、すぐ近くに従者の部屋を用意してくれるあたりは安心できる。






しかし完全には此処の人達を信用することはできない。

失礼な話ではあるが、ラプラス様は長年魔界に帰還されておらずこの世界でも交流があるのはとーさまのような国の重鎮だけというような悪魔だ。



そして悪魔っていう種族は自身の欲望に忠実なあまり他族からすると少々やっかいに思うところもある。




とーさまからは『話の通じない相手ではないし、理由なく他者を害するような者でもない』とは聞いているけれど、自分が対面して交流するまでは真に信用することはできない。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

なぜか第三王子と結婚することになりました

鳳来 悠
BL
第三王子が婚約破棄したらしい。そしておれに急に婚約話がやってきた。……そこまではいい。しかし何でその相手が王子なの!?会ったことなんて数えるほどしか───って、え、おれもよく知ってるやつ?身分偽ってたぁ!? こうして結婚せざるを得ない状況になりました…………。 金髪碧眼王子様×黒髪無自覚美人です ハッピーエンドにするつもり 長編とありますが、あまり長くはならないようにする予定です

【完結】薄幸文官志望は嘘をつく

七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。 忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。 学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。 しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー… 認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。 全17話 2/28 番外編を更新しました

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

逆ざまぁされ要員な僕でもいつか平穏に暮らせますか?

左側
BL
陽の光を浴びて桃色に輝く柔らかな髪。鮮やかな青色の瞳で、ちょっと童顔。 それが僕。 この世界が乙女ゲームやBLゲームだったら、きっと主人公だよね。 だけど、ここは……ざまぁ系のノベルゲーム世界。それも、逆ざまぁ。 僕は断罪される側だ。 まるで物語の主人公のように振る舞って、王子を始めとした大勢の男性をたぶらかして好き放題した挙句に、最後は大逆転される……いわゆる、逆ざまぁをされる側。 途中の役割や展開は違っても、最終的に僕が立つサイドはいつも同じ。 神様、どうやったら、僕は平穏に過ごせますか?   ※  ※  ※  ※  ※  ※ ちょっと不憫系の主人公が、抵抗したり挫けたりを繰り返しながら、いつかは平穏に暮らせることを目指す物語です。 男性妊娠の描写があります。 誤字脱字等があればお知らせください。 必要なタグがあれば付け足して行きます。 総文字数が多くなったので短編→長編に変更しました。

婚約破棄を望みます

みけねこ
BL
幼い頃出会った彼の『婚約者』には姉上がなるはずだったのに。もう諸々と隠せません。

悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?

「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。 王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り 更新頻度=適当

処理中です...