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第4章

龍神様との交信

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東の地へはファクター公爵と国から立ち入りの許可を得て、僕達だけで向かった。



というのも、まだ新たに立法された法律への対処にアーナンダ国を始めとした各国が右往左往しているので僕達につけられる人員が一人もいなかったのだ。

元々案内は必要としていなかったので僕達としては問題ないどころか、寧ろ気楽に移動できる分良かった。





東に建てられた神殿についてはホルス様が場所を知っていたので迷うことなく辿り着くことができた。









「ふむ…龍神はルナイスとじっくりと話をしたいらしい。我等は一度神殿を出るぞ。」


神殿に入ってしばらく、全員でとりあえず挨拶をしたところで目を閉じしばらくじっと止まっていたホルス様はそう言うとさっさと神殿から出て行ってしまった。

龍神が望んでいるとあらば逆らうのは良くないのでノヴァもヨハネスも渋々後に続いて出ていく。









どうしたらいいんだろうっと思いながらとりあえず目を閉じて神殿の中央で跪いてみる。





『ルナイス、聞こえるな。』


『はい。』


これでいいのだろうかっと思っていると不意に頭に龍神様の声が響いた。

何度聞いても不思議な感覚だが、不快感はない。




『なかなか訪れぬので覗いてみれば、何やらやっているようで我との約束なぞ忘れておるのではないかと心配しておったが…覚えていたようで安心したぞ。』


龍神様の言葉にへへっと笑ってごまかす。

ちょっと忘れていたことは秘密だ。




『して、我がルナイスに神殿に出向くように言った理由であるが…まず壱に神殿を通じた方が交信が安定する。弐に主等に迷惑をかけた馬鹿のことだが、最高神の厳重な監視下にあるので今の所は害はないであろう。参に我の加護について説明をしておこうと思ってな。』


龍神様が教えてくれたことにうんうんっと頷きながら聞いていたら、ずっと不明瞭であった加護について教えてもらえるっということで背筋が伸びるし聴覚も敏感になる。

頭に直接響いているから聴覚敏感にしても意味ないのだけど…






『大体は分かっているようだが、まずドラゴンや竜に好かれ庇護されそして対話ができるようになる。お主は前の世界から魂を我が引っ張ってきた為、我との交信ができるがそれは特殊なことだ。ドラゴンの中にはノワールのように稀に我と交信を取れるものがおり、その者を通じて我がこの世にほんの少しばかり関与することができておる。』




『ノワール…ですか?』





『おぉ…そうか。お主は確かぁ…ホルスという名で呼んでおったな。』






聞き慣れないドラゴン名に首を傾げれば、まさかのホルス様のお名前だった。

そういえば以前ホルス様の正式なお名前を聞いたことがあったけれど、すっかり忘れてしまっていた。


尊いホルス様の名を忘れるなど…一生の恥じである!








『ほんにお主はノワールの容姿を好いておるのぉ。まぁ、それは良い。加護には今述べたもの以外の力もある。それは自己再生能力が高いこと、そしてドラゴンしか使えぬ力を使えるということだ。しかし人の身であるお主には負担が大きい。命の危機に瀕した時のみ使用することを勧める。』


自己再生能力が高いという事はホルス様から聞いていたけれど…ドラゴンしか使えない力とは?

文献で読んだこともないし、ホルス様から聞いたこともなければ見たこともない。




『龍神様。ドラゴンしか使えない力とはどんなものですか?』


『うむ。そうさな…国一つ亡ぼすことのできる終焉の吐息エクスヘイルと呼ばれる力だ。神力の混じった炎と光、闇の煙のようなものだな。ルナイスが想像しやすいので言えば…ドラゴンが大きな火球を口から吐きだす力があるであろう?あのようなものだ。』




聞いてみたらとんでもない力だった。

唖然として何も言えない僕に構うことなく龍神様はどんどん話を進めていってしまう。





『まぁ、力が強すぎて生態系を壊してしまうでな…ドラゴン達も滅多にこの力は使わん。』



正直そんな人が持つには強力すぎる力なんて要らない。

要らないんだけど、龍神様は楽しそうに笑っているから要らないですって言えない。



それに…使う事が無くても使えて困ることはない。

使えることが他者に知られると困るけど…







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