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第4章
闇属性適合者の集団って呼び名が長い
しおりを挟む「ふっざけんな!!!」
僕の宣言に一瞬シーンっと静まったけれど、1番が大きな声を上げたことで時が動き出す。
「俺達を利用してお前の革命をするだぁ?何決定事項みたいに言ってやがる!!俺達がお前に手を貸すとでも思ってんのかクソガキ!!」
「やり方は違っても目的は一緒です。貴女達は権力も魔力も知識も協力者も足りていない!そんな貴方達が闇属性適合者の楽園を造る?っは!笑止千万!僕は!権力も魔力も知識を持った協力者達も持っている!そして君達と同じ迫害されてきたことへの怒りも。」
1番の大声に負けないように僕も声を大きくして喋る。
あんまり出さない声量だから既に喉がヒリヒリする。
「勝手にやってろよ!!俺達の邪魔をするな!!!」
こめかみに青い血管を浮き上がらせた怒り心頭な1番はそう言うと僕に向かって拳を振り上げてきたが、その拳が僕に届くことはない。
「てめぇ!!」
1番の拳はコルダによって完璧な別人へと変わり果てた姿のヨハネスの手によって止められている。
僕はこんな状況なのに思わずヨハネスを凝視してしまう。
だってすっごく不潔な浮浪者みたいな見た目になっている。
いつも清潔感たっぷり、汚れ一つありませんって感じのヨハネスからはすごく離れた所に居る存在へとなっていて新鮮極まりない。
「くそが!離しやがれ!!」
目の前で1番が悔しそうにあげる声にはっと我に返った。
1番がぐっぐっと何度もヨハネスの手から逃れようと腕を動かすが微かに動くだけで変わらず振り上げられた腕はそのままだ。
「君はこの集団の中では力があるのだろうけど、慢性的な栄養失調のせいで君が思っているよりも力を発揮できていない状況にある。そして…」
僕の後ろでノヴァによって拘束されている5番へと振り返る。
黒い大きな球はノヴァの光魔法によって打ち消され、本人は拘束魔法で縛られている。
「この中で一番魔術に優れているのだろうけど、君を上回る魔術を扱う者は五万といる。」
1番も5番も悔しそうに顔を顰めているが、どちらも拘束から逃れられずついには抵抗を諦めた。
「何が望みだ。」
少し離れた所から背に他の者達を守るようにして立つ2番が口を開いた。
「これから僕達は闇属性適合者の集団『シュバルツ』と名乗り国境の一部を占拠する!」
「さらっと俺達を巻き込んでんじゃねーよ。」
どどーんっと宣言2をすれば、2番は呆れた様子でツッコミを入れてくる。
けれど僕はそれを聞かなかったことにして…
「闇属性適合者の集団は長い!国境の一部を占拠した僕達に各国は良い顔をするわけがない。えーつまり全方向から敵がやってきますので、それを相手を殺さず追い返します。対話を望む者はきちんと客室に通してお話します。お話が出来そうにない方には強制的にお帰りして頂きます。各国が闇属性適合者への迫害についてきちんとした対応し、改善が見られましたら僕達は解散します。以上!」
「全方向から敵が来ますじゃねーよ!!そんなの勝ち目ないだろ!!」
「しかも殺さず追い返す術を僕達は持っていない。」
1番と4番の言葉に僕はうんうんと頷く。
「大丈夫。殺さずに追い返す方法は教えるし、勝算があるから実行してます。」
「…君の計画の詳しい内容を教えて。でも協力するかしないかは僕達が選ぶ。」
「もちろんです。僕も独裁者になりたいわけじゃないので。嫌だったら計画実行の間安全な住まいを提供するのでそこに居てもらえればいいです。」
3番の言葉に僕は頷く。
でもこれからの計画にはできれば多くの闇属性適合者が参加して欲しい。
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