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第4章

真剣な会議

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状況の深刻さを把握するために僕達は一度ノルデン邸へと戻って来た。

ヒュー様達も一緒で治療を受けた後、ノルデン子爵も伴ってファクター公爵家へ転移陣を使い移動した。


ファクター公爵はまだ公務の途中だったのだけど、国から重要案件が発生したと呼び戻されたらしく急いで仕事を切り上げて帰還したようで、表情からは少しばかり疲労が感じられる。





ファクター公爵家に集まったのは僕達だけでなく、とーさまとヒル侯爵様とオルフェウス伯爵様とグリシャム子爵と東寄りの領地の当主が集まっている。

この面子が集まった場の空気はピンっと張り詰めていて、お茶の給仕をする使用人達も緊張からか壁にピシっと直立不動で、何名かは顔が白に近いくらい真っ青で汗がたらたらと流れている。




「急な招集であったが、集まってくれたことに感謝する。集まった理由である件については既にご存じかと思われるので省略させていただこう。まずはヒュー・ヒル殿から対応した現場の詳しい状況について説明を。」



「っは!現場の近くでの公務があったのですが、領地の東にて多数の魔獣の群れを発見したとの報告が冒険者より上がり直ぐに動ける者を連れ出立しました。近くの村の住人達は冒険者によって避難が済んでおりましたので近隣への被害は確認されておりません。現場には報告通り多数の魔獣がおりましたがどの個体もどこかへ向かって動いている様子はなく、しかし何処からか突如現れ個体数を増やしておりました。近くに現れた我等に気が付いた魔獣達はすぐに攻撃を仕掛けてきたので正しく状況を把握する暇がありませんでした。多くの魔獣を一定の場で殺すのは危険を伴うと理解しておりましたが、我等では捌くのに精一杯で対処できませんでした。が、ノヴァ・ウォードの尽力もあり不浄の地にならずに終えることができましたという状況です。」





ファクター公爵に指名されたヒュー様はとても真剣な表情でハキハキと報告をする。

その姿を見て、僕はほーっと呆けた。
だって今までに見たことがないほど強い人って感じがしてヒュー様なのに知らない人みたい。


あんな表情するんだーっとじっと見ていた僕はたぶんこの場で一番緊張感がない。







「ご苦労であった。ノヴァ・ウォード殿もよくやってくれた。」


「もったいないお言葉です。」



ファクター公爵がノヴァにも言葉をかけたけれど、ノヴァが思ったよりもスマートに言葉を返すので今度は隣のノヴァに視線を向けて呆けてしまう。

え?いつの間にそんなスマートに人と会話できるようになったの?って顔で見ていたらノヴァからチラっと視線を向けられたけど、なんでかすぐ視線を逸らされてしまった。





「魔物の数は?」


「きちんと数えることはできませんでしたが…1万程ではないかと。」



ヒル侯爵の言葉に返したヒュー様の言葉に全員が顔を顰めた。

通常ではそれだけの数が群れをなすということはまずない。
しかもあの場には多種の魔獣がいた。


同種であるならまだしも、多種で群れる何て何か仕掛けななければあり得ない話なんだ。



しかもそんなことが出来る相手となれば、アーナンダ国にとって脅威以外の何物でもない。





「ルナイス・アーバスノイヤー殿はヒュー・ヒル殿に会いに行く途中、ノルデン領にて魔獣に襲われたと聞いたが。」


「はい。しかし私達を襲撃した魔獣は100程。護衛の者で対応が可能でしたので詳しいことはヨハネスに説明を。部屋に居れても良いでしょうか?」



「許可しよう。」




ファクター公爵が今度は僕の方に話を振ってきたので、すぐさまヨハネスを召喚した。

場の真剣な空気にヨハネスは元々ピシっとしている背筋を更にピシっと伸ばして入室。







「ヨハネス・アーチが報告いたします。襲ってきた魔獣はおおよそ100体程。ヒュー・ヒル様の現場ほど魔獣に群れている様子はなく動きに統一性はありませんでした。現場には魔法陣が描かれた紙数枚と血の付いた骨が数本。骨の中には人間の者らしきものがありました。更にこちらを監視する目的のものであろう魔法付与札が張られたスライムを何体か発見しております。現場一体は念入りに探し捕獲した以上はおりませんでしたが、何体かは取り逃がした可能性があります。」



「…目的が分からんな。」




ヨハネスの報告に段々と皆眉間を揉み始め、ついに耐えきれなくなったらしいヒル侯爵様が声をあげる。






「ルナイス様よりすぐに魔力の残滓を探すように命を受けましたが、ノヴァ様をもっても当てはまる人物は特定できておりません。」


「しかし微かではありますが、現場の者や魔獣のものでない魔力は感知しましたので会うことがあれば分かるかと。」



ヨハネスの言葉にすぐさまノヴァが補足する。


うん。僕の旦那様優秀。








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