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第4章
間違いなく新婚旅行中です
しおりを挟む昼食の時間にオスカル君のご両親が今領地内で問題が発生したため対応に当たっており不在だと聞かされた。
出迎えることが出来なくて申し訳ないと執事伝いに言われたけれど、僕をお出迎えするよりも問題解決に領主が動くのは当たり前のことだし、それが正しいと思うので気にしないで欲しいと伝えるようお願いした。
4日後に一旦ノルデン領を出る予定だけど、オスカル君も一緒に出ていいのかと尋ねるとそれまでに両親が帰ってこなければ兄上が戻ってくるので問題ないと答えた。
オスカル君の兄上と言えば、僕達の上司なので鉢合わせることになったらと考えると少し緊張する。
お世話になる前にこうして新婚旅行させてもらっている身なだけに、余計に。
「アーバスノイヤー家の次男が新婚旅行に行ったはずなのに、何やら国に携わる大きな問題を解決して回っているようだがどういうことか知っているか…って兄上に聞かれましたけど…新婚旅行中、ですよね?」
僕達の微妙な反応に気が付いたのか、オスカル君が遠慮がちに聞いてきた。
まさかもうそんな話が中央で出回っているのかっとげんなり。
「不本意だよ。」
「あ、大丈夫ですよ。兄上は心配されているだけです。怒っているわけではありませんよ。」
オスカル君のフォローに素直に喜べない。
「私達は偶然国に関わる問題に遭遇し、それを報告したまでです。後処理は全て然るべき所が行っていますので安心していただいて大丈夫です。」
愛想笑いも答える気力も失った僕の代わりにノヴァが答えてくれるのだけど上手い具合に解決方法なんかは濁してくれている。
オスカル君は空気を読むのがとても上手いので、そうですかっと微笑みそれ以上聞いてくることはなかったので助かる。
「午後からはどうしますか?何処か行きたい所があればご案内しますが。」
「んー…」
龍神様から教会に行くように言われているのだけど、それはファクター公爵様にご挨拶を終えてからの方がいいだろう。
そうなると…
「ホルス様。ホルス様は行きたい所ありますか?」
お肉を豪快に食べる美丈夫に尋ねると、頬を膨らませながらん?と顔を傾げるその姿が僕の心臓をぶち抜く。
口の端についたソースがまた可愛く、舐めとる舌がまた艶めかしい。
「我は友に会って来る。人が踏み入れられぬ所に居るので、その間はルナイスの傍から離れることになるな。」
ホルス様に関してちょっと変態思考になりがちな僕ですが、しっかりお話聞いてます。
「分かりました。6日後には一度此処へ戻ってきてもらえますか?」
ファクター公爵様の所から帰ってきて、協会に行くときに念の為着いて来てほしいのでそうお願いすると「あい分かった。」と快く頷いてくれた。
再び美味しそうにお肉を頬張るホルス様に、そう言えばドラゴンに人間の日付の概念って分かるんだっけ?と思いながらもまぁ、ホルス様だし大丈夫かと考えることを放棄する。
ホルス様は単独で行動するとして…
「ではノルデン領を見て回りたいです。」
「それはいい!ぜひご案内させてください!」
勉強不足でノルデン領は何が栄えているのか、とか全く分からないので取り合えず領地内を見て回ることにした。
自分の生まれ故郷を案内できるのが余程嬉しいのか、オスカル君の目が燃えている。
「あそこの武器屋と…あ、魔法付与札専門のあそこも…あと…」
ぶつぶつと楽しそうに呟きだしたオスカル君は苦笑いしている執事さんに任せて、僕達は一旦お部屋に戻りお出かけの準備を整えることにした。
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