253 / 385
第4章
懐かしい友の名前
しおりを挟む
一通り観察を終えたノヴァが僕達の所に戻ってきて、少し照れた様子で「悪い。興奮していた。」と謝る姿を見て胸をときめかせない夫がいるであろうか?
ついぎゅっと抱きしめてしまいたくなったけれど、人目があるので我慢。
「此処のことは国は知っているのですか?」
「当然報告はしてある。しかしこれだけの魔力晶が北にあることが公になれば国内だけでなく国外も荒れる。厳重な管理をハデス家は任されていて、有事の際など魔力晶の力がどうしても必要だと国王が判断した場合は此処からもちだされると聞いている。」
「つまり此処のことは他言無用ということですね。」
「あぁ。驚かせたかったので先に誓約書に署名してもらわなかった。後程頼む。」
テトラ君の言葉に僕達は大きく頷いた。
この豊富な魔力晶はどれも純度の高い強い力を持っている。
此処のことが公になれば、国の懸念通り戦争が起こるだろう。
そんな所へ何も言わずに連れて来るなんてっと言いたい気持ちはあるが、こんな貴重な場所に来れたことは素直に嬉しい。
そう言えば幼い頃に今は亡きお爺様達が僕の力を使って魔力晶を造り出せと騒いでいたなっと思い出す。
確かに保有魔力が多い者は力を一点に溜めて魔力晶を造ることで体内に蓄積される魔力を減らすことがあるが、お爺様達は僕のことを考えて言っていたわけじゃない。
僕の体内の魔力を全て絞りだしてって言ってたし、死ねばいいと思っていたことは間違いない。
と言うかそう言ってた。
あの一番危ない時期に誰も僕に魔力晶を造るように言わなかったのには理由があったようで、魔力が安定していないなかで魔力晶をひとつ造るのにはとんでもない集中力が必要になってくる。
僕の魔力量だったら一日に5個は造らないとならないけれど、あの時の僕にそんな力はなかった。
魔力晶を造るよりも近くに魔力の相性の良い者がいて、魔力を循環させることができるならば断然そちらの方法の方が安心安全だったわけだ。
「ルナイス。」
過去の出来事を思い返していると不意に耳元でノヴァの声が聞こえて驚いた。
どうやら何度か呼びかけたが僕が反応をしなかったから心配したようだ。
ぼーっとしていただけだと言って笑いかけてみたけど、納得していないノヴァにこれ以上深く話す気はないことを示す為、視線をテトラ君の方へと移す。
「ルナイス。最近珍しい空の魔力晶が見つかったんだ。やる。」
テトラ君がポケットをごそごそっとして取り出したのはケースに入った小さな魔力晶。
空っぽの魔力晶何て珍しいっと礼を言って受け取る。
「俺の魔力を入れても良かったんだが…ルナイスは何か結構な問題に巻き込まれやすいようだからお前が持っていたほうがいいのではないかとオスカルと話し合ってな。」
テトラ君の口から発せられた少し懐かしい名前にふと彼は今どうしているのかと思った。
「オスカル君は元気?」
「あぁ。今は暗躍が得意人に指南してもらっていると笑っていた。お前にも会いたいが新婚旅行でノルデンの領地に寄ってもらえるだろうかと言っていたから行ってやれ。」
テトラ君の言葉に頷く。
偶に手紙を送ったりはするのだけど、文官っぽい見た目をしているが魔法マニアで戦闘力の高い彼は卒業後とても忙しくしているようで気楽に誘っては迷惑かなっと思っていた。
しかし彼も会いたいと思ってくれているのならよろこんで伺う。
ちらっとノヴァに視線を向ければ笑って頷いてくれたので今夜辺りオスカル君へ伺いの手紙を書こう。
ついぎゅっと抱きしめてしまいたくなったけれど、人目があるので我慢。
「此処のことは国は知っているのですか?」
「当然報告はしてある。しかしこれだけの魔力晶が北にあることが公になれば国内だけでなく国外も荒れる。厳重な管理をハデス家は任されていて、有事の際など魔力晶の力がどうしても必要だと国王が判断した場合は此処からもちだされると聞いている。」
「つまり此処のことは他言無用ということですね。」
「あぁ。驚かせたかったので先に誓約書に署名してもらわなかった。後程頼む。」
テトラ君の言葉に僕達は大きく頷いた。
この豊富な魔力晶はどれも純度の高い強い力を持っている。
此処のことが公になれば、国の懸念通り戦争が起こるだろう。
そんな所へ何も言わずに連れて来るなんてっと言いたい気持ちはあるが、こんな貴重な場所に来れたことは素直に嬉しい。
そう言えば幼い頃に今は亡きお爺様達が僕の力を使って魔力晶を造り出せと騒いでいたなっと思い出す。
確かに保有魔力が多い者は力を一点に溜めて魔力晶を造ることで体内に蓄積される魔力を減らすことがあるが、お爺様達は僕のことを考えて言っていたわけじゃない。
僕の体内の魔力を全て絞りだしてって言ってたし、死ねばいいと思っていたことは間違いない。
と言うかそう言ってた。
あの一番危ない時期に誰も僕に魔力晶を造るように言わなかったのには理由があったようで、魔力が安定していないなかで魔力晶をひとつ造るのにはとんでもない集中力が必要になってくる。
僕の魔力量だったら一日に5個は造らないとならないけれど、あの時の僕にそんな力はなかった。
魔力晶を造るよりも近くに魔力の相性の良い者がいて、魔力を循環させることができるならば断然そちらの方法の方が安心安全だったわけだ。
「ルナイス。」
過去の出来事を思い返していると不意に耳元でノヴァの声が聞こえて驚いた。
どうやら何度か呼びかけたが僕が反応をしなかったから心配したようだ。
ぼーっとしていただけだと言って笑いかけてみたけど、納得していないノヴァにこれ以上深く話す気はないことを示す為、視線をテトラ君の方へと移す。
「ルナイス。最近珍しい空の魔力晶が見つかったんだ。やる。」
テトラ君がポケットをごそごそっとして取り出したのはケースに入った小さな魔力晶。
空っぽの魔力晶何て珍しいっと礼を言って受け取る。
「俺の魔力を入れても良かったんだが…ルナイスは何か結構な問題に巻き込まれやすいようだからお前が持っていたほうがいいのではないかとオスカルと話し合ってな。」
テトラ君の口から発せられた少し懐かしい名前にふと彼は今どうしているのかと思った。
「オスカル君は元気?」
「あぁ。今は暗躍が得意人に指南してもらっていると笑っていた。お前にも会いたいが新婚旅行でノルデンの領地に寄ってもらえるだろうかと言っていたから行ってやれ。」
テトラ君の言葉に頷く。
偶に手紙を送ったりはするのだけど、文官っぽい見た目をしているが魔法マニアで戦闘力の高い彼は卒業後とても忙しくしているようで気楽に誘っては迷惑かなっと思っていた。
しかし彼も会いたいと思ってくれているのならよろこんで伺う。
ちらっとノヴァに視線を向ければ笑って頷いてくれたので今夜辺りオスカル君へ伺いの手紙を書こう。
421
【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
お気に入りに追加
3,198
あなたにおすすめの小説

愛する人
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「ああ、もう限界だ......なんでこんなことに!!」
応接室の隙間から、頭を抱える夫、ルドルフの姿が見えた。リオンの帰りが遅いことを知っていたから気が緩み、屋敷で愚痴を溢してしまったのだろう。
三年前、ルドルフの家からの申し出により、リオンは彼と政略的な婚姻関係を結んだ。けれどルドルフには愛する男性がいたのだ。
『限界』という言葉に悩んだリオンはやがてひとつの決断をする。

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る
112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。
★本編で出てこない世界観
男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。


死に戻り悪役令息が老騎士に求婚したら
深凪雪花
BL
身に覚えのない理由で王太子から婚約破棄された挙げ句、地方に飛ばされたと思ったらその二年後、代理領主の悪事の責任を押し付けられて処刑された、公爵令息ジュード。死の間際に思った『人生をやり直したい』という願いが天に通じたのか、気付いたら十年前に死に戻りしていた。
今度はもう処刑ルートなんてごめんだと、一目惚れしてきた王太子とは婚約せず、たまたま近くにいた老騎士ローワンに求婚する。すると、話を知った実父は激怒して、ジュードを家から追い出す。
自由の身になったものの、どう生きていこうか途方に暮れていたら、ローワンと再会して一緒に暮らすことに。
年の差カップルのほのぼのファンタジーBL(多分)

ネク・ロマンス
鈴
BL
「お前に私からの愛が必要か?」
ユース家の長男、そしてアルファであるイドは、かつて王の命を救った英雄である父親から「私を越える騎士となれ」と徹底した英才教育を受けて育った。
無事に聖騎士に選ばれ3年が経った頃、イドは父からの手紙で別邸に隔離されていたオメガの弟が屋敷に戻ってきた事を知らされる。父の計らいで引き合わせられたが、初対面同然の彼に何かしてやれるわけもなく関係は冷えきったまま。別に抱えていた自身の問題に追われて放置しているうちに、弟を家族と認めず冷遇しているとして彼に惚れ込んだらしい第一王子や高位貴族に睨まれるようになってしまい……。

セカンドライフは魔皇の花嫁
仁蕾
BL
星呂康泰、十八歳。
ある日の夕方、家に帰れば知らない男がそこに居た。
黒を纏った男。さらりとした黒髪。血のように赤い双眸。雪のように白い肌。
黒髪をかき分けて存在を主張するのは、後方に捻れて伸びるムフロンのような一対の角。
本来なら白いはずの目玉は黒い。
「お帰りなさいませ、皇妃閣下」
男は美しく微笑んだ。
----------------------------------------
▽なろうさんでもこっそり公開中▽
https://ncode.syosetu.com/n3184fb/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる