243 / 319
第4章
神秘的な結界は壊れかけ
しおりを挟むあんな文字で出来た結界など見たことがない。
とりあえず地面に見えた文字を書き写していくことにした。
僕は読めないけれど、この場には色んな種族の者が居るし知恵のある者が集まっている。
もしかしたら一人くらいは読める者がいるかもしれない。
「っと…どうですか?読める人いますか?」
地面に書き終えてぐるっと周りを見渡し尋ねるが皆首を傾げている。
この場で一番長生きのホルス様も首を傾げているのだから、そうとう古い文字であるだろうことが予想される。
「ルナイス。壊れかけているというのはどのように壊れかけているんだ?」
「えっと……こんな感じ。」
ノヴァに聞かれて、言葉にするのは難しいなって思って文字と同じように地面に描く。
結界は上から崩れ始めていて、そこから壊れたのだろう文字が天に向かって伸びている。
状況が良くなさそうだけど、僕の目に見えている結界は神秘的で胸がバクバクと高鳴る。
「うむ…この文字を組みなおすことができれば復活しそうでもあるがなぁ。」
ホルス様が顎に手を添えて言うが、その方法がとても難しいものであることはホルス様も含め全員が分かっているので、皆困り顔になってさてこれからどうするかっと再び頭を悩ませた。
結局読めそうな人に全員心当たりがなくて、ノヴァが新たに結界を施すのがいいのかなって話でまとまりそうになった時、突然バサッとドラゴンの姿に戻ったホルス様が「しばし待っておれ。」と言い残して去って行ってしまった。
すぐに姿が透明になって見えなくなってしまったから、たぶん異次元に行ってしまったのだと思うけど…どれくらい待ったらいいのだろう?
ただ待っているのも暇なので、僕達はどうにか古代文字が解読できないかと考えることにした。
結界が見えたのだから、文字も頑張ったら読めるようになるかなぁ?何て楽観的な考えでしばらく文字を見つめてみたけれどやっぱり全然分かんない。
でも僕にしか見えない結界をぼーっと眺めていて気が付いたことがある。
文字が天に消えた所に新たな文字が生み出され、しかし崩壊が早すぎるのか追いついていないということに僕が気が付いた。
つまり壊れかけてはいるけれど、あの結界はまだ生きている。
そしてこの結界を施した存在はこの異常事態をきちんと把握していて、どうにか結界を保ってくれているのだと分かった。
その存在が何処の誰で、どうやってあの魔法っぽいのを展開しているのかは分からないけど。
ふっと思いついたことがあって、でもそれを実行するにはたぶんノヴァ達の許可はなかなか得られないだろうと思い僕はこっそりと誰も見ていない隙を突いて影にドボンをしようとした。
しようとしたのだけど、ノヴァが見てなくてもヨハネスが見ているし、ヨハネスが他所を向いてもコルダが見てる。
僕は常に監視(警護)されていて、ひっそりとドボンする隙が全く無い。
でもホルス様がどれくらいで戻ってくるかも分からないし、何だかあの結界を頑張って修復しようとしている存在も無視できない。
かくなるうえは…
ダっ!!
「っルナイス様!何をなさるおつもりですか!」
自分の足で目的地まで走る!!
獣人領で鍛えてもらった身体強化の魔法がこんなに早く役に立つ時がこようとは!!
しかし、僕は生まれてから今まで甘やかされて育ってきた坊ちゃん。
普段から鍛えていて、獣人領で一緒に身体強化について学んだヨハネスに勝てるわけもなく、なんなら全力の僕に対して並走しているヨハネスは余裕そうではあるが…
しかしドボンしたところに突っ込んでこられるよりはましだ。
何の準備もなく僕の影に飛びこんでこられたら二度と会えなくなってしまう可能性が高い。
それならば捕まること覚悟で全力で結界に向かって突っ込む!という決断をしたのだ。
ヨハネスだけじゃなくコルダも並走しているし、なんならノヴァとテトラ君まであとから来たはずなのに並走してる。
目と心がスンってなるけど、強制的に止められないのでこのまま走りますね。
509
お気に入りに追加
3,071
あなたにおすすめの小説
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
僕は悪役令息に転生した。……はず。
華抹茶
BL
「セシル・オートリッド!お前との婚約を破棄する!もう2度と私とオスカーの前に姿を見せるな!」
「そ…そんなっ!お待ちください!ウィル様!僕はっ…」
僕は見た夢で悪役令息のセシルに転生してしまった事を知る。今はまだゲームが始まる少し前。今ならまだ間に合う!こんな若さで死にたくない!!
と思っていたのにどうしてこうなった?
⚫︎エロはありません。
⚫︎気分転換に勢いで書いたショートストーリーです。
⚫︎設定ふんわりゆるゆるです。
王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生1919回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。
婚約破棄は計画的にご利用ください
Cleyera
BL
王太子の発表がされる夜会で、俺は立太子される第二王子殿下に、妹が婚約破棄を告げられる現場を見てしまった
第二王子殿下の婚約者は妹じゃないのを、殿下は知らないらしい
……どうしよう
:注意:
素人です
人外、獣人です、耳と尻尾のみ
エロ本番はないですが、匂わせる描写はあります
勢いで書いたので、ツッコミはご容赦ください
ざまぁできませんでした(´Д` ;)
逆ざまぁされ要員な僕でもいつか平穏に暮らせますか?
左側
BL
陽の光を浴びて桃色に輝く柔らかな髪。鮮やかな青色の瞳で、ちょっと童顔。
それが僕。
この世界が乙女ゲームやBLゲームだったら、きっと主人公だよね。
だけど、ここは……ざまぁ系のノベルゲーム世界。それも、逆ざまぁ。
僕は断罪される側だ。
まるで物語の主人公のように振る舞って、王子を始めとした大勢の男性をたぶらかして好き放題した挙句に、最後は大逆転される……いわゆる、逆ざまぁをされる側。
途中の役割や展開は違っても、最終的に僕が立つサイドはいつも同じ。
神様、どうやったら、僕は平穏に過ごせますか?
※ ※ ※ ※ ※ ※
ちょっと不憫系の主人公が、抵抗したり挫けたりを繰り返しながら、いつかは平穏に暮らせることを目指す物語です。
男性妊娠の描写があります。
誤字脱字等があればお知らせください。
必要なタグがあれば付け足して行きます。
総文字数が多くなったので短編→長編に変更しました。
婚約破棄と言われても・・・
相沢京
BL
「ルークお前とは婚約破棄する!」
と、学園の卒業パーティーで男爵に絡まれた。
しかも、シャルルという奴を嫉んで虐めたとか、記憶にないんだけど・・
よくある婚約破棄の話ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。
***********************************************
誹謗中傷のコメントは却下させていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる