王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰

文字の大きさ
上 下
215 / 387
第4章

強制お仕事が組み込まれている

しおりを挟む
そろそろ出発しようかっというところで、慌てた様子の使用人に止められた。



どうやら急遽、にぃ様が見送りに来てくれたみたい。


一旦馬車から降りて待っていると屋敷の方からにぃ様の姿が見えた。
転移陣で飛んできたんだろうなぁ。



「ルナイス、ノヴァ突然悪い。しかしどうしても心配で…」


「僕は見送りに来てくれて嬉しいです。」

「問題ありません。」




急遽転移の便りを出してすぐに飛んできたようで、にぃ様が気まずそうに謝るけどノヴァの言う通り問題なし!

寧ろにぃ様来ないのかーってちょっと寂しく思ってたところだから。








「ルナイスが寂しがっていたので、来てくださって良かったです。」


黙っていようと思ったのにノヴァが暴露してしまった。

けど、にぃ様がそれを聞いて嬉しそうに笑ったので不問としよう。




「気を付けて。」


「はい。にぃ様も。」



額にキスを貰い、にぃ様とひしっと抱きしめ合って僕は再び馬車に乗り込む。


窓から手を振ってくれるにぃ様へ手を振り返し、見えなくなったところで前を向く。






「沢山のお土産を持って帰ろう。」


「うん。剣の素材とか喜ぶかも。」



「ルナイスからの贈り物なら何でも喜ぶだろ。」


「ノヴァも選んでよ?」





やっぱり住み慣れている所を離れるのは一時のことでも寂しいし、不安だなっと思っているとノヴァが声をかけてくれて、話しているうちに寂しさや不安よりもノヴァとのこれからの旅行への楽しみが募っていった。


















まずは人族が多く住んでいる西へ。

西は年中暖かな気候で植物が良く育つ土地で、アーナンダ国の食物の多くを産出している所だ。
そして薬学に長けた者が多いという特徴がある。

その理由として、西は人族だけでなく植物の妖精と地に住む穏やかな魔物が居て、気まぐれに人族の創るものをに手を加えるからだと本に記されていた。



そんな西だが、一つ難点がある。


閉鎖的で差別意識が高い傾向にある。




妖精は目に見えないし、魔物は小さいのから中くらいの大きさのものしかいないため西の人族は他種族に慣れていない為、外から来た他種族に対しての態度が冷たい。

そういう理由があって、西にはノヴァも行ったことがないんだって。






じゃあ何故一番目の旅行先に西を選んだかと言うと、気候が穏やかで過ごしやすい他に少しでも西の者に外来者慣れをしてもらうためである。

そう。


この旅行、旅費を国が3分の1負担してくれる変わりに調査をするお仕事が組み込まれているのである。


これは僕達が望んでつけられたオプションではなく、国王直々の強制的なオプションで、国王曰く



『普通に行って遊んで帰ってきて、どんな感じだったか感想を教えてくれるだけでいい。』とのこと。





しかし自分たちの旅費に国税が使われているのだから、ある程度はきちんと仕事をしなくては…というノヴァとの共通認識でそれなりにやるつもりだ。

強制だけど。








まぁ…でも、妖精達の力を借りておいて人族の手柄だと思い込んでいるところは矯正しなければいけないなっと思うので頑張る。







しおりを挟む
【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
感想 41

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された僕は過保護な王太子殿下とドS級冒険者に溺愛されながら召喚士としての新しい人生を歩みます

八神紫音
BL
「嫌ですわ、こんななよなよした男が夫になるなんて。お父様、わたくしこの男とは婚約破棄致しますわ」  ハプソン男爵家の養子である僕、ルカは、エトワール伯爵家のアンネリーゼお嬢様から婚約破棄を言い渡される。更に自分の屋敷に戻った僕に待っていたのは、ハプソン家からの追放だった。  でも、何もかもから捨てられてしまったと言う事は、自由になったと言うこと。僕、解放されたんだ!  一旦かつて育った孤児院に戻ってゆっくり考える事にするのだけれど、その孤児院で王太子殿下から僕の本当の出生を聞かされて、ドSなS級冒険者を護衛に付けて、僕は城下町を旅立った。

婚約破棄を望みます

みけねこ
BL
幼い頃出会った彼の『婚約者』には姉上がなるはずだったのに。もう諸々と隠せません。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

王子の恋

うりぼう
BL
幼い頃の初恋。 そんな初恋の人に、今日オレは嫁ぐ。 しかし相手には心に決めた人がいて…… ※擦れ違い ※両片想い ※エセ王国 ※エセファンタジー ※細かいツッコミはなしで

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!

ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。 その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。 しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。 何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。 聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)

繋がれた絆はどこまでも

mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。 そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。 ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。 当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。 それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。 次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。 そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。 その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。 それを見たライトは、ある決意をし……?

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

処理中です...