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第3章

王家に忠義を疑われていた件

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とりあえずノルデン夫人にオスカル君は賢く、逞しいですよーってお話して、途中でオスカル君がノルデン夫人の気をそらしてくれたおかげで、最後まで夫人の目は笑ったままお話を終えれました。


ぐいぐいっとにぃ様とノヴァを自分の方へ寄せて、更に僕を隠してもらったところで今度はハデス辺境伯一家の到着。






初めてお会いする辺境伯はとーさまより倍でかい。

身長も高いし、綺麗な逆三角形体型。


見るからに強い。




鋭い眼光に睨まれたら動けなくなりそうだ。





男性としても惚れ惚れするような逞しさだし、たぶん女性から見てもあの頑健さは惚れ惚れすることだろう。






「ベオウルフ、久しいな。」


「お久しぶりです。ルグノス殿。」


殿下との挨拶を終え、とーさまとがっちりと握手を交わすハデス辺境伯。

こちらはノルデン子爵よりも深い仲のご様子。



とーさまの手よりもがっちりとしていて大きく、所々に見られる傷跡が彼の強さをより強調している。




「夫人もお久しぶりです。」


「お久しぶりですわ、アーバスノイヤー公爵様。いつもテトラがご子息様にお世話になっております。」



ハデス辺境伯の隣に立つ女性がニコニコと可愛らしい笑みを浮かべ、とーさまに綺麗なカーテシーでご挨拶。

とても息子がいるようには見えないほどに若々しく愛らしい人だ。



わいわいと話が盛り上がる大人の輪からそそそそーっと抜け出してオスカル君の方へ移動。







ぼぉっと盛り上がる大人達を見ていると、隣に座るにぃ様からちょっと大きな咳払いが。



それで手持ち無沙汰になっている僕達に気が付いたとーさまが食べ始めるように言ってくれて、やっとお昼ご飯に手が付けれる。

毒殺対策でひとつのポットから皆のカップへ紅茶が注がれる。

それを最初に口にしたのはにぃ様。
各食べ物も小分けに盛られたお皿があり、全て食べ終えてにぃ様が良しとして、やっと殿下がご飯を口にする。



それから僕達はご飯が食べられる。





面倒だけど、安全のためには仕方ない。

にぃ様が最初に毒見をしたのは、実はアーバスノイヤー家の教育の一つで毒慣らしが行われるので毒耐性があるからだろうと思う。


僕は体調を崩しやすく、魔力も不安定だから月に一度、すごく薄めた少量の毒を摂取しているのだけど、にぃ様は小さい頃から僕よりも濃い濃度の毒を週に一度、少量摂取していると聞いている。



とーさまも小さい頃からそうしているって昔ばぁやから聞いた。






僕はやらない方がいいのでわっとウー先生が言ったけど、万が一にでも毒を盛られた場合少しでも体を慣らしていた方が生存率が上がるということで、僕はうすーーーくした毒をすこーーーーしずつ接種してきたみたい。


何か月に一回、よくわからないの飲まされるなって思ってたら、まさかの毒。




ちなみにウー先生はもう本当にご高齢で、段々長距離の歩行が難しくなってきたのでとーさまがお暇を出した。

薬草がよく育つ小さい畑付の静かな所のお家に住んでもらってる。
大金を渡すとお金を狙ってウー先生が害される危険があるからお金は毎月従者が持って行ってる。


長年お世話になっていた先生だから障害アーバスノイヤー家が面倒を見るってことで、定期的に家の使いが出向いているし、僕も偶に会いに行く。

あんまりお家から出ない僕ですが、ウー先生の所には何も心配せず行って良いとの許可をとーさまから頂いているので。









閑話休題。


お食事を終えた僕達は、残りの時間を陛下も交えてお話の時間にあてた。



「アドルファスとヒューから可愛い弟がいるがあまり体が強くなく、私に合わせることはできないと言われ、偶に君が参加する社交界でも、話をかけられそうな時には既に君は家に帰されていてね。徹底的に私…というよりは、王族に会わせないので王家うちでは、何か疚しいことでもあるのでは?と忠義を疑う声もあがるほどだった。」


陛下に聞かされた言葉に僕、絶句。



「二人とも懐疑的な視線を向けられていることが分かっていながら、尚、君には会わせてくれないうえに当主達も上手く話しを逸らしたりして会わせてくれない。こうして会えて本当に喜ばしいよ。王家だって好き好んでアーバスノイヤー家とヒル家を敵になどまわしたくもないしね。」



穏やかに笑いながらもその目は、何かを思い出しているのか虚ろ。


そうやって守られてきた僕がとーさま達にも、殿下にもかける言葉はないけれど…これからは僕も必然的に王家との関わりができてくるだろうし、殿下のストレスも少しは減るだろうと思う。






とーさまからあのお話がされた時点で、とーさまはもう僕を王家から隠すことはしないだろうし、その意向はにぃ様もしっかりと理解されているはずだ。

だからこうして殿下が此処に居られるのだろうし。





「色々言いたいことはあるが…其方達にそのような行動を取らせる要因に私は心当たりがある。今後、其方等が王家を信頼してくれるよう尽力していこう。」


「そうしてくれ。」

「だな。」




殿下の言葉に全く申し訳なさそうな雰囲気もなく、にぃ様とヒュー様が答える。

殿下の口角は引きつっているが、隣にいらっしゃるエイド様はケラケラと楽しそうに笑っている。



にぃ様達がそろそろ不敬で処されるのではないかとヒヤヒヤもするけれど、何だかんだ仲の良さそうなこの人達を見て、将来この人達を裏方で支えるお仕事をして生きていくのも悪くないなっと思った。









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