152 / 398
第2章
始めての来客案内
しおりを挟む
その後、ルナイス・アーバスノイヤーの取り扱い説明を終え、今日は久しぶりに家族が揃っているということでちょっと豪華なランチ会を開催することに。
そして急遽ヒル侯爵家もお招きして、プチお疲れ様会を開いた。
「あっ!ルナイスしゃまぁぁあ!!」
「チル!!うっ…よ、よくきたねぇ。」
屋敷を訪れたヒル侯爵家のお出迎えに立っていると馬車の扉が開いて婦人と一緒に地に足をつけたチルが僕を見つけ、ビュンっと物凄い速さで僕に突っ込んできた。
弾丸の如く僕の腕の中に飛び込んできたチルを足をぐっと踏ん張り、何とか抱き留め可愛い小さい子の頭をわしゃわしゃと撫でまわす。
色々あってチルと会うのはとっても久しぶり。
「チル、大きくなったねぇ。大きくなっても可愛いねぇ。」
「きゃふふ!チル、大きくなったでしょ~?」
尊いっとなかなか離せないでいる僕にチルはぎゅうっと抱き返してくれ続けていて、無邪気な笑い声で僕の鼓膜を揺らしてくれる。
色々あって疲れた脳みそが癒されていく…
「感動の再会のところ悪いが、そろそろ中に入れてもらうぞ。」
ぎゅうっとくっついて離れない僕達を二人纏めて抱きかかえたヒュー様がそう言ってズンズン歩き出す。
チルはきゃーって楽しそうだけど、僕は軽々と二人人間を抱えて歩き出すヒュー様の逞しさに憧れるやら恐怖するやら…。
僕だけでも下してくれっとコソッと頼んだが、聞こえないフリをされて、チルが一緒に抱えられているので暴れるわけにもいかず…結局屋敷の中に入るまで一緒に抱きかかえられるしかなかった。
「んん…ヒル侯爵様ご機嫌よう。ヒル侯爵夫人におかれましてはお初にお目にかかります。アーバスノイヤー家次男のルナイス・アーバスノイヤーと申します。」
屋敷の中に入ってやっと床に下ろされて、気を取り直し先ほどまでのことはなかったかのように華麗に侯爵夫妻へご挨拶を。
侯爵様にはとーさまを通じて何度かお会いしているけれど、夫人にお会いするのは実は今回が初めて。
僕は社交界にあまり顔を出さないし、婦人はチルを身ごもられていたりと顔を合わせる機会がなかったのだ。
「私はローゼン・ヒルと申します。旦那様と息子達が世話になっているというのにご挨拶が遅れたこと、ここに深くお詫び申し上げます。今後ともどうぞ息子達と仲良くしてやってくださいまし。」
ヒル侯爵夫人は侯爵の後ろから一歩前へ出てきて、何事もなかったかのように胸に手を当て軽く礼をしてくれた。
夫人は元騎士だと昔ヒュー様から聞いている。
とても美しく強い騎士と話題の人であったのだとか。
挨拶を終えて、チルの手を繋ぎながら侯爵家の皆様をバンケットルームにご案内した。
僕達に気が付いた使用人がすぐに扉を開けてくれて、扉の向こう側は、急な予定であったにも関わらず完璧に用意の整った状態であった。
ヒル侯爵家に休憩に使えるお部屋も簡単に説明して、僕はノヴァのいるところへ。
「ノヴァ。」
「公爵様ももう準備が出来たようだ。」
近づいた僕に気が付いたノヴァがふっと笑ってくれて、もうすぐとーさま達が来ることを教えてくれる。
「ルナイスはこういった会は随分久しぶりではないか?」
「うん。侯爵様達でも案内するの緊張した。」
「ヘレナさんが感動して泣いていたぞ。」
「え!?…なんか…恥ずかしい。」
たぶんばぁやは「立派になられて」何て言って泣いていたのだろうけど…ちょっと照れくさい。
ばぁやは3日後、アーバスノイヤー家から去ってしまう。
けれど、ばぁやのお家はそんな遠くもないので、偶に会うことはできる。
本来屋敷を去った使用人が再び屋敷に足を運ぶことは滅多にないのだけど、長年ずっとアーバスノイヤー家の者を見守り使えてくれていたばぁやは自由に出入りできる権限をとーさまが与えたのだ。
それに今後ばぁやのお孫さんがアーバスノイヤー家に使えにやってくる予定があるから、その時には必ず会えるだろう。
「寂しいか。」
「うん。ばぁやは本当に最初からずっと優しく僕を見守ってくれた人だもの。」
母親のような…そんな温かい存在だ。
「でも、無理をして体を痛めてほしくないし…大好きな旦那さんとの時間も大切にしてほしいって思ってる。」
「…そうだな。」
ノヴァはこちらに視線は向けずに穏やかな笑みを浮かべて話を聞いてくれる。
そんな横顔をこそっと見て、やっぱりノヴァは綺麗な人だなって改めて見惚れた。
そして急遽ヒル侯爵家もお招きして、プチお疲れ様会を開いた。
「あっ!ルナイスしゃまぁぁあ!!」
「チル!!うっ…よ、よくきたねぇ。」
屋敷を訪れたヒル侯爵家のお出迎えに立っていると馬車の扉が開いて婦人と一緒に地に足をつけたチルが僕を見つけ、ビュンっと物凄い速さで僕に突っ込んできた。
弾丸の如く僕の腕の中に飛び込んできたチルを足をぐっと踏ん張り、何とか抱き留め可愛い小さい子の頭をわしゃわしゃと撫でまわす。
色々あってチルと会うのはとっても久しぶり。
「チル、大きくなったねぇ。大きくなっても可愛いねぇ。」
「きゃふふ!チル、大きくなったでしょ~?」
尊いっとなかなか離せないでいる僕にチルはぎゅうっと抱き返してくれ続けていて、無邪気な笑い声で僕の鼓膜を揺らしてくれる。
色々あって疲れた脳みそが癒されていく…
「感動の再会のところ悪いが、そろそろ中に入れてもらうぞ。」
ぎゅうっとくっついて離れない僕達を二人纏めて抱きかかえたヒュー様がそう言ってズンズン歩き出す。
チルはきゃーって楽しそうだけど、僕は軽々と二人人間を抱えて歩き出すヒュー様の逞しさに憧れるやら恐怖するやら…。
僕だけでも下してくれっとコソッと頼んだが、聞こえないフリをされて、チルが一緒に抱えられているので暴れるわけにもいかず…結局屋敷の中に入るまで一緒に抱きかかえられるしかなかった。
「んん…ヒル侯爵様ご機嫌よう。ヒル侯爵夫人におかれましてはお初にお目にかかります。アーバスノイヤー家次男のルナイス・アーバスノイヤーと申します。」
屋敷の中に入ってやっと床に下ろされて、気を取り直し先ほどまでのことはなかったかのように華麗に侯爵夫妻へご挨拶を。
侯爵様にはとーさまを通じて何度かお会いしているけれど、夫人にお会いするのは実は今回が初めて。
僕は社交界にあまり顔を出さないし、婦人はチルを身ごもられていたりと顔を合わせる機会がなかったのだ。
「私はローゼン・ヒルと申します。旦那様と息子達が世話になっているというのにご挨拶が遅れたこと、ここに深くお詫び申し上げます。今後ともどうぞ息子達と仲良くしてやってくださいまし。」
ヒル侯爵夫人は侯爵の後ろから一歩前へ出てきて、何事もなかったかのように胸に手を当て軽く礼をしてくれた。
夫人は元騎士だと昔ヒュー様から聞いている。
とても美しく強い騎士と話題の人であったのだとか。
挨拶を終えて、チルの手を繋ぎながら侯爵家の皆様をバンケットルームにご案内した。
僕達に気が付いた使用人がすぐに扉を開けてくれて、扉の向こう側は、急な予定であったにも関わらず完璧に用意の整った状態であった。
ヒル侯爵家に休憩に使えるお部屋も簡単に説明して、僕はノヴァのいるところへ。
「ノヴァ。」
「公爵様ももう準備が出来たようだ。」
近づいた僕に気が付いたノヴァがふっと笑ってくれて、もうすぐとーさま達が来ることを教えてくれる。
「ルナイスはこういった会は随分久しぶりではないか?」
「うん。侯爵様達でも案内するの緊張した。」
「ヘレナさんが感動して泣いていたぞ。」
「え!?…なんか…恥ずかしい。」
たぶんばぁやは「立派になられて」何て言って泣いていたのだろうけど…ちょっと照れくさい。
ばぁやは3日後、アーバスノイヤー家から去ってしまう。
けれど、ばぁやのお家はそんな遠くもないので、偶に会うことはできる。
本来屋敷を去った使用人が再び屋敷に足を運ぶことは滅多にないのだけど、長年ずっとアーバスノイヤー家の者を見守り使えてくれていたばぁやは自由に出入りできる権限をとーさまが与えたのだ。
それに今後ばぁやのお孫さんがアーバスノイヤー家に使えにやってくる予定があるから、その時には必ず会えるだろう。
「寂しいか。」
「うん。ばぁやは本当に最初からずっと優しく僕を見守ってくれた人だもの。」
母親のような…そんな温かい存在だ。
「でも、無理をして体を痛めてほしくないし…大好きな旦那さんとの時間も大切にしてほしいって思ってる。」
「…そうだな。」
ノヴァはこちらに視線は向けずに穏やかな笑みを浮かべて話を聞いてくれる。
そんな横顔をこそっと見て、やっぱりノヴァは綺麗な人だなって改めて見惚れた。
381
【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
お気に入りに追加
3,258
あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

朝起きたら幼なじみと番になってた。
オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。
隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた
思いつきの書き殴り
オメガバースの設定をお借りしてます

金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
人外CPにはなりません
ストックなくなるまでは07:10に公開
3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる