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第2章

サインをして聞ける僕の特徴

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「んっと…では、まず僕の使う魔法についてなんだけど、小さい頃からとーさまが良い先生を僕につけてくれたので一応一通りの簡単な魔法は使えます。でも聖魔法はもちろん光魔法だけは使えない。それには理由があって…僕の適正魔法が闇属性だからなんだ。」



魔法誓約書が消えたところでまずは、改めてサインをしてもらわないと話せないお話のひとつ、僕の適正魔法属性について。




「闇属性…それが誓約書を交わすほどの話、なのですか?」


「人族の中には闇属性に嫌悪感を抱く者が多いんだ。闇属性に適正を持つ人族が少なく、魔の者に多いから昔は闇魔法を使う人は魔の者の手下で危険だからって殺されていた歴史が、そう遠くない過去にあるんだ。今は大分そういう考えも改められて闇魔法使いでも生きやすくはなっているけど、何の理由もなく闇魔法を使うからってだけで嫌う人はまだまだ多いんだ。それに僕は魔力量が多いから余計に危険視される。だから公にはしないんだ。」





鬼族や獣人など、人族以外の種族は割と闇魔法を使う者がいる。

だから彼等からすると闇魔法が使えるだけのことに何故誓約書にサインまでしなければならないのかっと疑問なのだ。





アーナンダ国が多種族国家となって120年余り…これだけの時が経ってなお、他種族への差別意識を持つ者は一定数存在する。



自分と違う容姿、特徴を持つ者をなかなか受け入れられないというのは人族に限ったことではない。

他の種族の者の中にも自分と違う特徴を持つ者を嫌う者はいると聞く。

前世の世界でもそうであったと記憶しているし、差別というか…そういうのが完全になくなることはないのだと思う。






「なるほど…鬼族でいうと、貧弱な者を群れから追い出す輩がいるのと同じか。」


「んー…まぁ、そんな感じかなぁ。」


ちょっと違うような気もするけど、でも大体そんな感じだよねっと頷く。


要は面倒くさいことが起こるからできるだけ隠しておきましょうねってことがガンナーに伝わってくれればいいのだし。




「それでね、もう一つ知っておいてもらいたいことがあって、ホルス様…とっても素敵なブラックドラゴンさんが言うには僕は龍神の加護が与えられているみたいなんだ。」


「…それは、すごいもん与えられてますね。」



「ねぇー。」




ホルス様に言われたし、ドラゴンさんとは何かと縁があるけれど、実は龍神の加護がどういったものなのか何て分かっていない。

とーさまが調べてくれているようだけどどの文献にも詳しいことは記されていなくて、ホルス様がまた会いに来てくれたら詳しく聞こうってお話になってる。






「よく分かんないけど、取り合えず珍しすぎるから秘密にしてます。」


「お…私もよく知りませんが…あまり公に言わない方がいいことだというのは、何となく分かる…ます。」


「ん?…龍神の加護があるなら鬼神の加護とかもあるの?」


「?…わ、たしも鬼神になった自覚を持ったのは本当につい最近のことで…たぶん気に入った相手に加護をつけるのは…できる気がする。」




僕の思いついたことに二人で首を傾げながら熟考する。

ガンナーも加護与えられるかもってことは…龍神ってこうしてお話できる感じで存在してるかも?


そもそも加護ってどういった経緯で与えられるんだ?





「そう言ったことは後々調べていこう。ガンナーも鬼神になった経緯が特殊だ。通常とは色々違うところもあるかもしれない。」


考え込む僕達にとーさまに声を掛けられ、っは!っと我に返り、皆がうむうむ考え込んでいた僕達に苦笑いしているのが見えてちょっと恥ずかしい気持ち。







「コホン…えー、最後に僕にはルナイスとして生まれる前の記憶があります。」


この事は言うか言わまいか、最後まで悩んで伝えておくことに決めた。


昔ほどじゃないけれど、未だに前世の僕に感情が引っ張られてしまって堕ちかけることがある。


魔力が暴走しかけたり、闇にドボンして引き籠ることがあるので知っておいてもらって僕が堕ちかけた時には迅速に動いてもらわないといけない。





面倒くさい人間で本当申し訳ない。





「…本当ですか?」


「へい。」


「…それは…また…」





信じられないってお顔で見てくるガンナー。

そんなガンナーに小さい声で返事をして微妙な空気が流れる。






「…ルナイスは前世の記憶で少しトラウマがある。そのことで気が堕ちてしまうことがあり、その時には迅速に対応してもらいたい。その時にどう動くかは君の先輩になるヨハネスという護衛騎士から学んでくれ。」


「ぎょ…御意。」



微妙な空気だけ作って話が進まない僕達にしびれを切らしたとーさまがガンナーにそう言って話を締めくくってくれた。

お手数おかけします、とーさま。






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