146 / 317
第2章
新たな敵はセクシーお姉さん
しおりを挟むそんなカオスを作り出している彼等は夢の世界から戻った僕達に気が付いていない。
にぃ様やノヴァはいつも僕が少し遠い所に居ても気が付いてくれるのに…
「にぃ様…ノヴァ…」
「「!!ルナイス!!」」
ついつい心の内から湧いてくる不満に頬を膨らませ、にぃ様とノヴァを小さな声で呼ぶと、やっと皆が僕達の存在に気が付いてくれた。
にぃ様とノヴァがダーっと走って来てくれて、そのままの勢いでにぃ様がぎゅっと抱きしめてくれ、ノヴァはバグさんと繋いでない方の手をぎゅっと握ってくれた。
そんな二人のすぐ後にとーさま、ヒル親子、オリヴァーが来てくれて僕の目覚めを喜んでくれる。
僕としてはバグさんと手を繋いだままだし、あのトンネルを通った記憶がばっちりあるので目覚めたっていうよりかは夢世界から帰って来たって感じだけど。
「ノヴァ。ルナイスのこれ、治してくれ。」
「はい。ルナイス触れるよ。」
「おいおい待て待て。お主半魔であって聖魔法が使えるか。とても興味深く詳しく聞きたいところだが、この坊と手を繋いでいる我まで浄化されてしまう。」
「では手を放しては?」
「否。お主ら分からんか?この様な小物共があれだけ大量の悪鬼を作り出し操作するなどという芸当ができるとお思いか?やったのはこやつらであるだろうが、もう一体おるとしか思えん。それも凶悪なのがな。」
『ふふふ…ご名答ぉ~。』
何で離さないんだろう?とは思っていたがまさかのもう一体というバグさんの言葉の後に夢魔と同じように間延びした喋り口調の女性的な高い声が響き渡った。
「ア…アスモ様ぁ~!!この人達酷いんですのよぉ!年頃のか弱き私をこんなに辱めてぇ!!助けてくださいましぃ!!」
その声に水を得た魚のようにジョーズ子爵令嬢が喚きだす。
突如近くに感じた強い魔力に慌ててにぃ様とノヴァを風魔法で突き飛ばす。
それと同時に僕の体はバグさんに強く引かれその場から数メートル離れた場所へ。
「あらぁ~避けられちゃったぁ。ざ~んねん。」
先ほどまで僕達が居た場所には、露出度高めなお姉さまがお尻を突き出し、膝に手を乗せ、もう片方の手の人差し指を口元にあてるというTHEセクシーポーズを決めて立っていた。
ぼけ~っとセクシーポーズを決めている露出多めのお姉さまを見ているとさっと大きな手で目元を覆われた。
はっと我に返って上を向くと冷めきった目をしたバグさんが静かに首を横に振った。
見てはいけませんっだ。
「アスモ様ぁ!早く助けてくださいぃ~!」
「あ~んもう!五月蠅いわねぇ!」
皆が何の反応もせずしらけ…静まっている空間で空気を読めない女、ジョーズ子爵令嬢が声を上げるとセクシーお姉さまは少しイラっとした様子で、ジョーズ子爵令嬢に向けて人差し指を大きく振った。
その瞬間騒がしかったジョーズ子爵令嬢はガクリと意識を失い静かになった。
大切な証拠として彼女は生かしておかなければならないのに!と焦ったところで、背後からバグさんが眠っているだけだと教えてくれ、一安心。
「ただし、眠るあの小娘の生気を喰っている。喰われすぎると小娘は死んでしまうが…まぁ大丈夫であろう。」
「うっえ~まっずぅ!!聖魔法を使う人間って生気までまずいのねぇ~。」
一安心は一瞬。
続けられたバグさんの言葉にそれ大丈夫じゃなくない?と首を傾げることになった。
けれど、バグさんが大丈夫と言ったようにジョーズ子爵令嬢の聖魔法適正者の生気は悪魔にとって美味しくはないようでセクシーお姉さんは顔の中心をぎゅっとしてぺっぺっぺと唾を吐き出していた。
そんなセクシーお姉さんを見ていて、ふっと突き飛ばしたにぃ様とノヴァを思い出し視線を巡らせるととーさま達の近くに居て、怪我もなさそうな様子にほっと息をつく。
___________
【雑談】
最近ストーリーがすたこらさっさと進んでおりますが、何か不備やご意見ございましたら遠慮なく感想やコメントをくださると嬉しいです。
いつになったらこの事件は収束するのか…
291
お気に入りに追加
3,064
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた。
しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエルがなんだかんだあって、兄達や学園の友達etc…に溺愛される???
家庭環境複雑でハチャメチャな毎日に奮闘するノエル・クーレルの物語です。
若干のR表現の際には※をつけさせて頂きます。
現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、改稿が終わり次第、完結までの展開を書き始める可能性があります。長い目で見ていただけると幸いです。
2024/11/12
(第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)
転生先がハードモードで笑ってます。
夏里黒絵
BL
周りに劣等感を抱く春乃は事故に会いテンプレな転生を果たす。
目を開けると転生と言えばいかにも!な、剣と魔法の世界に飛ばされていた。とりあえず容姿を確認しようと鏡を見て絶句、丸々と肉ずいたその幼体。白豚と言われても否定できないほど醜い姿だった。それに横腹を始めとした全身が痛い、痣だらけなのだ。その痣を見て幼体の7年間の記憶が蘇ってきた。どうやら公爵家の横暴訳アリ白豚令息に転生したようだ。
人間として底辺なリンシャに強い精神的ショックを受け、春乃改めリンシャ アルマディカは引きこもりになってしまう。
しかしとあるきっかけで前世の思い出せていなかった記憶を思い出し、ここはBLゲームの世界で自分は主人公を虐める言わば悪役令息だと思い出し、ストーリーを終わらせれば望み薄だが元の世界に戻れる可能性を感じ動き出す。しかし動くのが遅かったようで…
色々と無自覚な主人公が、最悪な悪役令息として(いるつもりで)ストーリーのエンディングを目指すも、気づくのが遅く、手遅れだったので思うようにストーリーが進まないお話。
R15は保険です。不定期更新。小説なんて書くの初めてな作者の行き当たりばったりなご都合主義ストーリーになりそうです。
【本編完結】まさか、クズ恋人に捨てられた不憫主人公(後からヒーローに溺愛される)の小説に出てくる当て馬悪役王妃になってました。
花かつお
BL
気づけば男しかいない国の高位貴族に転生した僕は、成長すると、その国の王妃となり、この世界では人間の体に魔力が存在しており、その魔力により男でも子供が授かるのだが、僕と夫となる王とは物凄く魔力相性が良くなく中々、子供が出来ない。それでも諦めず努力したら、ついに妊娠したその時に何と!?まさか前世で読んだBl小説『シークレット・ガーデン~カッコウの庭~』の恋人に捨てられた儚げ不憫受け主人公を助けるヒーローが自分の夫であると気づいた。そして主人公の元クズ恋人の前で主人公が自分の子供を身ごもったと宣言してる所に遭遇。あの小説の通りなら、自分は当て馬悪役王妃として断罪されてしまう話だったと思い出した僕は、小説の話から逃げる為に地方貴族に下賜される事を望み王宮から脱出をするのだった。
孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話
かし子
BL
養子として迎えられた家に弟が生まれた事により孤独になった僕。18歳を迎える誕生日の夜、絶望のまま外へ飛び出し、トラックに轢かれて死んだ...はずが、目が覚めると赤ん坊になっていた?
転生先には優しい母と優しい父。そして...
おや?何やらこちらを見つめる赤目の少年が、
え!?兄様!?あれ僕の兄様ですか!?
優しい!綺麗!仲良くなりたいです!!!!
▼▼▼▼
『アステル、おはよう。今日も可愛いな。』
ん?
仲良くなるはずが、それ以上な気が...。
...まあ兄様が嬉しそうだからいいか!
またBLとは名ばかりのほのぼの兄弟イチャラブ物語です。
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです
魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。
ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。
そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。
このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。
前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。
※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる