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第2章
再び夢世界へ
しおりを挟む未だに僕から視線を逸らし、身内でわいわいやってる二人を尻目に僕は指輪をポケットの中に居れて思いっきり魔力を解き放つ。
「きゃぁあああ!!!」
「ぐっ!!」
僕から解き放たれた魔力は軽い衝撃波を放ち、黒い霧となって視界を悪くする。
僕は闇魔法に適正のある魔力なので、僕の魔力はロロア・ジョーズ子爵令嬢とは相性最悪。
だから僕の魔力に彼女は苦しそうにしているのだけど、すぐに自身に聖魔法の結界を纏ったようで鬼の形相で僕を睨みつけてきた。
しかし、彼女の聖魔法に夢魔が動きずらそうにしていて相性が最悪なのに何故この二人は手を組んだのかと謎に思う。
「お返しよ!!」
少しだけ考え事をしている隙にロロア・ジョーズ子爵令嬢はそう言うと先ほどの僕と同じように魔力を一気に解放した。
まさかすぐ傍に手を組んでいる悪魔がいる状況でそんな暴挙を働くとは予想もしておらず、思いっきり彼女の魔力波を受けてしまい洞窟の石の壁に叩きつけられる。
咄嗟に鋭利な石のある場所を体を捻って回避したけれど、無理な体制で打ち付けられた体は直ぐには持ち直せず、地面に横たわったまま動けない。
『きひひひ…てめぇは楽にはぁ死なせないぜぇ~?苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて殺してやるぅ!!』
立たないとっと必死で体を動かそうとしたところで脳内に夢魔の声が響き、抵抗虚しく意識を失った。
「っっは!」
呼吸が止まっていたのか、意識を取り戻すと同時に体が酸素を求め必死に空気を取り込んだ。
肺が痛むほど呼吸が荒く、なかなか整わない中ふっと殺気を感じ体を転がす。
無理に動かしたせいで更に呼吸は難しくなり遂にはヒューヒューという呼吸音に変わった。
「ぎゃははははは!!苦しそ~だなぁ?」
先ほどまで自分が居ただろう所には夢魔が余裕の笑みで立っており下品に笑っている。
聖魔法をあれだけ解き放たれて何故こいつは無事でいるのかっと疑問に思ったのは一瞬。
あぁ、夢世界に逃げ込んだわけだ…とすぐに考え付いた。
つまり此処は夢世界。
まさかせっかく脱出できた所へこんなにすぐ戻ってくるなんて…
「あ~無駄だぜぇ?ここは完璧に俺がぁ支配する世界ぃ…さっきみたいにぃ、変な扉でぇ出ることはぁ…できないんだよ!!」
相変わらず鼻につく喋り方と声色に顔が歪んだが、相手はそれを僕が悔しがっていると思ったようで満足そうに高笑いしている。
夢世界に取り込まれたのはいいとして…
「ぐっ!」
さっきから首を絞められるような苦しさを感じ、呼吸が整わない。
これは…
現実世界であの女が僕の首を絞めて高笑いしている可能性が大。
なるほど。
2対1で9歳児を甚振って楽しむ歪んだところは相性の良さそうな二人だ。
これからどうしようかっと悩んだところでそう言えばっと思いつく。
ホルス様が僕には龍神の加護がついているって言ってた。
小さい頃から不思議とドラゴンに惹かれていたので、ドラゴンのことについては鮮明にそして精密に想像することができる自信がある。
ピコーンと閃いた僕は迷わず夢世界にドラゴンを、出会った時のホルス様を想像し顕現させた。
「…よくやったルナイスよ。」
顕現させたドラゴン。ホルス様は真っ黒なドラゴンの姿で僕を褒めた。
あれ?これ想像のホルス様じゃ?と不思議に思ったが、その後突然現れた第三者の存在に性悪の二人から解放されていた僕は慌ててホルス様の影に隠れる。
_________
※首絞めから解放された描写を書き忘れていたので追加しました。
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