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第2章
心強い味方
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ふっと意識が浮上した。
ぼんやりとした視界と思考の中で、徐々に今の自分の状況を理解していく。
夢の中で夢魔に接触され、腹立たしいことに前世の母親に首を絞められ意識を失ったのだと思い出し不愉快さに眉間に皺が寄った。
周りが少しの光も差し込まない暗闇なのか、瞼を持ち上げられず目を閉じたままなのか分からず此処が何処であるかが全く分からない。
只、体がふわふわとしていることから恐らく未だ夢の中だろうと推測する。
夢の中で目が覚めるって不思議な感じだなっと思いながら自身の気持ちは落ち着いていた。
とりあえずあの気色の悪い夢魔の気配が近くに居ないってだけで二度寝ができそうなくらい落ち着いていれる。
『ルナイス君。私の声が聞こえますか?』
しばらくぼーっとしていると不意に近くから僕を呼ぶ声が聞こえてきて、キョロキョロと周りを見渡すが状況は変わらず暗いままで何も見えない。
聞き馴染みのない声だったけど…聞き間違いだろうか?
『ルナイス君?』
否、やっぱり聞き間違いではない!
誰かは知らないけれど、あの夢魔ではないことは分かる。
あいつの喋り方はねっちょりしててヘドロみたいだもの。
今僕に話しかけている人は落ち着いてそうだし、話が通じそう。
敵かもしれないけど、この状況を変えるにはお話した方が良さそうだと判断し「はい。」と返事を返した。
『あぁ、良かった。聞こえない子だったらどうしようもないですからね。私はノワール・ホルス・グレゴリアの友人で精霊族のオーレと申します。』
「ノワール・ホルス・グレゴリア?……ホルス様のこと?」
『ブラックドラゴンの君のことであれば間違いありませんよ。』
聞き覚えのない名前に首を傾げしばらく…ホルス様のことで間違いないようだ。
本名は長いと言っていたけれど、ホルス様の名前はノワール・ホルス・グレゴリアというのだと知れて少し嬉しい。
知ったところでホルス様とお呼びするのだけど、推しのことを一つ知れると嬉しくなるものだ。
「オーレ様。ご存じのようですが、僕はアーバスノイヤー家次男、ルナイス・アーバスノイヤーです。」
『はい。ご丁寧にご挨拶をして下さりありがとうございます。どうぞ私のことはオーレとお呼びください。』
「んー…オーレさんってお呼びしてもいいですか?」
ホルス様を様呼びしてるのに、ご友人を呼び捨てはちょっと気が引ける。
『もちろんかまいませんよ。呼び方を強制する必要性もありませんし。』
「ではオーレさんと呼ばせて頂きますね。そうだ、今の僕の状態ってどうなっているか分かりますか?」
『えぇ。まず貴方がいるこの空間は夢の中と考えていいでしょう。恐らく、ルナイス君が夢から目覚めないように夢と現実の狭間の扉にロックをかけているような状態かと。そして現実の世界で貴方は魔界の深い森の中にある洞窟の地下深くに居るようです。同じ空間に悪魔の存在は感じませんが…近くには居ると考えた方がいいでしょう。』
答えてくれたオーレさんの話から、どうやらオーレさんは夢の世界に居ながら現実の様子も分かるらしいことが理解できた。
そして、僕の居る場所はたぶんアーナンダ国からとっても遠い。
否、そういえば魔界って異次元にあるって書物で見たことがある。
つまり遠い地どころか違う次元に居るってことだ。
「大変だ。」
『安心してください。ルナイス君の夢の中へ侵入する前に私の弟に任せてきました。弟は臆病で泣き虫ですが幅広い種族の友人が居まして、その中には夢魔と同じ悪魔もおります。きっと貴方を救い出すのに適した人材を集めてくれることでしょう。』
オーレさんの言葉にほぉっという声が口から零れ出る。
どうやらもうすでに僕を救出するために皆が動いてくれているらしい。
『悪魔には悪魔をぶつけるのが有効です。天使様は気位が高く、穢れに自ら望んで近寄ったりしないので今回はお力添えは望めないでしょうし…。あぁ、そうでした。救出が望めるとはいえ、夢魔の近くには厄介な人間がおりまして、いつ状況が悪い方へ変わるか分からないのでこちら側でも動いた方がいいでしょう。』
「つまり、僕はこの閉じ込められた夢から目覚められればいいの?」
『はい。夢の中に居ては、現実世界で貴方の体に悪戯されてもどうしようもありませんからね。私もあまり戦闘向きの精霊ではないので…すみません。』
「いえ!こうして状況とか教えてくれるだけでも本当にありがたいですし、近くに味方が居るって分かって心強いです。」
本当に。
僕一人だったら現実世界のことまったく分かんないし、夢から覚めるヒントすら掴めないと思う。
夢魔法や悪魔については本で読んだことあるけど、あんまり分かってないことの方が多くてあんまし参考にならないものが多かった。
精霊についてもそう。
だからあんまりのんびりしていられない状況だけど、他種族のことや他種族が使う魔法や魔術に触れるいい機会だとも思う。
よし…とりあえず僕は夢から覚める方法を探しましょう!!
_________
【お知らせ】
近況ボードでもお知らせをしていますが、この度私(作者)の名前を変更致しました。
ご愛読頂いている読者様で作者名を覚えて頂いていた方がいらっしゃったら混乱させてしまうなぁっと長い事考えていたのですが、やはり私の中二病心が抑えきれず変更へと踏み切りました。
新しい作者名は
薄明 喰(はくめい くらう)です。
変更理由や前回の名前の由来など、ご興味がございましたら近況ボードを開いてみてください。
王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(影才)のお話とは全く関係のない内容ですが、この場を借りてご報告させていただきました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
ぼんやりとした視界と思考の中で、徐々に今の自分の状況を理解していく。
夢の中で夢魔に接触され、腹立たしいことに前世の母親に首を絞められ意識を失ったのだと思い出し不愉快さに眉間に皺が寄った。
周りが少しの光も差し込まない暗闇なのか、瞼を持ち上げられず目を閉じたままなのか分からず此処が何処であるかが全く分からない。
只、体がふわふわとしていることから恐らく未だ夢の中だろうと推測する。
夢の中で目が覚めるって不思議な感じだなっと思いながら自身の気持ちは落ち着いていた。
とりあえずあの気色の悪い夢魔の気配が近くに居ないってだけで二度寝ができそうなくらい落ち着いていれる。
『ルナイス君。私の声が聞こえますか?』
しばらくぼーっとしていると不意に近くから僕を呼ぶ声が聞こえてきて、キョロキョロと周りを見渡すが状況は変わらず暗いままで何も見えない。
聞き馴染みのない声だったけど…聞き間違いだろうか?
『ルナイス君?』
否、やっぱり聞き間違いではない!
誰かは知らないけれど、あの夢魔ではないことは分かる。
あいつの喋り方はねっちょりしててヘドロみたいだもの。
今僕に話しかけている人は落ち着いてそうだし、話が通じそう。
敵かもしれないけど、この状況を変えるにはお話した方が良さそうだと判断し「はい。」と返事を返した。
『あぁ、良かった。聞こえない子だったらどうしようもないですからね。私はノワール・ホルス・グレゴリアの友人で精霊族のオーレと申します。』
「ノワール・ホルス・グレゴリア?……ホルス様のこと?」
『ブラックドラゴンの君のことであれば間違いありませんよ。』
聞き覚えのない名前に首を傾げしばらく…ホルス様のことで間違いないようだ。
本名は長いと言っていたけれど、ホルス様の名前はノワール・ホルス・グレゴリアというのだと知れて少し嬉しい。
知ったところでホルス様とお呼びするのだけど、推しのことを一つ知れると嬉しくなるものだ。
「オーレ様。ご存じのようですが、僕はアーバスノイヤー家次男、ルナイス・アーバスノイヤーです。」
『はい。ご丁寧にご挨拶をして下さりありがとうございます。どうぞ私のことはオーレとお呼びください。』
「んー…オーレさんってお呼びしてもいいですか?」
ホルス様を様呼びしてるのに、ご友人を呼び捨てはちょっと気が引ける。
『もちろんかまいませんよ。呼び方を強制する必要性もありませんし。』
「ではオーレさんと呼ばせて頂きますね。そうだ、今の僕の状態ってどうなっているか分かりますか?」
『えぇ。まず貴方がいるこの空間は夢の中と考えていいでしょう。恐らく、ルナイス君が夢から目覚めないように夢と現実の狭間の扉にロックをかけているような状態かと。そして現実の世界で貴方は魔界の深い森の中にある洞窟の地下深くに居るようです。同じ空間に悪魔の存在は感じませんが…近くには居ると考えた方がいいでしょう。』
答えてくれたオーレさんの話から、どうやらオーレさんは夢の世界に居ながら現実の様子も分かるらしいことが理解できた。
そして、僕の居る場所はたぶんアーナンダ国からとっても遠い。
否、そういえば魔界って異次元にあるって書物で見たことがある。
つまり遠い地どころか違う次元に居るってことだ。
「大変だ。」
『安心してください。ルナイス君の夢の中へ侵入する前に私の弟に任せてきました。弟は臆病で泣き虫ですが幅広い種族の友人が居まして、その中には夢魔と同じ悪魔もおります。きっと貴方を救い出すのに適した人材を集めてくれることでしょう。』
オーレさんの言葉にほぉっという声が口から零れ出る。
どうやらもうすでに僕を救出するために皆が動いてくれているらしい。
『悪魔には悪魔をぶつけるのが有効です。天使様は気位が高く、穢れに自ら望んで近寄ったりしないので今回はお力添えは望めないでしょうし…。あぁ、そうでした。救出が望めるとはいえ、夢魔の近くには厄介な人間がおりまして、いつ状況が悪い方へ変わるか分からないのでこちら側でも動いた方がいいでしょう。』
「つまり、僕はこの閉じ込められた夢から目覚められればいいの?」
『はい。夢の中に居ては、現実世界で貴方の体に悪戯されてもどうしようもありませんからね。私もあまり戦闘向きの精霊ではないので…すみません。』
「いえ!こうして状況とか教えてくれるだけでも本当にありがたいですし、近くに味方が居るって分かって心強いです。」
本当に。
僕一人だったら現実世界のことまったく分かんないし、夢から覚めるヒントすら掴めないと思う。
夢魔法や悪魔については本で読んだことあるけど、あんまり分かってないことの方が多くてあんまし参考にならないものが多かった。
精霊についてもそう。
だからあんまりのんびりしていられない状況だけど、他種族のことや他種族が使う魔法や魔術に触れるいい機会だとも思う。
よし…とりあえず僕は夢から覚める方法を探しましょう!!
_________
【お知らせ】
近況ボードでもお知らせをしていますが、この度私(作者)の名前を変更致しました。
ご愛読頂いている読者様で作者名を覚えて頂いていた方がいらっしゃったら混乱させてしまうなぁっと長い事考えていたのですが、やはり私の中二病心が抑えきれず変更へと踏み切りました。
新しい作者名は
薄明 喰(はくめい くらう)です。
変更理由や前回の名前の由来など、ご興味がございましたら近況ボードを開いてみてください。
王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(影才)のお話とは全く関係のない内容ですが、この場を借りてご報告させていただきました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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