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第2章

ルナイスが絶対の信頼を寄せる理由sideノヴァ

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ルナイスが拐われてからすぐに公爵様達が部屋に駆け込んできた。


ベットの中に居るはずのルナイスが居ないことに顔色を悪くされた公爵様達に経緯を話す。




「強制送還のネックレスも簡単に無効化されてしまいました…申し訳ありません。」


自分は周りからの評価通り魔法に優れているし、魔法に詳しいと思い上がっていたことに後悔の念と自分の無力さを恥ずる気持ちを抱えながら公爵様達へと深く頭を下げた。



「謝る必要も己を恥じる必要もない。他種族との交流を絶ち、知ろうともしなかったアーナンダ国の隙を突かれた。…ルナイスにはホルス殿が呼んでくださった精霊様が付いてくださっているのだ。それに、命の危険を感じたら何も考えず自身の身を守る為に力を解放するようにルナイスには言い聞かせてある。あの子も聡い子だから時間の猶予はあるはずだ。」



ポンポンと肩を叩かれ顔を上げた先には、落ち着いた様子ながらも我が子が連れ去られたことへの動揺と心配が滲んだ瞳があった。

しかし、それは一瞬のことで、すぐにその瞳は力強いものに変わった。






「ルナイスが帰ってくることが優先だが、王には他種族との交流に力を入れてもらわねばな。ワイアット!いつ何時でも動かせるよう準備!たま、国王へ息子が攫われたので公務は最低限にを調整すると伝令を!アドルファスはノヴァと一緒にルナイスの魔力を辿れ!」


始めにぼそりと低い声で呟かれたが、すぐさまそれぞれに指示を出し動き出された公爵様に改めてアーバスノイヤー家の当主なのだと実感する。



「公爵様ぁ、俺はスラムに下りて相手方について情報収集してくるぜぇ。あそこは表よりいろ~んな情報が集まるんでなぁ。」


「恩に着る。」


オリヴァー殿は礼を言う公爵様にひらりと手を振って部屋を去って行った。

彼について特別親しいわけでもないし、付き合いも浅いが、彼が己から自主的にテキパキと動くことが想像できなかったので、今回自分からルナイスの為に動いた彼の中でルナイスが大きな存在であることが伺える。



そんな彼に対する微妙な心情は捨て置いて…





とにかく今はアドルファス様とルナイスの魔力を辿ることに専念する。

ルナイスの魔力循環を長年やってきたアドルファス様と私ならば微かなルナイスの魔力の痕跡でも見逃さない。



「ノヴァ…どうだ?」


「…駄目ですね。何度辿ってもベット付近で途絶えてる。…恐らく、異空間に閉じ込められているのかと。」


「だろうな。未だ夢の中に囚われている可能性が高い。もしくは国外の遠く離れた場所に居る可能性もあるか。」




冷静な物言いに正直少し驚いている。

アドルファス様は弟を溺愛していることで有名になるほど、ルナイスのことを溺愛している。


ルナイスが偶に過保護が過ぎると苦笑いするほどだ。
それでもアドルファス様の重めの愛がルナイスにとっては心地いいものであるのだということはよく分かっている。

ルナイスが堕ちずにこれまで生きてこれたのはアドルファス様の大きな愛と過保護のおかげだとルナイス自身が言っているのを聞いたことがあった。





そんな彼の落ち着いた様子に疑問を抱く。






「なんだ?…私が冷静で不思議か?」

じっと凝視しすぎた私にアドルファス様が口角を上げて尋ねてきたので素直に頷き返した。



「正直ルナイスを連れ去られた怒りは沸々と湧き上がっているし、夢魔を捉えたら一層の事殺して下さいと懇願する程の苦痛を与えてやろうと考えている。…だがルナイスは強くなる為ずっと努力してきた。雑魚相手にあの子が殺されるようなことはない。」



普段ルナイス以外に対してはあまり口数の多くない人だが、ルナイスの事に関しては饒舌に喋る。

断言したアドルファス様は只過保護に守るだけでなく、ルナイス自身の努力をしっかりと見て信頼しているのだと伝わり、ルナイスへの愛の深さを改めて感じた。



これはルナイスが『にぃ様がダメって言うことは絶対にダメなんだよ。』と真剣な顔をして言い切るわけだ。











side end


________


※連休明けよりリアルでの仕事が忙しくなかなか更新できませんが、どうぞこれからもご愛読下さると幸いです。


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