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第2章
大人が密集する応接間
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ばぁやとお別れをして自室に戻り、家用のお洋服に着替える。
メルナが用意してくれた紅茶を飲んで一休みしてしばらく。
部屋の扉がノックされ、応接間へと向かうように言われた。
コンコン
「ルナイス様がご到着です。」
ヨハネスが扉をノックして声をかけると中からとーさまのお返事が聞こえて扉が開けられる。
応接間には見知らぬ大人もいて、思ってたより多い人の数に一瞬足を止めて固まってしまった。
「ルナイス様ご当主様の隣へ。」
固まってしまった僕にヨハネスがこそっと声をかけてくれたお陰ではっと我に返り、とーさまのお隣に一礼して座った。
「さて、本人も来たことだ。じっくり話そうじゃないか。」
僕が座ってもぞもぞさせていたお尻がピタリと止まったところで、とーさまが挑発的に口角を上げながら開催宣言をすると、青かった見知らぬおじ様達とヤックルの顔が白くなった。
「こ、この度は私の息子が大変申し訳ございませんでした!し、しかしまだ8つの子です故、魔法が未熟であっただけで故意ではなかったのです!!」
最初に口を開いたのはぷよっとしたおじさん。
ダンデとサンコン、どちらの父親なのだろう?
必死に熱弁する彼とは対象的にお隣のとーさまから伝わる温度がどんどん下がっていくのを感じる。
「そ、そそれに家は男爵家で公爵家より子供に優れた教育を受けさせることができないのです!!」
「なるほど。お前は自身の位が男爵と理解した上で発言の許可も得ず、私やサンコン子爵を無下にしたあげく、今回の被害者であり私の息子であるルナイスに落ち度があると言うのだな。」
とーさまの低く鋭い声にぷよっとしたおじさん、ダンデ男爵が「ひぃ!」と情けない声を上げて身を竦める。
彼がダンデ男爵であるならその隣に座って震えている頼りなさそうな見た目の人がサンコン子爵か。
「ダンデ殿の言い分はよく分かった。それで?サンコン殿はどうだ?」
違う違うと必死に首を横に振り縋るダンデ男爵を華麗に無視してサンコン子爵に話を振るとーさまに、ダンデ男爵が「違うのです!私の話を!」と叫びながら近づいたところで、ダンデ男爵はワイアットとヨハネスに捕えられ部屋から強制的に退出させられた。
ご愁傷さまです。
扉が閉まるまで、何やら叫び声が聞こえてきたけれど幾ら叫んだところでダンデ男爵の状況は変わらない。
ダンデ男爵の叫び声を聞いてか一層白くなってガタガタと震え出したサンコン子爵からとーさまは一瞬も視線を外さない。
それに気がついているサンコン子爵からは更に滝のように汗が流れ出した。
「こ、こここここのたび、このたびは……」
やっとお話を始めようとしたが、唇が震えて上手く喋れないのか声は震えてるしなかなか次の言葉に繋がらない様子。
最後の方は口はパクパクしているけれど、声が出ていない。
「サンコン子爵様、お茶をどうぞ?」
あまりの震え様に、見兼ねてそう声をかけた。
僕の声にお尻が浮き上がるほど驚いていたけれど、僕の言葉に従ってずいっとお茶を飲み干し、しかし器官に入ったのか盛大に噎せた。
「ゲボっ!……す、すすすみません!大変申し訳ございません!!愚息が大変なことをしでかしまして申し訳ございません!!」
咳き込んだことを謝って勢いがついたのか急に平謝りしだしたサンコン子爵。
頭を下げる方向はきちんと当事者である僕に向いている。
「何か弁解があるか?」
「いいえ、いいえ!息子もルナイス様へ向けて魔法を放ったと認めました。何の弁解もございません!」
サンコン子爵はとーさまの言葉に大きく首を横に振りより深く頭を下げた。
「さて…トゥワイス。君は?」
「っは!ルナイス様、この度は我が息子ムアンマルが仕出かした愚行、誠に申し訳ございません!」
とーさまに声を掛けられたヤックルは椅子から降り、床に膝を着いただけでなく、両手を床に付き深く頭を下げた。
いつも僕に容赦なく訓練を付けてくれる元気で爽快なヤックルは今、此処には居らず、見たことがないほど真剣。
師匠のような人に頭を下げられているのが耐えられなくて、とーさまをチラリ。
とーさまが頷いたのを見て、ヤックルに顔を上げるよう促す。
ヤックルは顔は上げてくれたが、姿勢はそのままだ。
どんな罰でも受け入れるという強い決意を感じる。
_________________
【お知らせ】
PCとスマホで入力しているため、文字化けが起きている箇所があるかもしれません。
気づき次第訂正致します。
メルナが用意してくれた紅茶を飲んで一休みしてしばらく。
部屋の扉がノックされ、応接間へと向かうように言われた。
コンコン
「ルナイス様がご到着です。」
ヨハネスが扉をノックして声をかけると中からとーさまのお返事が聞こえて扉が開けられる。
応接間には見知らぬ大人もいて、思ってたより多い人の数に一瞬足を止めて固まってしまった。
「ルナイス様ご当主様の隣へ。」
固まってしまった僕にヨハネスがこそっと声をかけてくれたお陰ではっと我に返り、とーさまのお隣に一礼して座った。
「さて、本人も来たことだ。じっくり話そうじゃないか。」
僕が座ってもぞもぞさせていたお尻がピタリと止まったところで、とーさまが挑発的に口角を上げながら開催宣言をすると、青かった見知らぬおじ様達とヤックルの顔が白くなった。
「こ、この度は私の息子が大変申し訳ございませんでした!し、しかしまだ8つの子です故、魔法が未熟であっただけで故意ではなかったのです!!」
最初に口を開いたのはぷよっとしたおじさん。
ダンデとサンコン、どちらの父親なのだろう?
必死に熱弁する彼とは対象的にお隣のとーさまから伝わる温度がどんどん下がっていくのを感じる。
「そ、そそれに家は男爵家で公爵家より子供に優れた教育を受けさせることができないのです!!」
「なるほど。お前は自身の位が男爵と理解した上で発言の許可も得ず、私やサンコン子爵を無下にしたあげく、今回の被害者であり私の息子であるルナイスに落ち度があると言うのだな。」
とーさまの低く鋭い声にぷよっとしたおじさん、ダンデ男爵が「ひぃ!」と情けない声を上げて身を竦める。
彼がダンデ男爵であるならその隣に座って震えている頼りなさそうな見た目の人がサンコン子爵か。
「ダンデ殿の言い分はよく分かった。それで?サンコン殿はどうだ?」
違う違うと必死に首を横に振り縋るダンデ男爵を華麗に無視してサンコン子爵に話を振るとーさまに、ダンデ男爵が「違うのです!私の話を!」と叫びながら近づいたところで、ダンデ男爵はワイアットとヨハネスに捕えられ部屋から強制的に退出させられた。
ご愁傷さまです。
扉が閉まるまで、何やら叫び声が聞こえてきたけれど幾ら叫んだところでダンデ男爵の状況は変わらない。
ダンデ男爵の叫び声を聞いてか一層白くなってガタガタと震え出したサンコン子爵からとーさまは一瞬も視線を外さない。
それに気がついているサンコン子爵からは更に滝のように汗が流れ出した。
「こ、こここここのたび、このたびは……」
やっとお話を始めようとしたが、唇が震えて上手く喋れないのか声は震えてるしなかなか次の言葉に繋がらない様子。
最後の方は口はパクパクしているけれど、声が出ていない。
「サンコン子爵様、お茶をどうぞ?」
あまりの震え様に、見兼ねてそう声をかけた。
僕の声にお尻が浮き上がるほど驚いていたけれど、僕の言葉に従ってずいっとお茶を飲み干し、しかし器官に入ったのか盛大に噎せた。
「ゲボっ!……す、すすすみません!大変申し訳ございません!!愚息が大変なことをしでかしまして申し訳ございません!!」
咳き込んだことを謝って勢いがついたのか急に平謝りしだしたサンコン子爵。
頭を下げる方向はきちんと当事者である僕に向いている。
「何か弁解があるか?」
「いいえ、いいえ!息子もルナイス様へ向けて魔法を放ったと認めました。何の弁解もございません!」
サンコン子爵はとーさまの言葉に大きく首を横に振りより深く頭を下げた。
「さて…トゥワイス。君は?」
「っは!ルナイス様、この度は我が息子ムアンマルが仕出かした愚行、誠に申し訳ございません!」
とーさまに声を掛けられたヤックルは椅子から降り、床に膝を着いただけでなく、両手を床に付き深く頭を下げた。
いつも僕に容赦なく訓練を付けてくれる元気で爽快なヤックルは今、此処には居らず、見たことがないほど真剣。
師匠のような人に頭を下げられているのが耐えられなくて、とーさまをチラリ。
とーさまが頷いたのを見て、ヤックルに顔を上げるよう促す。
ヤックルは顔は上げてくれたが、姿勢はそのままだ。
どんな罰でも受け入れるという強い決意を感じる。
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