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第2章

帰宅とばぁやとの熱い抱擁

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あの授業の後、教室で待機していた僕達の所に来たグリシャム先生とトゥワイマン先生は同じグループ内であり、相手グループの攻撃と戦っている"無防備"な人へ攻撃を仕掛けた卑劣で醜悪な生徒に学を教える暇は無いと告げ、僕へ攻撃を仕掛けた3人の生徒は取り敢えず1年間の停学処分を言い渡された。



それを言われた3人はというと、「長すぎる!」「こんな処分は不当だ!」などど騒ぎ立て、怒ったグリシャム先生が


「ならばお前達は自分が同じような目にあった時なんの処分も求めないということだな。その事もきちんとご両親にお話しておこう。」


とひっくーい声で告げるとぐっと押し黙った。


これは彼等が押し黙ったところで、伝えられるのだろうなぁっと呆れながら眺めているとバチッとグリシャム先生と視線があった。




「もちろん今回のことはアーバスノイヤー公爵様にも伝える。本日中にお邪魔するのでルナイス・アーバスノイヤーも同席して欲しい。」


「はい。」


あちゃー

淡々と返事をしながらも内心では額に手を当てていた。


こうなるだろうなっとは思っていたが、そうなるとやはり家でのヤックルの立場が危ういぞ。

ヤックルにはまだまだ教えを乞いたいので、傍に家に居てもらわないと困る!





これはとーさまと交渉しなければならないよなぁっと考えて重たいため息が溢れ出た。


問題の3人は親が迎えに来るまでトゥワイマン先生が監視。
他の生徒は今日はもう帰宅するようにと言われた。


寮生以外の生徒の家には既に連絡が届いており迎えが来ているとのことだったので、僕は急いで教室を出る。


「またねテトラ君、オスカル君!」

待機中に仲良くなれたオスカル君にも手を振って、馬車に飛び乗り家へと向かう。








「ルナイス様、ご怪我はございませんか?」

馬車の横で馬に乗って並走しているヨハネスが窓をコツコツとノックしたので開けると心配そうな顔で尋ねられた。


「大丈夫だよ。それよりもヤックルが解雇されないようにヨハネスもとーさまに言ってね!」

心配が擽ったくて、話題を変えればヨハネスはほっとしながらも苦笑い。



「私が当主様に発言をすることはできませんので。お力になれず申し訳ございません。」


ヨハネスの返答にだよねぇっと頷く。
分かってた、分かってた。

ヨハネスはそんな僕を見て一礼するとすっと窓を閉めた。



ヨハネスよ、僕からこれ以上何か言われる前に逃げたな。



















お家についてすぐにばぁやが出迎えてくれた。

僕が学園に通い出してからばぁやは自分のお家に帰ることが増えた。
もうあんまり無茶をしないでほしいというアーバスノイヤー家の願いと、ばぁやの旦那様からそろそろ戻っておいでと言われたからだ。


今日も本当は帰ったらばぁやはいないはずなのだけど、きっと僕の事を聞きつけて急いで来てくれたのだろう。


いつもきちんとシワひとつない服で出迎えてくれるのに、今日はお家スタイルで髪の毛もぐしゃっとしてしまっている。





「あぁ!坊っちゃま!坊っちゃまはお強いから無事だと分かっておりましたが、ばぁやは心配で心配で!」

ぎゅっと抱きしめられてちょっと恥ずかしかったけど、ばぁやの心配が嬉しくて僕もぎゅっとばぁやを抱きしめ返す。


しばらく抱きしめ合って、安心したばぁやは旦那様が待ってるから帰ると言うので馬車を用意させた。






僕が乗ってきた馬車はこの後にぃ様を迎えに行かなくてはいけないので、使用人用の物を。

ばぁやは歩いて帰れると言い切るし、ばぉやが歩いて帰れることは僕も分かってる。




だけど、もし転んでしまったらとか…心配してしまうので乗って帰るように命じれば過保護だとばぉやは困ったよう笑った。



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