王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰

文字の大きさ
上 下
95 / 393
第2章

得意魔法の授業

しおりを挟む
昼食を終えて、午後の授業。


今日は午後の時間全て魔法実技の授業に充てられている。



魔法を教えてくれる先生はアーキル・トゥワイマン。
アニペ叔母様の旦那様の弟君で僕とは一応親戚に当たる人なのだ。

親戚と言っても関わりは無かったので、お互い親しい言葉を交わすことはないのだけど。





トゥワイマン先生はノヴァ程では無いが、魔法オタクで優れた教師である。

あの事件があって、より優れた魔法を使える生徒を育成する為に非常勤講師として呼ばれたと聞いている。






「では、今日は一人ひとりの得意な魔法を発表してもらいます。但し!攻撃魔法の場合は事前に先生に知らせること!危ないからね!」


トゥワイマン先生はハツラツとした声で腰に手を当ててHAHAHAHA!って笑ってる。

元気満々って感じの先生。
僕の周りは割と静かな人が多いから、あの人が親戚だなんて信じられない気持ちである。






最初に発表するのはテトラ君。

先生やクラスメイト達は端の方に立って、テトラ君が魔法を展開するのを見学。




テトラ君は事前に攻撃魔法を使いますと先生に知らせていたので、実践訓練場の周りとは別に僕達の周りにも結界が張られている。

何でもない顔で二重結界を張れることから如何に先生が有能であるかが伺える。





風鎌エアーフォシヤ!」


テトラ君が抜刀し刀をシュッと斜めに振ると鋭い風の刃が離れた所にあった木を切り落とした。

刀と言っても殺傷能力のない木刀だが、魔法を組み和えわせれば木刀であってもこうして鋭い武器となる。




「うん。その技は例えば小枝を使った場合でも応用できるのかな?」

テトラ君の技に満足そうに頷いた先生は首を傾げて尋ねる。


ニコニコ笑っているし明るい感じだけど、言葉からは興味と真剣さを感じる。





「小枝は…試したことがありません。ですが、高い確率で小枝が持たなず木っ端微塵になるかと…。」

先生からの質問に少し考えた後、テトラ君がそう答えると先生はうんうんと頷いた。


だろうねぇって言うような感じ。




「じゃあ君は次の僕の授業の時までに小枝を使って今のができるように訓練しておいてねぇ。はい、次!」


先生はニッコニコの笑顔でそんな課題を出して、次の生徒を促す。

テトラ君は何か物申したげであったが、先生が笑顔ながらも全く聞く気がないことを察知して諦めた様子で僕の隣に立つ。







「次の授業って3日後だよな?」


「確か。」



日にちを僕に確かめたテトラ君ははぁーっと大きくて深い息を吐き出すと遠い目をして発表している生徒たちを大人しく見学しだした。

もう何かを言うのも面倒だって感じだ。


確かに3日後に小枝を使ってって言うのはなかなか厳しいよね。





その後の生徒たちもそれぞれ得意な魔法を披露して、テトラ君の様に難しい課題を出されていく。

瞬時に弱点…というか、生徒ができそうで出来ないことを見抜く力はすごいと思う。
さすがノヴァに次ぐ魔法オタクだ。






「はい、じゃあ次ぃ!」

先生の明るい声に促されて僕は足を前に進める。


得意な魔法っということだが、此処で闇魔法を披露するのはちょっとダメな気がするので、オリヴァー直伝、重力魔法グラヴィティを使おう。






「先生、僕は重力魔法グラヴィティを使いたいのですがいいですか?」


重力魔法グラヴィティ!?もちろんだよ!ぜひ見せてくれ!そうだ!分かりやすい様に岩を用意しよう!」


のりのりな先生は魔法で大きな岩をいくつか顕現させ、さぁ!どうぞ!と言わんばかりに瞳を輝かせて僕を見てくる。

元々ヘイズ家が主に使用していた魔法だから、重力魔法を扱える人は今とてもすくないので、魔法オタクな先生がうきうきするのは理解できるけど…ちょっと過度な期待は荷が重いです。






とりあえず、さっさと得意魔法を紹介して引っこもうと皆から離れた位置、大きな岩の近くに立つ。


重力魔法グラヴィティ

人差し指を下向きにして腕を前に伸ばし、ポツリと呟けば、重力魔法によって大きな岩が跡形もなく消え去った。

魔法を解けば窪んだ地面の底に岩の破片が散らばっている。




うん、コントロールも威力も予定通り!

これならオリヴァーも満足してくれるだろう。



自身の魔法に納得し、先程まで待機していた所へ戻ろうと振り返ると先生がキラキラした瞳で僕を凝視していた。

そしてその後ろでは生徒達が何故か顔面蒼白。




「すごい!すごいよアーバスノイヤー君!素晴らしい!!」

パチパチパチと大袈裟に拍手をして声を上げる先生に、何だか僕が恥ずかしくなる。

怒られるより、褒められた方が嬉しいけど、過度な賞賛は只只恥ずかしい。




そして、何故近づく僕にテトラ君以外のクラスメイトは目を逸らすんだ。

解せぬ。





_____________


更新が空いてしまいました…

これからどのような展開にするかとか色々考えたり、調べたりしてたら中々進まず…

毎日は難しいかもしれませんがあまり間が空かないように気をつけます!




しおりを挟む
【お知らせ】登場人物を更新しました。世界観など設定を公開しました。(R6.1.30)
感想 41

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。

イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。 力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。 だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。 イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる? 頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい? 俺、男と結婚するのか?

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

マリオネットが、糸を断つ時。

せんぷう
BL
 異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。  オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。  第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。  そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。 『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』  金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。 『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!  許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』  そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。  王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。 『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』 『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』 『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』  しかし、オレは彼に拾われた。  どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。  気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!  しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?  スラム出身、第十一王子の守護魔導師。  これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。 ※BL作品 恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。 .

可愛い悪役令息(攻)はアリですか?~恥を知った元我儘令息は、超恥ずかしがり屋さんの陰キャイケメンに生まれ変わりました~

狼蝶
BL
――『恥を知れ!』 婚約者にそう言い放たれた瞬間に、前世の自分が超恥ずかしがり屋だった記憶を思い出した公爵家次男、リツカ・クラネット8歳。 小姓にはいびり倒したことで怯えられているし、実の弟からは馬鹿にされ見下される日々。婚約者には嫌われていて、専属家庭教師にも未来を諦められている。 おまけに自身の腹を摘まむと大量のお肉・・・。 「よしっ、ダイエットしよう!」と決意しても、人前でダイエットをするのが恥ずかしい! そんな『恥』を知った元悪役令息っぽい少年リツカが、彼を嫌っていた者たちを悩殺させてゆく(予定)のお話。

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移要素はありません。

龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。 その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。 王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。

きっと、君は知らない

mahiro
BL
前世、というのだろうか。 俺は前、日本という国で暮らしていて、あの日は中学時代にお世話になった先輩の結婚式に参列していた。 大人になった先輩と綺麗な女性の幸せそうな姿に胸を痛めながら見つめていると二人の間に産まれたという女の子がひとりで車道に向かい歩いている姿が目に入った。 皆が主役の二人に夢中で子供の存在に気付いておらず、俺は慌ててその子供のもとへと向かった。 あと少しで追い付くというタイミングで大型の車がこちらに向かってくるのが見え、慌ててその子供の手を掴み、彼らのいる方へと突き飛ばした。 次の瞬間、俺は驚く先輩の目と合ったような気がするが、俺の意識はそこで途絶えてしまった。 次に目が覚めたのは見知らぬ世界で、聞いたことのない言葉が行き交っていた。 それから暫く様子を見ていたが、どうやら俺は異世界に転生したらしく………?

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

処理中です...