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第2章
得意魔法の授業
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昼食を終えて、午後の授業。
今日は午後の時間全て魔法実技の授業に充てられている。
魔法を教えてくれる先生はアーキル・トゥワイマン。
アニペ叔母様の旦那様の弟君で僕とは一応親戚に当たる人なのだ。
親戚と言っても関わりは無かったので、お互い親しい言葉を交わすことはないのだけど。
トゥワイマン先生はノヴァ程では無いが、魔法オタクで優れた教師である。
あの事件があって、より優れた魔法を使える生徒を育成する為に非常勤講師として呼ばれたと聞いている。
「では、今日は一人ひとりの得意な魔法を発表してもらいます。但し!攻撃魔法の場合は事前に先生に知らせること!危ないからね!」
トゥワイマン先生はハツラツとした声で腰に手を当ててHAHAHAHA!って笑ってる。
元気満々って感じの先生。
僕の周りは割と静かな人が多いから、あの人が親戚だなんて信じられない気持ちである。
最初に発表するのはテトラ君。
先生やクラスメイト達は端の方に立って、テトラ君が魔法を展開するのを見学。
テトラ君は事前に攻撃魔法を使いますと先生に知らせていたので、実践訓練場の周りとは別に僕達の周りにも結界が張られている。
何でもない顔で二重結界を張れることから如何に先生が有能であるかが伺える。
「風鎌!」
テトラ君が抜刀し刀をシュッと斜めに振ると鋭い風の刃が離れた所にあった木を切り落とした。
刀と言っても殺傷能力のない木刀だが、魔法を組み和えわせれば木刀であってもこうして鋭い武器となる。
「うん。その技は例えば小枝を使った場合でも応用できるのかな?」
テトラ君の技に満足そうに頷いた先生は首を傾げて尋ねる。
ニコニコ笑っているし明るい感じだけど、言葉からは興味と真剣さを感じる。
「小枝は…試したことがありません。ですが、高い確率で小枝が持たなず木っ端微塵になるかと…。」
先生からの質問に少し考えた後、テトラ君がそう答えると先生はうんうんと頷いた。
だろうねぇって言うような感じ。
「じゃあ君は次の僕の授業の時までに小枝を使って今のができるように訓練しておいてねぇ。はい、次!」
先生はニッコニコの笑顔でそんな課題を出して、次の生徒を促す。
テトラ君は何か物申したげであったが、先生が笑顔ながらも全く聞く気がないことを察知して諦めた様子で僕の隣に立つ。
「次の授業って3日後だよな?」
「確か。」
日にちを僕に確かめたテトラ君ははぁーっと大きくて深い息を吐き出すと遠い目をして発表している生徒たちを大人しく見学しだした。
もう何かを言うのも面倒だって感じだ。
確かに3日後に小枝を使ってって言うのはなかなか厳しいよね。
その後の生徒たちもそれぞれ得意な魔法を披露して、テトラ君の様に難しい課題を出されていく。
瞬時に弱点…というか、生徒ができそうで出来ないことを見抜く力はすごいと思う。
さすがノヴァに次ぐ魔法オタクだ。
「はい、じゃあ次ぃ!」
先生の明るい声に促されて僕は足を前に進める。
得意な魔法っということだが、此処で闇魔法を披露するのはちょっとダメな気がするので、オリヴァー直伝、重力魔法を使おう。
「先生、僕は重力魔法を使いたいのですがいいですか?」
「重力魔法!?もちろんだよ!ぜひ見せてくれ!そうだ!分かりやすい様に岩を用意しよう!」
のりのりな先生は魔法で大きな岩をいくつか顕現させ、さぁ!どうぞ!と言わんばかりに瞳を輝かせて僕を見てくる。
元々ヘイズ家が主に使用していた魔法だから、重力魔法を扱える人は今とてもすくないので、魔法オタクな先生がうきうきするのは理解できるけど…ちょっと過度な期待は荷が重いです。
とりあえず、さっさと得意魔法を紹介して引っこもうと皆から離れた位置、大きな岩の近くに立つ。
「重力魔法」
人差し指を下向きにして腕を前に伸ばし、ポツリと呟けば、重力魔法によって大きな岩が跡形もなく消え去った。
魔法を解けば窪んだ地面の底に岩の破片が散らばっている。
うん、コントロールも威力も予定通り!
これならオリヴァーも満足してくれるだろう。
自身の魔法に納得し、先程まで待機していた所へ戻ろうと振り返ると先生がキラキラした瞳で僕を凝視していた。
そしてその後ろでは生徒達が何故か顔面蒼白。
「すごい!すごいよアーバスノイヤー君!素晴らしい!!」
パチパチパチと大袈裟に拍手をして声を上げる先生に、何だか僕が恥ずかしくなる。
怒られるより、褒められた方が嬉しいけど、過度な賞賛は只只恥ずかしい。
そして、何故近づく僕にテトラ君以外のクラスメイトは目を逸らすんだ。
解せぬ。
_____________
更新が空いてしまいました…
これからどのような展開にするかとか色々考えたり、調べたりしてたら中々進まず…
毎日は難しいかもしれませんがあまり間が空かないように気をつけます!
今日は午後の時間全て魔法実技の授業に充てられている。
魔法を教えてくれる先生はアーキル・トゥワイマン。
アニペ叔母様の旦那様の弟君で僕とは一応親戚に当たる人なのだ。
親戚と言っても関わりは無かったので、お互い親しい言葉を交わすことはないのだけど。
トゥワイマン先生はノヴァ程では無いが、魔法オタクで優れた教師である。
あの事件があって、より優れた魔法を使える生徒を育成する為に非常勤講師として呼ばれたと聞いている。
「では、今日は一人ひとりの得意な魔法を発表してもらいます。但し!攻撃魔法の場合は事前に先生に知らせること!危ないからね!」
トゥワイマン先生はハツラツとした声で腰に手を当ててHAHAHAHA!って笑ってる。
元気満々って感じの先生。
僕の周りは割と静かな人が多いから、あの人が親戚だなんて信じられない気持ちである。
最初に発表するのはテトラ君。
先生やクラスメイト達は端の方に立って、テトラ君が魔法を展開するのを見学。
テトラ君は事前に攻撃魔法を使いますと先生に知らせていたので、実践訓練場の周りとは別に僕達の周りにも結界が張られている。
何でもない顔で二重結界を張れることから如何に先生が有能であるかが伺える。
「風鎌!」
テトラ君が抜刀し刀をシュッと斜めに振ると鋭い風の刃が離れた所にあった木を切り落とした。
刀と言っても殺傷能力のない木刀だが、魔法を組み和えわせれば木刀であってもこうして鋭い武器となる。
「うん。その技は例えば小枝を使った場合でも応用できるのかな?」
テトラ君の技に満足そうに頷いた先生は首を傾げて尋ねる。
ニコニコ笑っているし明るい感じだけど、言葉からは興味と真剣さを感じる。
「小枝は…試したことがありません。ですが、高い確率で小枝が持たなず木っ端微塵になるかと…。」
先生からの質問に少し考えた後、テトラ君がそう答えると先生はうんうんと頷いた。
だろうねぇって言うような感じ。
「じゃあ君は次の僕の授業の時までに小枝を使って今のができるように訓練しておいてねぇ。はい、次!」
先生はニッコニコの笑顔でそんな課題を出して、次の生徒を促す。
テトラ君は何か物申したげであったが、先生が笑顔ながらも全く聞く気がないことを察知して諦めた様子で僕の隣に立つ。
「次の授業って3日後だよな?」
「確か。」
日にちを僕に確かめたテトラ君ははぁーっと大きくて深い息を吐き出すと遠い目をして発表している生徒たちを大人しく見学しだした。
もう何かを言うのも面倒だって感じだ。
確かに3日後に小枝を使ってって言うのはなかなか厳しいよね。
その後の生徒たちもそれぞれ得意な魔法を披露して、テトラ君の様に難しい課題を出されていく。
瞬時に弱点…というか、生徒ができそうで出来ないことを見抜く力はすごいと思う。
さすがノヴァに次ぐ魔法オタクだ。
「はい、じゃあ次ぃ!」
先生の明るい声に促されて僕は足を前に進める。
得意な魔法っということだが、此処で闇魔法を披露するのはちょっとダメな気がするので、オリヴァー直伝、重力魔法を使おう。
「先生、僕は重力魔法を使いたいのですがいいですか?」
「重力魔法!?もちろんだよ!ぜひ見せてくれ!そうだ!分かりやすい様に岩を用意しよう!」
のりのりな先生は魔法で大きな岩をいくつか顕現させ、さぁ!どうぞ!と言わんばかりに瞳を輝かせて僕を見てくる。
元々ヘイズ家が主に使用していた魔法だから、重力魔法を扱える人は今とてもすくないので、魔法オタクな先生がうきうきするのは理解できるけど…ちょっと過度な期待は荷が重いです。
とりあえず、さっさと得意魔法を紹介して引っこもうと皆から離れた位置、大きな岩の近くに立つ。
「重力魔法」
人差し指を下向きにして腕を前に伸ばし、ポツリと呟けば、重力魔法によって大きな岩が跡形もなく消え去った。
魔法を解けば窪んだ地面の底に岩の破片が散らばっている。
うん、コントロールも威力も予定通り!
これならオリヴァーも満足してくれるだろう。
自身の魔法に納得し、先程まで待機していた所へ戻ろうと振り返ると先生がキラキラした瞳で僕を凝視していた。
そしてその後ろでは生徒達が何故か顔面蒼白。
「すごい!すごいよアーバスノイヤー君!素晴らしい!!」
パチパチパチと大袈裟に拍手をして声を上げる先生に、何だか僕が恥ずかしくなる。
怒られるより、褒められた方が嬉しいけど、過度な賞賛は只只恥ずかしい。
そして、何故近づく僕にテトラ君以外のクラスメイトは目を逸らすんだ。
解せぬ。
_____________
更新が空いてしまいました…
これからどのような展開にするかとか色々考えたり、調べたりしてたら中々進まず…
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