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第2章
気になっていた鬼さん
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ごちゃごちゃ考えながらノヴァに手を引かれて辿り着いた地下室。
地下室に繋がる扉を開くと中は広々としたスペースがあって、その空間の中央部分にひし形に結界が展開されており、中には悪鬼達が閉じ込められていた。
魔法オタクなノヴァはさっそく先ほど僕が言った可能性を確かめようとしているのか悪鬼達一体一体を興味深く観察している。
僕はノヴァから少し離れて目を覚ましている悪鬼達がいる所へ近寄ってみた。
目を覚ましている悪鬼達は疲労困憊って様子で…でも支配を受けていないから精神的にも見た目的にも落ち着いているっぽい。
目を覚ましている悪鬼達の中には唸り声をあげて悶えている様子の者もいて…僕の考えがあっていたのなら彼らが元は魔物であった可能性が高いなっと考える。
しばらく起きている悪鬼達を確認してノヴァの近くに駆け寄ると目を閉じて熟考していたノヴァが目を開けて僕のことを見てくれる。
「ノヴァ、出してほしい鬼がいる。」
考え事の邪魔をしてごめんねっと思いながらノヴァにおねだりすると案の定ノヴァは渋い顔を見せる。
ノヴァは僕の安全を確保する義務があるので、いい顔をしないのは分かっていた。
僕は最初から大丈夫そうな鬼が居たら、お話をするつもりでいたけどノヴァにそのことを伝えていなかったので渋がられるのは仕方がない。
ノヴァはしばらく僕をじっと見ていたけど、じっと見つめ返す僕に深くため息をついて首を横に振った。
「どいつだ?」
駄目かなって思ってたらノヴァがそう言って結界の方へ歩き出した。
僕は思わずニコっと笑っちゃう。
「あの鬼さん。」
そう言って僕が指さしたのは黒くて長い髪の毛で顔があんまり見えないけど瞳は銀色にギラりと光っている素晴らしい筋肉美の持ち主。
「え…あれ?」
ノヴァはえーって言いながらもその鬼さんがいる所だけ結界を緩めて魔法の見えない縄見たいなので僕が指定した鬼さんを結界から取り出した。
鬼さんは抵抗することなく静かに動かされ、僕達の前に来た。
魔法の縄で固定されているのか、腕はぎゅっと体の横に引っ付いている。
「鬼さん、僕のこと覚えてる?」
お話するには少し距離があってちょっと近づこうと思ったけどノヴァに制されたので、諦めて離れた所からまずは僕のことを覚えているか聞いてみた。
実はこの鬼さん、僕が捕まえた鬼の内の1人なのだ。
この鬼さんを選んだのにはきちんと理由がある。
というのも、あの事件の日この鬼さんが一番自我が残っていたように見えたから。
たぶん鬼の中でも強い個体なのだと思う。
それに見た目からして、恐らく只の鬼ではなく鬼神に近いのではないだろうか?
鬼神何て本当にレアだし、規格外の生命体すぎて僕はもちろんとーさまも見たことないと思う。
鬼達の中で一番お話ができるのは鬼さん…彼だと思うんだ。
彼はしばらくじっと僕を見つめ、そしてゆっくりと頷いた。
「君達が僕達の前に現れて暴れたのには理由があった。僕はそう考えているんだけど…あってる?」
まずはそう聞いてみると鬼さんは二度首を縦に振った。
「んー…ノヴァ、やっぱり彼を解放してもらってもいい?立ってるのも辛そうだからあっちの長椅子に座ってお話したい。」
このままだと僕が落ち着かないっとノヴァに訴えれば予想通りの渋いお顔。
悩んでいる様子でなかなか答えてくれないノヴァに、僕は鬼さんの腕に触れて長椅子の方へ軽く引っ張って移動していく。
ズリズリ動く僕にノヴァが気が付かないわけもなく…大きく溜息をついて僕たちの後に続いて歩いている。
拘束を解くのは無理そうだけど、長椅子に移動するのはいいみたい。
ノヴァは鬼さんが僕を傷つける意思が見られないのと、そんな元気もなさそうな様子に僕の鬼さんに触れる手をじっと睨みつけながらも黙ってきている。
地下室に繋がる扉を開くと中は広々としたスペースがあって、その空間の中央部分にひし形に結界が展開されており、中には悪鬼達が閉じ込められていた。
魔法オタクなノヴァはさっそく先ほど僕が言った可能性を確かめようとしているのか悪鬼達一体一体を興味深く観察している。
僕はノヴァから少し離れて目を覚ましている悪鬼達がいる所へ近寄ってみた。
目を覚ましている悪鬼達は疲労困憊って様子で…でも支配を受けていないから精神的にも見た目的にも落ち着いているっぽい。
目を覚ましている悪鬼達の中には唸り声をあげて悶えている様子の者もいて…僕の考えがあっていたのなら彼らが元は魔物であった可能性が高いなっと考える。
しばらく起きている悪鬼達を確認してノヴァの近くに駆け寄ると目を閉じて熟考していたノヴァが目を開けて僕のことを見てくれる。
「ノヴァ、出してほしい鬼がいる。」
考え事の邪魔をしてごめんねっと思いながらノヴァにおねだりすると案の定ノヴァは渋い顔を見せる。
ノヴァは僕の安全を確保する義務があるので、いい顔をしないのは分かっていた。
僕は最初から大丈夫そうな鬼が居たら、お話をするつもりでいたけどノヴァにそのことを伝えていなかったので渋がられるのは仕方がない。
ノヴァはしばらく僕をじっと見ていたけど、じっと見つめ返す僕に深くため息をついて首を横に振った。
「どいつだ?」
駄目かなって思ってたらノヴァがそう言って結界の方へ歩き出した。
僕は思わずニコっと笑っちゃう。
「あの鬼さん。」
そう言って僕が指さしたのは黒くて長い髪の毛で顔があんまり見えないけど瞳は銀色にギラりと光っている素晴らしい筋肉美の持ち主。
「え…あれ?」
ノヴァはえーって言いながらもその鬼さんがいる所だけ結界を緩めて魔法の見えない縄見たいなので僕が指定した鬼さんを結界から取り出した。
鬼さんは抵抗することなく静かに動かされ、僕達の前に来た。
魔法の縄で固定されているのか、腕はぎゅっと体の横に引っ付いている。
「鬼さん、僕のこと覚えてる?」
お話するには少し距離があってちょっと近づこうと思ったけどノヴァに制されたので、諦めて離れた所からまずは僕のことを覚えているか聞いてみた。
実はこの鬼さん、僕が捕まえた鬼の内の1人なのだ。
この鬼さんを選んだのにはきちんと理由がある。
というのも、あの事件の日この鬼さんが一番自我が残っていたように見えたから。
たぶん鬼の中でも強い個体なのだと思う。
それに見た目からして、恐らく只の鬼ではなく鬼神に近いのではないだろうか?
鬼神何て本当にレアだし、規格外の生命体すぎて僕はもちろんとーさまも見たことないと思う。
鬼達の中で一番お話ができるのは鬼さん…彼だと思うんだ。
彼はしばらくじっと僕を見つめ、そしてゆっくりと頷いた。
「君達が僕達の前に現れて暴れたのには理由があった。僕はそう考えているんだけど…あってる?」
まずはそう聞いてみると鬼さんは二度首を縦に振った。
「んー…ノヴァ、やっぱり彼を解放してもらってもいい?立ってるのも辛そうだからあっちの長椅子に座ってお話したい。」
このままだと僕が落ち着かないっとノヴァに訴えれば予想通りの渋いお顔。
悩んでいる様子でなかなか答えてくれないノヴァに、僕は鬼さんの腕に触れて長椅子の方へ軽く引っ張って移動していく。
ズリズリ動く僕にノヴァが気が付かないわけもなく…大きく溜息をついて僕たちの後に続いて歩いている。
拘束を解くのは無理そうだけど、長椅子に移動するのはいいみたい。
ノヴァは鬼さんが僕を傷つける意思が見られないのと、そんな元気もなさそうな様子に僕の鬼さんに触れる手をじっと睨みつけながらも黙ってきている。
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