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第2章
重力魔法に興味津々
しおりを挟む会議が終わったのは何時もの夕食の時間を半刻ほど過ぎた頃。
折角なので皆で夕食を取ろうって事になった。
僕のお隣にはノヴァが座ってて、よく家に来てくれるノヴァの定位置。
にぃ様の隣にはオリヴァーが座ってて心配。
すごく心配。
にぃ様は寛大な人だけど、オリヴァーは我が強く礼儀とか気にしないから…にぃ様の眉間の溝がふかーーくなってしまいそう…
「ヘイズと言えば、あのヘイズ家の家系か。」
席でだら~っとしてるオリヴァーを見て、とーさまがポツリと口にした。
「あぁ~、不愉快でしたら飯詰めてくれたらかえりやすよぉ。」
そんなとーさまのポツリにオリヴァーが一瞬顔を顰めてへらっと笑いながら言う。
オリヴァーは没落貴族のヘイズ家の子孫。
ヘイズ家が没落したのは、昔の当主がとんでもないクズっぷりで領地を重力魔法で領民ごと更地にしてしまったり、酒池肉林したり、奴隷を他国に斡旋したりしてたのが原因。
今でもその悪名は偶に話題になるので、特に貴族はヘイズの名を嫌っている。
小さい頃から差別をされ、恥ずかしい思いを沢山してきたと重力魔法を教わっている間にチラッと聞いた。
確かに今はもうこの世に存在しない昔の当主はクズでゲスだったかも知れないけど、オリヴァーは我が強いだけで、決して悪い人では無い。
すくなくとも僕にとっては。
重力魔法に興味を示した僕を鬱陶しがることなく、依頼した研究の合間に教えてくれたし、なにより彼とは性格の相性がいい。
そう思ったら歳は離れているけれど、彼のことを友人と見ていいのではないだろうか?
「いやそうではない。優れた重力魔法を扱う一族という意味で私は以前より興味があったのでな。」
とーさまは立ち上がろうとしていたオリヴァーを座るように促し、オリヴァーはとーさまの言葉に戸惑った様子でぎこちなく再び椅子にお尻をつけた。
「ルナイス。コルダから報告が上がっている。重力魔法を彼に習ったな。」
突然向けられた矛先にビクッと肩を飛び跳ねさせてしまった。
実は重力魔法が使えるようになった事は秘密にしていたんだ。
いや、昔のことで僕も学んでいるしオリヴァーに教わっているから秘密と言っても、ヨハネスがそばに居たし、コルダが何処かで見ていることもきちんと分かっていたので秘密というのもあれなんだけれども。
「最近コントロールが上達してきましたので、そろそろとーさまとにぃ様にひろーしようと思ってたのです。」
本当のことだけれど、ぎこちないせいでとーさまの目が細まってしまっている。
「…まぁ、いい。重力魔法はコントロールが重要な高度な魔法だ。自身が怪我をしない為、他者を傷つけることのないようにきちんと最後まで習いなさい。オリヴァー・ヘイズ…君は最後まで責任を持ってルナイスに重力魔法を教えてくれるね。」
真剣な瞳でとーさまは僕とオリヴァーに圧をかけてきた。
さすがのオリヴァーも顔を引きつらせながら頷くしかないみたい。
もちろん僕も。
その後はとーさまとにぃ様は重力魔法への興味が溢れてオリヴァーに矢継ぎ早に質問をしながら食事を始め、オリヴァーは顔を引き攣らせながらも自身の重力魔法に興味を抱かれることが嬉しいのか、ちゃんと全部の質問に答える為食事が進んでない。
ちょっと可哀想に思ってそっと近くの使用人につまみやすい物を追加することと、持ち帰り用にいくらか包んでおくように指示を出しておいた。
本当はとーさまとにぃ様に少し注意をしてあげれば良いのだろうけど、3人ともなんだかんだ満足そうなお顔なので口出すのはよろしくないだろう。
ノヴァと美味しいねーって言い合いながら、風船について前世のことも交えながらお話した。
ノヴァは昔の僕の記憶がある事を知ってるから気兼ねなく思い出すままに話せて楽だ。
数日後、ノヴァは風船を研究しすぎて重力魔法と風魔法がより上達したとか怖いこといいだして、彼の家が風船まみれなのだとかって言って風船の束を渡された。
あんまり研究に没頭しすぎてはいけないとよくよく言い聞かせておいたのでした。
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