上 下
50 / 317
第1章

細くなったノヴァ

しおりを挟む
ヨハネスととーさまの強さについてお話していると扉がコンコンってノックされた。


どうぞってすると待ち焦がれたノヴァが入ってきて、僕はダッシュでノヴァに抱きつく。


「久しぶり。ルナイス。」


「ノヴァ…細くなってる。」



抱き着いてすぐに気が付いた。

以前あった時よりも身長は少し高くなっているけれど、体は細くなっている。


目の下にも隈があるし…お疲れMAX。




ノヴァがこんな状態なのに、王様は更にノヴァに仕事をさせようとしていたのかっと信じられない気持ちになったけれど、今は王様の事なんてどーでもいい。



「ばぁや、お昼寝するね。」


「はい。ウォード様旦那様より夕食も共にとの言伝を預かっております。」


「あぁ。ぜひ御一緒させて頂く。」



ノヴァの返答に満足そうに頷いたばぁやは夕飯前に起こしに来ると言って部屋を出ていった。


僕が何時でも眠れるようにばぁやは部屋を常に整えてくれているから、ふかふかのベットの上にノヴァを寝転ばせる。

寝転ぶ前にノヴァがさらっと僕と自分に浄化魔法クリーンをかけてくれた。
さすがとーさまが認める最強の魔法使いである。
息をするように自然にさらっと魔法使うなんて凄い!



「ルナイス、折角会えたのにすまない。」

ノヴァが力ないお顔で謝ってくるので首を大袈裟に横に振る。


「会えてうれし。しんぱいだからいっしょにねよーね。」

ノヴァの体にしっかりと毛布を掛けてぽんぽんと叩く。

指輪の使い方を教えてもらわないといけないけど、それよりもノヴァに休息を。


とーさまは話のわかる大人なので、理由を説明したらお咎めなしですので。



ノヴァはよっぽど疲れていたのかお布団に入って3分もしないうちに眠りの世界へ旅立ってしまった。

僕もノヴァの二の腕の部分をぽん、ぽんと一定のリズムで叩いていると段々瞼が重たくなってきた。










___________________________






「…ス…イス……ルナイス。」


「んぅ…」


ドラゴンの尻尾に捕まってぶんぶんされるスリリングな夢の中で、誰かに呼ばれているなっと思った瞬間目が覚めた。

夢の中の出来事なのに、何か目が回っている気がする。




「ルナイス、一緒に眠ってくれてありがとう。おかげでスッキリした。」

ふらつく感覚に耐え、ぼぉっとしているとすぐ近くから聞こえてきた声に視線を上げ視界にノヴァを捉える。


眠る前より顔に生気が戻っていて、今にもぶっ倒れそうな感じはなくなった。


それでもまだ完全に大丈夫とは言えないだろう。
ノヴァにはもっとちゃんとした休息が必要だ。




「ゆびわのことはまたこんどでいーよ。とーさまには僕から言うね。」

此処から自宅まで転移するだけの体力は回復しているだろうし、今日はゆっくり休んでもらってまた予定の合う日に指輪の扱い方について教えてもらえたらいい。

今の所、指輪を付けていて困っていることはないんだし。



そう思って伝えた言葉にノヴァは否と首を横に振った。



「今日からしばらくはもう依頼を受け入れないと決めた。今日は泊めて頂けるのなら泊まって、明日はきちんと教える。」


「ほんと!なら、しばらくはいっしょ!?」




王様からの任務を断ったのは今回だけで、すぐにまた忙しくなるのかと思っていたからノヴァの言葉に気分がガーっと上昇した。

ノヴァは頷いた後、僕の顔をばぁやから受け取った暖かいタオルで拭いてくれて抱き上げられた。



ノヴァに抱えられたまま僕は部屋の外に出て、食堂へやってきた。

食堂には既にとーさまとにぃ様が座って待っていて、僕達が少し遅かったみたいだ。




「お待たせしてしまい申し訳ございません。」


「良い。少しは休めたか。」



「はい。お蔭様で。」




どうやらノヴァと僕の休息はしっかりととーさまに伝わっていたようで、ノヴァの顔を見てとーさまはひとつ頷いた。
まったく気にしていないご様子。さすがとーさま。心の広い公爵様はかっこいい。






「公爵様、突然のお願いになるのですが…本日はこちらに泊めていただけないでしょうか?」


ノヴァは僕を椅子に座らせて、自分も使用人に引かれた椅子の所へ座ったところでとーさまにお願いをした。

もう少し後で聞くのかと思っていたけど、すぐだった。




「もう部屋を用意させている。手を貸してくれるというのなら好きなだけ居てもらっても構わない。」

ニヤリと笑うとーさまにノヴァは苦笑いをしつつも、私にできることならっと頷いていた。


先にお部屋を用意させているのも、ちゃっかりしているところもとーさまかっこいい。




にぃ様もノヴァに長く滞在するのなら、一度くらいは魔術の訓練をしてくれってちゃっかり頼んでた。


ぬかりなし!





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた。

しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエルがなんだかんだあって、兄達や学園の友達etc…に溺愛される??? 家庭環境複雑でハチャメチャな毎日に奮闘するノエル・クーレルの物語です。 若干のR表現の際には※をつけさせて頂きます。 現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、改稿が終わり次第、完結までの展開を書き始める可能性があります。長い目で見ていただけると幸いです。 2024/11/12 (第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)

転生先がハードモードで笑ってます。

夏里黒絵
BL
周りに劣等感を抱く春乃は事故に会いテンプレな転生を果たす。 目を開けると転生と言えばいかにも!な、剣と魔法の世界に飛ばされていた。とりあえず容姿を確認しようと鏡を見て絶句、丸々と肉ずいたその幼体。白豚と言われても否定できないほど醜い姿だった。それに横腹を始めとした全身が痛い、痣だらけなのだ。その痣を見て幼体の7年間の記憶が蘇ってきた。どうやら公爵家の横暴訳アリ白豚令息に転生したようだ。 人間として底辺なリンシャに強い精神的ショックを受け、春乃改めリンシャ アルマディカは引きこもりになってしまう。 しかしとあるきっかけで前世の思い出せていなかった記憶を思い出し、ここはBLゲームの世界で自分は主人公を虐める言わば悪役令息だと思い出し、ストーリーを終わらせれば望み薄だが元の世界に戻れる可能性を感じ動き出す。しかし動くのが遅かったようで… 色々と無自覚な主人公が、最悪な悪役令息として(いるつもりで)ストーリーのエンディングを目指すも、気づくのが遅く、手遅れだったので思うようにストーリーが進まないお話。 R15は保険です。不定期更新。小説なんて書くの初めてな作者の行き当たりばったりなご都合主義ストーリーになりそうです。

【本編完結】まさか、クズ恋人に捨てられた不憫主人公(後からヒーローに溺愛される)の小説に出てくる当て馬悪役王妃になってました。

花かつお
BL
気づけば男しかいない国の高位貴族に転生した僕は、成長すると、その国の王妃となり、この世界では人間の体に魔力が存在しており、その魔力により男でも子供が授かるのだが、僕と夫となる王とは物凄く魔力相性が良くなく中々、子供が出来ない。それでも諦めず努力したら、ついに妊娠したその時に何と!?まさか前世で読んだBl小説『シークレット・ガーデン~カッコウの庭~』の恋人に捨てられた儚げ不憫受け主人公を助けるヒーローが自分の夫であると気づいた。そして主人公の元クズ恋人の前で主人公が自分の子供を身ごもったと宣言してる所に遭遇。あの小説の通りなら、自分は当て馬悪役王妃として断罪されてしまう話だったと思い出した僕は、小説の話から逃げる為に地方貴族に下賜される事を望み王宮から脱出をするのだった。

その部屋に残るのは、甘い香りだけ。

ロウバイ
BL
愛を思い出した攻めと愛を諦めた受けです。 同じ大学に通う、ひょんなことから言葉を交わすようになったハジメとシュウ。 仲はどんどん深まり、シュウからの告白を皮切りに同棲するほどにまで関係は進展するが、男女の恋愛とは違い明確な「ゴール」のない二人の関係は、失速していく。 一人家で二人の関係を見つめ悩み続けるシュウとは対照的に、ハジメは毎晩夜の街に出かけ二人の関係から目を背けてしまう…。

悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです

魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。 ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。 そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。 このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。 前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。 ※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)

使い捨ての元神子ですが、二回目はのんびり暮らしたい

夜乃すてら
BL
 一度目、支倉翠は異世界人を使い捨ての電池扱いしていた国に召喚された。双子の妹と信頼していた騎士の死を聞いて激怒した翠は、命と引き換えにその国を水没させたはずだった。  しかし、日本に舞い戻ってしまう。そこでは妹は行方不明になっていた。  病院を退院した帰り、事故で再び異世界へ。  二度目の国では、親切な猫獣人夫婦のエドアとシュシュに助けられ、コフィ屋で雑用をしながら、のんびり暮らし始めるが……どうやらこの国では魔法士狩りをしているようで……?  ※なんかよくわからんな…と没にしてた小説なんですが、案外いいかも…?と思って、試しにのせてみますが、続きはちゃんと考えてないので、その時の雰囲気で書く予定。  ※主人公が受けです。   元々は騎士ヒーローもので考えてたけど、ちょっと迷ってるから決めないでおきます。  ※猫獣人がひどい目にもあいません。 (※R指定、後から付け足すかもしれません。まだわからん。)  ※試し置きなので、急に消したらすみません。

処理中です...