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第1章

得手不得手

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朝食の後、とーさまが食堂を去ってにぃ様が食堂を出る前に目をよく冷やしておくようにと言われてしまった。


お部屋に帰ってからばぁやに冷えたガーゼを貰って、ベットに寝そべりながら目を冷やす。
3日間僕は屋敷から出られないけど、屋敷は十分に広いく走り回れる庭もあるし本も沢山ある。

魔力もまた溜まりつつあるみたいだから発散させないと爆死する。



謹慎処分を言い渡されても、意外と僕にはやることがある。




目を冷やし終わってから僕はとりあえず魔力を発散させる為にお庭で水魔法の練習をした。

僕の掌をジョウロの口だと想像して魔力を手の方へ流すとちょろちょろ~っと水が出てくる。
これをいい感じの霧状にしてもっと水の量を出したいのだけれど、そのへんの調整が僕には難しいみたいだ。


もっと水を出そうと思えばどばぁーっと溢れ出し庭に小さな湖ができる。

霧状にぃっと思えば霧になってしまったり…。



浮遊魔法や暗視魔法、それから何となく秘密にしている闇魔法は安定して使えているのに炎・水・風なんかの基礎魔法の方が不安定でしょぼい。



魔力量が多いから僕はそれなりに見えているかもしれないけど、実際はとってもしょぼい。

とーさまやにぃ様は魔法も剣も凄くてかっこいいけど、僕は魔力量が多いだけの凡人である。


剣術も全くできないというわけではないけれど…優れているというほどではない。

前世でも平々凡々な人間だったし、もう魂レベルでしょぼいのかもしれない。




とは言っても、アーバスノイヤー公爵家は何が原因なのか暗殺者に頻繁に狙われる危険な一族。

死ぬことに特別恐怖心は持っていないけれど、昨日のとーさまの言葉で僕は命を無駄に捨てないと決めた。

生きれる限りは生きてみようという考えに変わったのだ。



だからこそのこの特訓!




「んっ!」


さっきよりも力を込めて魔力を手に流してみる。

じょろじょろじょろじょろ


少し出る量は増えたけど、霧状にはなっていない。

魔法はイメージが大切なのだとノヴァが言っていた。
そしてそれぞれの属性との相性も大切だって。


たぶん僕は闇魔法との相性が良すぎるんだろう。

暗視魔法も補助魔法だと言われているけど、闇魔法よりだしね。




少し疲れてきたけど、もう少しだけ水を出す練習をしよう。

水魔法ウォーター

じょろじょろじょろじょろ






まだまだ修行が必要そうだ。




----------




魔法の修行が終わってお昼ご飯。

お昼はとーさまもにぃ様も居ないので、1人でもそもそ食べる。

広い食堂で1人使用人に囲まれて食べるのは嫌なので、自室で取るようにしている。



僕は偶にお肉に添えられているぶにゅぶにゅの食べ物が嫌いだ。

ついフォークでつついちゃう。


「坊っちゃま。」

ばぁやに叱られるけどぶにゅぶにゅが憎くて止められない。

「坊っちゃま。」

「やぁ~」

フォークを置いて椅子からずり落ちベットにダイブ…

とはいかなかった。


僕の足では、ばぁやから逃げられなかった。

ベットに飛び込む前にばぁやに捕まり、また椅子に座らされる。



「ナヌはお腹の調子を整えてくれるのですよ?食べないとお腹が弱くなります。」


「やぁー!」


どれだけ体に良いと言われても嫌なものは嫌だ。

というか、あんなの食べる物じゃない!



結構ごねたけど、結局ばぁやに無理やり口にナヌを入れられた瞬間、僕は盛大に吐いた。

ムカついたので思いっきりばぁやにかけてやった。





結果

アレルギーがある可能性をみてばぁやはウーを召喚し、僕はウー先生の診察を受けた。

そして

「ヘレナの気持ちは分かるが、あまり無理に食べさせる必要もない。他で補ってやりなさい。」


と、ばぁやが叱られた。


べーってしたらウー先生にでこぴんされた。



この日僕はシェフの所にこっそり行ってもうナヌを出さないでねってちょっとあざとくお願いしておいた。



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