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第1章

初めての狩り

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僕がお騒がせしてしまった事件の翌日にはノヴァは国から任されている重要な任務があるだとかで帰って行ってしまった。

最近会えていなかったのもその任務が原因なんだってお話してくれた。
そんな中、僕の所に来てくれて本当に申し訳ない。

あの後はウー先生に体をチェックされて、原因の一つに魔力の不安定さがあると言われた。


未だ定期的にとーさまとにぃ様に手伝ってもらって僕の中の多すぎる魔力を循環してもらっているのだけど、成長と共に魔力量は更に増え、滞ってはないようだけど身体うつわに合わなくて不安定な状態になっているらしい。



その状態プラス僕の心の問題だって。

僕めちゃくちゃ面倒臭い奴だ。






お騒がせの日から一週間が経った今日、僕の魔力を少しでも消費する為に魔獣がウヨウヨ生息しているアビスの森林に来ている。

右隣にはとーさま。

左隣少し後ろにヨハネス。


目の前にはバジリスク。


初手から中々の獲物である。



僕が使える魔法は
物や人を浮かせる浮遊魔法(大きな岩とかは浮かせない)

一時的に視力を奪う暗視魔法

浄化魔法(生活範囲)

炎・水・雷・風の初級魔法(攻撃にはつかえないレベル)


あと誰にも話していない秘密の魔法がある。

たぶん僕は闇魔法が使える。




というのも、ある日夜中に目が覚めてぼぉっと窓から見える輝く月を眺めていた時、不意に違和感を感じてぱっと下を見てみると僕の体が月明かりによってできた影の中にずぶずぶ沈んでいたのだ。

初めはびっくりしてもがいてもがいて、何とか影の中から出られたけど、その後はえいってやったら影の中に入れるようになったのだ。
もちろん影の中から出ることもできる。
初めは縄でベットのあしと僕のお腹を繋いで慎重にしたよ。



何で秘密にしているかというと闇魔法の使い手は嫌悪されるのが定番って前世の記憶の中にあるからだ。



でもたぶん秘密にしなくてもいいと思う。
絵本の中の登場人物の中に闇魔法を使う魔法使いが現れることが何度かあったから。

悪役として登場することの方が多かったけど、主人公を助けるお助けキャラとしても登場していた。



それでも闇魔法が使えることはもう少しだけ秘密にしておこう。

これ以上とーさま達に心労を掛けたくない。





「ルナイス、いけるか。」


とーさまの声に僕は頷く。


もしダメだったらとーさまやヨハネスが補助アシストしてくれるもんね。

それにこれは僕の溜まる余分な魔力を消費する為のアビス森林散策。
思いっきり魔力を使えばいいんだ。




浮遊魔法シュヴェーベン


まずは浮遊魔法でバジリスクを浮かしてみる。



ドォガーン




「っ!」


「ルナイス!止め!」



思いっきりバジリスクを地面に叩きつけたところでとーさまに止められ、ヨハネスに抱えられ立っていた場所よりも遠くに転移した。

訳が分からず後ろにいるヨハネスを見ると困ったような顔をしている。



「ルナイス…バジリスクは毒をもった生き物だ。あの攻撃では辺りに毒がまき散らされて危険だ。」


隣に現れたとーさまがヨハネスと同じように困った顔をして僕の額をコツンとこずいた。

とーさまは僕が魔物の図鑑を興味深く見ていたから特性を知っているものと思っていたらしい。
確かに思い返してみれば図鑑に毒について書かれていた気がする。




「もう少し小物でいくか。」


とーさまの言葉にヨハネスは大きく頷いている。

どうやらバジリスク討伐は諦めるらしい。


と言っても…一度攻撃を受けたバジリスクは怒り狂っており、毒を撒きながらこちらに走ってきている。

周りに被害が拡散しないようにとーさまがバジリスクの周りに結界を張っているみたいで、毒は結界内に閉じ込められている。


コンプレッション



とーさまが唱えると結界がどんどん小さくなっていって、動けなくなったバジリスクの可哀想な鳴き声が森林に響き渡る。

そして最終的には結界内でバジリスクは消失してしまった。




初めてみたとーさまの魔法に口が開いてしまう。




「公爵様の魔法力は国の五本指に入ります。」

惚けている僕にコソッとヨハネスが教えてくれた。




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