上 下
18 / 317
第1章

叔母様とご対面

しおりを挟む


開かれた扉の先には人、人、人。
人が沢山居た。

拍手をして僕達を出迎えているが、前世の経験値がある僕には分かる。
何人かの目は濁っていて良くない感情を抱いているだろうことが僕には分かるのだ。


悪くは言われてないけど、兄に言われていたとおり良くない目で僕達を、僕を見てくる奴はチェックしておこう。


「本日は我がアーバスノイヤー家次男、ルナイス・アーバスノイヤーの生誕祭にお越しくださり誠にありがとうございます。」

父、何時もよりスラスラお話してる。
言い慣れてる感ある。


「今回は身内と親しい方々のみのご招待とさせて頂いております。ゆるりとお過ごし下さい。…乾杯。」


「「「乾杯。」」」



父の言葉で止まっていた人々が動き出す。

父は他には分からないように息を吐き出し僕を抱えたまま、部屋を歩き出す。


未だに説明を受けてなくて不服であるが、これは僕の生誕祭であるらしい。
まぁ…1歳の子供に説明しても分からないものね。

でも父は僕がきちんと理解してるって分かってるはずだ。


何故事前に説明してくれないのか。
僕はこう見えて結構人見知りだぞ。




それからは案の定、僕を抱えたまま父は広間を歩き出した。

「ルナイス様、お初にお目にかかります。わたくしは貴方の母君アリアの妹、アニペ・マーフィーと申します。」

まず最初にご挨拶したのはまさかの母の妹さん。

1歳の父の腕に抱かれた僕にご丁寧に挨拶してくれるこの人は結構魔力高めみたい。
魔力の量というより魔力の強さは何となく感じる。


「レディ・アニペ。本日はご参加下さり誠にありがとうございます。失礼ですが、お連れ様は?」

「婚約者ルド・トゥワイマンは先程無礼者をとっ捕まえて事情聴取を受けております。後程またご一緒にご挨拶させて下さいませ。」


笑顔で穏やかに話されているけど、言葉の節々に荒を感じる。


「なるほど。お手を煩わせて申し訳ありません。ワイアット。」

父が呼ぶとすぐ側に大柄な男の人が現れた。
家令のワイアット・ホークだ。

僕とは関わる機会がほとんどないからまだよくわからない人。
でも有名な騎士を数多く出しているホーク子爵家の5男だとばぁやが言っていた。


貴族階級てややこしくて僕嫌い。
だけどばぁやはこういうのは早い方がいいって英才教育してくる。
まだ1歳なのに…



「まぁ、ワイアット様が着いてくださるのなら心強いですわ!義理兄様、両親はルナイス様に会わせない方がよろしいですわ。本当に厚顔無恥な人達です。」


「…そこは私も悩んでいた。やはり何かしてきそうか。」


「弱き者を虐めるのが大好きな方達ですから。ルナイス様、何か失礼な事を言われましたら遠慮なく叔母様を呼んでね。」


アニペ様は先程まで顔を隠していた扇子を閉じて、僕にニッコリと笑いかけてくれる。

よく分からないけど、とりあえずアニペ叔母様は僕の味方になってくれると…



「あぃ」

「まぁ!可愛らしい。」



返事をして片手を上げると両頬を抑えてクネクネと動く叔母様。

叔母様は僕を少しだけ抱いて可愛らしい、可愛らしいと褒めてくれた後、また婚約者さんと来ると言いワイアットを伴って去って行った。


少しばかり個性強めですが、頼もしい叔母様で面白かった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた。

しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエルがなんだかんだあって、兄達や学園の友達etc…に溺愛される??? 家庭環境複雑でハチャメチャな毎日に奮闘するノエル・クーレルの物語です。 若干のR表現の際には※をつけさせて頂きます。 現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、改稿が終わり次第、完結までの展開を書き始める可能性があります。長い目で見ていただけると幸いです。 2024/11/12 (第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)

転生先がハードモードで笑ってます。

夏里黒絵
BL
周りに劣等感を抱く春乃は事故に会いテンプレな転生を果たす。 目を開けると転生と言えばいかにも!な、剣と魔法の世界に飛ばされていた。とりあえず容姿を確認しようと鏡を見て絶句、丸々と肉ずいたその幼体。白豚と言われても否定できないほど醜い姿だった。それに横腹を始めとした全身が痛い、痣だらけなのだ。その痣を見て幼体の7年間の記憶が蘇ってきた。どうやら公爵家の横暴訳アリ白豚令息に転生したようだ。 人間として底辺なリンシャに強い精神的ショックを受け、春乃改めリンシャ アルマディカは引きこもりになってしまう。 しかしとあるきっかけで前世の思い出せていなかった記憶を思い出し、ここはBLゲームの世界で自分は主人公を虐める言わば悪役令息だと思い出し、ストーリーを終わらせれば望み薄だが元の世界に戻れる可能性を感じ動き出す。しかし動くのが遅かったようで… 色々と無自覚な主人公が、最悪な悪役令息として(いるつもりで)ストーリーのエンディングを目指すも、気づくのが遅く、手遅れだったので思うようにストーリーが進まないお話。 R15は保険です。不定期更新。小説なんて書くの初めてな作者の行き当たりばったりなご都合主義ストーリーになりそうです。

【本編完結】まさか、クズ恋人に捨てられた不憫主人公(後からヒーローに溺愛される)の小説に出てくる当て馬悪役王妃になってました。

花かつお
BL
気づけば男しかいない国の高位貴族に転生した僕は、成長すると、その国の王妃となり、この世界では人間の体に魔力が存在しており、その魔力により男でも子供が授かるのだが、僕と夫となる王とは物凄く魔力相性が良くなく中々、子供が出来ない。それでも諦めず努力したら、ついに妊娠したその時に何と!?まさか前世で読んだBl小説『シークレット・ガーデン~カッコウの庭~』の恋人に捨てられた儚げ不憫受け主人公を助けるヒーローが自分の夫であると気づいた。そして主人公の元クズ恋人の前で主人公が自分の子供を身ごもったと宣言してる所に遭遇。あの小説の通りなら、自分は当て馬悪役王妃として断罪されてしまう話だったと思い出した僕は、小説の話から逃げる為に地方貴族に下賜される事を望み王宮から脱出をするのだった。

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

かし子
BL
養子として迎えられた家に弟が生まれた事により孤独になった僕。18歳を迎える誕生日の夜、絶望のまま外へ飛び出し、トラックに轢かれて死んだ...はずが、目が覚めると赤ん坊になっていた? 転生先には優しい母と優しい父。そして... おや?何やらこちらを見つめる赤目の少年が、 え!?兄様!?あれ僕の兄様ですか!? 優しい!綺麗!仲良くなりたいです!!!! ▼▼▼▼ 『アステル、おはよう。今日も可愛いな。』 ん? 仲良くなるはずが、それ以上な気が...。 ...まあ兄様が嬉しそうだからいいか! またBLとは名ばかりのほのぼの兄弟イチャラブ物語です。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

悪役王子の取り巻きに転生したようですが、破滅は嫌なので全力で足掻いていたら、王子は思いのほか優秀だったようです

魚谷
BL
ジェレミーは自分が転生者であることを思い出す。 ここは、BLマンガ『誓いは星の如くきらめく』の中。 そしてジェレミーは物語の主人公カップルに手を出そうとして破滅する、悪役王子の取り巻き。 このままいけば、王子ともども断罪の未来が待っている。 前世の知識を活かし、破滅確定の未来を回避するため、奮闘する。 ※微BL(手を握ったりするくらいで、キス描写はありません)

処理中です...