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第1章

嫌われ系だと思ってました。

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僕が爆誕してからどうやら1週間。


僕の世界は僕とばぁやでできている。
ウゴウゴ手足を動かすことしかできない僕の生命はお世話をしてくれるばぁやに握られている。

否、この言い方はばぁやすごく悪役みたい。

ばぁやは最初に感じた通り無害だ。
ちょー平和。


「坊っちゃま。今日は旦那様がお越しになりますよ!奥様が亡くなられてとても落ち込んでいらっしゃいますから、坊っちゃまの可愛らしさで癒してあげてください。」

ばぁや以外誰も来ないから嫌われ系かなぁと思っていたら、まさかの父来訪の報告。

そして何だか責任重大。


母の死亡原因である僕に会って父ははたして癒されてくれるだろうか?
「お前のせいで!」何て定番な恨み節を吐かれるのでは?

ニコニコばぁやとは対照的に泣きそうになっている僕。
まだまだ自分の生に罪悪感を抱えている僕はそんな風に怒鳴られたら我慢できず泣き喚く自信がある。

ぐずる僕に慌てたばぁやがドラゴンのお人形であやしてくれるが僕の涙はそれでは止まりません。



コンコン

「旦那様がお越しです。」


ぐずぐずしてると突如部屋の扉がノックされ扉の向こうから声がしてすぐに扉が開いた。

開いた扉から姿を見せたのはお辞儀するメイドさんらしき人と、黒い髪に金色の綺麗な瞳をしたお兄さん。


イケメンを通り越して、美しい。



「泣いているのか。」

眉間に皺を寄せて僕を見るお兄さんは怖いけれど、声もとても素敵だ。
呼ばれると体に響いてうおぉってなる。




「はい。旦那様。今朝から機嫌は良かったのですが、少し前からこうしてくずっていらっしゃいますわ。」

ばぁやが困った様子でお兄さんに言う。

そして何故か僕を怖い顔したお兄さんに渡しだす。
僕の体は無事にお兄さんの大きな腕に抱かれたが…フィットせぬ。

赤ちゃん抱きなれてない人に対して赤ちゃんが泣くのってこういうことか!
むずむずして落ち着かない。
確かにこれはずっと続くと泣きたくなる。



「「…」」



じーっと僕を見つめるお兄さん。


じーっとお兄さんを見つめる僕。




この人…スルーしてたけどメイドからもばぁやからもって呼ばれてたよな?
つまりこの綺麗なお兄さんはお兄さんではなくて、僕の父。



え?



こんな若くて綺麗な男性が僕のパパさんですか!?






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