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良い子
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村の皆から好かれている人気者な男の子の両親が死んだ。
彼の両親は村では狩りをしたり、村の外の人とやり取りをして甘味だったり生活の手助けをしてくれるような物を持って帰ったりしていて、皆が彼らの事が大好きだった。
そんな皆が大好きだった2人は外から村に帰ってくる途中で野盗に襲われ惨殺された。
父親の体は縛られあちこちの骨が折れているのか体の形がぐちゃぐちゃになっていて、
母親は衣服を纏っておらず、あちこち傷まみれで土に汚れており、足の間から白い液体と赤い液体が混じったものが流れ出ていた。
そんな状態の2人を見つけたのは僕だった。
村の外で誰の目もない所で静かに過ごしたくて、本を片手に村を出てしばらく…惨たらしい死を迎えた2人の遺体を見つけたのだ。
慌てて僕は男の子に君のお父さんとお母さんが!って呼びに行った。
惨い死に方をした両親の死体を子供に見せるべきじゃないだなんてまだ4歳の僕には判断できなかった。
僕の慌てて彼の手を引いて村の外に向かう姿を怪しんだ大人たちも着いてきて、2人の死体を見て口を抑え息を飲んだ。
そして両親の遺体を見た男の子はその場に泣き崩れ、もう動かない両親に触れようにも触れられない様子で地面の土を握りしめていた。
「だ…大丈夫だよ。死に方は色々だけど、全部同じ死、なんだよ?」
「…は?」
「な、何を言ってるんだお前は!!」
僕は辛そうに泣く男の子に泣き止んで欲しかった。
「で、でも…死んだら痛いことも苦しいこともなくなるって!だから今2人は痛くないし苦しんでないよってっっぐぅ!!」
僕の父親に殴られて僕はその衝撃に体が吹き飛ばされて木に体をぶつけた。
バキッと音を鳴らしたのが木なのか、僕の体なのかは分からないけど全身が痛くて息が上手く吸えない。
「前々から思っていたが…やはりあの子は頭が可笑しい。」
「あんなことを言うなんて…狂ってる!」
「恐ろしいわ…いつかあの子は私たちのこと笑いながら殺すかもしれない。」
息を上手く吸えず、しまいには吐いてしまった僕を大人達は冷たく見下ろす。
僕はまた失敗してしまったと思うが、もう取り返しはつかない。
その後は、村の皆が亡くなった2人を丁寧に埋葬し、男の子は村長の家で一緒に暮らすことになり、
そして僕は良い子になるまで部屋に閉じ込められ
間違えればボールの様に蹴り転がらされ、時には何日も食事を与えて貰えず、勝手に外に出ないように鎖で繋がれ、
そして毎日教会が配布している人道についての教本を声に出して読まなければいけない生活が続いた。
どれくらいの時が経ったのか…
外に出ることを許された時には同じ年齢だった村の子は僕よりも随分大きくなっていて、僕より小さかった子供達は僕を指さして「だぁれ?」と首を傾げた。
外に出ても良くはなったが許されたわけではない。
両親の言うことを聞き、そして完璧にこなさなければ殴られるという日々は続き
村を歩けば石を投げられ「異常者!」と罵られる。
僕はこの数年間読み上げてきた教本に従って、死んだ生き物を見つけたらどんな生き物でもお祈りをして丁寧に埋葬し、困っている人がいれば手を差し出し、皆が嫌だと言う仕事をすべてこなし、そしてそれ以外の時間は本などを読み勉強をした。
もちろん、今も毎朝声に出して教本を読み上げる。
これは両親と僕の儀式。
僕が普通の人になるための
良い子になるための大切な儀式。
だけど、僕はなかなか良い子になれない。
僕が口を開くと皆気持ち悪がるから僕は「はい。」以外の言葉を発さないようにした。
優しい言葉を学び、決して他者に触れたりしない。
憂さ晴らしに殴られても、物を投げつけられても、水に沈められても怒ったり声を出してはいけない。
僕は僕であってはいけないから。
彼の両親は村では狩りをしたり、村の外の人とやり取りをして甘味だったり生活の手助けをしてくれるような物を持って帰ったりしていて、皆が彼らの事が大好きだった。
そんな皆が大好きだった2人は外から村に帰ってくる途中で野盗に襲われ惨殺された。
父親の体は縛られあちこちの骨が折れているのか体の形がぐちゃぐちゃになっていて、
母親は衣服を纏っておらず、あちこち傷まみれで土に汚れており、足の間から白い液体と赤い液体が混じったものが流れ出ていた。
そんな状態の2人を見つけたのは僕だった。
村の外で誰の目もない所で静かに過ごしたくて、本を片手に村を出てしばらく…惨たらしい死を迎えた2人の遺体を見つけたのだ。
慌てて僕は男の子に君のお父さんとお母さんが!って呼びに行った。
惨い死に方をした両親の死体を子供に見せるべきじゃないだなんてまだ4歳の僕には判断できなかった。
僕の慌てて彼の手を引いて村の外に向かう姿を怪しんだ大人たちも着いてきて、2人の死体を見て口を抑え息を飲んだ。
そして両親の遺体を見た男の子はその場に泣き崩れ、もう動かない両親に触れようにも触れられない様子で地面の土を握りしめていた。
「だ…大丈夫だよ。死に方は色々だけど、全部同じ死、なんだよ?」
「…は?」
「な、何を言ってるんだお前は!!」
僕は辛そうに泣く男の子に泣き止んで欲しかった。
「で、でも…死んだら痛いことも苦しいこともなくなるって!だから今2人は痛くないし苦しんでないよってっっぐぅ!!」
僕の父親に殴られて僕はその衝撃に体が吹き飛ばされて木に体をぶつけた。
バキッと音を鳴らしたのが木なのか、僕の体なのかは分からないけど全身が痛くて息が上手く吸えない。
「前々から思っていたが…やはりあの子は頭が可笑しい。」
「あんなことを言うなんて…狂ってる!」
「恐ろしいわ…いつかあの子は私たちのこと笑いながら殺すかもしれない。」
息を上手く吸えず、しまいには吐いてしまった僕を大人達は冷たく見下ろす。
僕はまた失敗してしまったと思うが、もう取り返しはつかない。
その後は、村の皆が亡くなった2人を丁寧に埋葬し、男の子は村長の家で一緒に暮らすことになり、
そして僕は良い子になるまで部屋に閉じ込められ
間違えればボールの様に蹴り転がらされ、時には何日も食事を与えて貰えず、勝手に外に出ないように鎖で繋がれ、
そして毎日教会が配布している人道についての教本を声に出して読まなければいけない生活が続いた。
どれくらいの時が経ったのか…
外に出ることを許された時には同じ年齢だった村の子は僕よりも随分大きくなっていて、僕より小さかった子供達は僕を指さして「だぁれ?」と首を傾げた。
外に出ても良くはなったが許されたわけではない。
両親の言うことを聞き、そして完璧にこなさなければ殴られるという日々は続き
村を歩けば石を投げられ「異常者!」と罵られる。
僕はこの数年間読み上げてきた教本に従って、死んだ生き物を見つけたらどんな生き物でもお祈りをして丁寧に埋葬し、困っている人がいれば手を差し出し、皆が嫌だと言う仕事をすべてこなし、そしてそれ以外の時間は本などを読み勉強をした。
もちろん、今も毎朝声に出して教本を読み上げる。
これは両親と僕の儀式。
僕が普通の人になるための
良い子になるための大切な儀式。
だけど、僕はなかなか良い子になれない。
僕が口を開くと皆気持ち悪がるから僕は「はい。」以外の言葉を発さないようにした。
優しい言葉を学び、決して他者に触れたりしない。
憂さ晴らしに殴られても、物を投げつけられても、水に沈められても怒ったり声を出してはいけない。
僕は僕であってはいけないから。
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