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恋愛対象 ②
しおりを挟む三樹side
とにかく、せいごくんに認められたくて頑張った。
すると、次々とお仕事が舞い込んで来た。
『三樹!おめでとう!バックダンサー決まったんだって?』
『はいっ!』
『すごいじゃん!ん?あれ?なんか背も伸びてる?俺、抜かれた?』
俺の頭に手を乗せて自分と比べるせいごくん
『待ってて下さい!俺、もっとでっかい男になるんで!!』
『あんなにちっちゃくて可愛かったのに…。もう、可愛いじゃなくてかっこいいって言わないといけない感じになっちゃったな』
少しはにかんで笑うせいごくんが可愛らしかった。
『ほんとですか!!俺!可愛いじゃなくてカッコいいですか?』
『まだまだだけどな!!』
少し、認めてもらえたみたいで嬉しかった。
俺の気持ちは変わること無くて、どんどんせいごくんへ気持ちが募っていった。
バックダンサーの仕事が決まって、せいごくんもいるクルーだったから、またせいごくんと一緒にいる時間が増えて嬉しくて、嬉しくて!
学校が終わるとせいごくんに逢えると浮かれ気分でダンスレッスンに向かう日々。
レッスンの合間にせいごくんとおしゃべりしたり、家が近いから一緒に帰ったりと長い時間を過ごすようになって、俺の知らないせいごくんをどんどん知って
俺はせいごくんをもっともっと好きになった。
でも…
『みっきー!』
『みっきーこっち来て!』
『みっきー』
『みっきー』
『三樹!』
みんなは俺を【みっきー】って呼ぶのに、せいごくんだけは【三樹】ってなんかよそよそしい。
その呼び方に距離を感じて、寂しくなる。
俺とは小さな頃のままの【お兄さんとちびっこ】の関係のままなの?
俺はまだ、あなたの隣にふさわしくない?
俺はあなたの恋愛対象にはやっぱりなれない?
みんなが【みっきー】って呼んで、せいごくんが【三樹】って呼ぶ度に切なくなる
距離を感じてしまう
なんで…せいごくんは呼んでくれないの?
やっぱり俺はあなたにとって小さい頃のままですか?
そんな時、俺たちのダンスクルーが雑誌に紹介されることになった。
全員での写真を撮影した後に
『三樹さんと西山さんお二人のツーショットもらえますか?』
カメラマンさんから声をかけられる。
『編集者の方からお二人のツーショットも撮影するように言われているので!お願いします。』
最近人気が出てきている俺と、ひそかに人気があるせいごくん
アイドルみたいに可愛い顔のせいごくんはダンサーでもアイドルみたいにファンがいて、バックで踊っていながらもせいごくん目当てでアーティストさんのライブを観に来る人までいる
『もっとお二人近づいてもらえますか?』
俺たちをアイドル路線で売り出そうとする大人たちの魂胆がみえみえな構図で撮影が進む
『じゃあ、最後に三樹さんが西山さんのことを後ろからぎゅっとして、微笑み合う感じでお願いします』
言われるがままにふわっと後ろからせいごくんを抱きしめた。
いつの間にか俺は180センチになっていて、せいごくんよりもだいぶ大きくなっていた。
小さなせいごくんを腕のなかにすっぽりと収めて急接近すると、胸がどきどきと早鐘を打った。
せいごくんの背中に胸が当たっていて、このどきどきが伝わってしまうのでは無いかと不安になって、せいごくんの顔を覗いたら、せいごくんの顔がなんだか赤くなっているみたいだった。
ん?
せいごくん俺に抱きしめられて、赤くなった?
…まさかね…?
そんなはずないし…。
俺の見間違いかもしれない。
『はい!オッケーです!!』
カメラマンさんの声でこの腕の中から逃げる様に去っていくせいごくん。
すぐさま撮影した写真のチェックに向かい、ふたりの写真をチェックしているせいごくんの背後から俺も覗き込んだ。
ハグして撮影した写真は少し恥ずかしそうにする可愛いせいごくんが映っていて、個人的にその写真をもらいたいくらいだった。
その写真を目に焼き付けようと前のめりになった時、コツンとせいごくんの頭にぶつかってしまった。
『あっ、ごめんっ』
『ううん。っ///…大丈夫っ。大丈夫だから!』
そういって、俺を見上げるせいごくん
こんなにに可愛いく見える角度が存在するなんて、背が伸びなければ知りえなかった!!
俺を見上げる優しい瞳と見上げることで自然にうっすらと開く唇…
可愛いっ…!!
『なんかっ///…急に背が伸びたね。』
『はい。180を超えました!!』
『そっか、もう俺、三樹の頭なでなでできないね。小さい時みたいに抱っこもできないし…』
そう言ったせいごくんはなんだか少し寂しそうだった。
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