死神のカウントダウン

白夜

文字の大きさ
上 下
54 / 57

54話 天国or地獄or特例

しおりを挟む
54話 天国or地獄or特例


しょうside


『おいっ!出てこい!出てこいって!!』

俺にはもう一人、寂しさを埋めてくれる相手がいる!!

突然何処からともなく現れて…

『もうっ!マジでやめてもらっていいっすか?俺も暇じゃないんですっ!!』



俺は、時々、死神を呼び出していた。

『しょうくんぐらいですからね!歴代で俺をこんなに呼び出すの!!ホントにやめてもらっていいですか!』

『いいじゃん!右京も焼肉食いたいだろ?いい肉買っといたからさ』

いい肉買って、ホットプレート準備してから呼び出すのがお決まり!

『まぁ…たまには…いいですけど…ホントにたまにですよ!』

肉を美味しそうに頬張りながら、右京は言った。

案外コイツいいやつで、意外と気が合う!
寂しい俺にはちょうどいい話し相手だ!!

そして…こいつは時々ボロを出す。

『あのさぁ…俺が死んだら、アイツに逢えるかな?』

『…モゴモゴッ…ん゙…逢えませんね。』

『はぁ?なんで?』

『かずまさんは寿命交換してますから!特例ってやつですよ!元気に働いてますよ。なかなか筋がいいから助かってます!時々しょうくんの様子もこっそり見に来てますよ』


…?

元気に働いている?
筋がいい?
俺の様子を見に来ている?

『全員、天国や地獄に行くんじゃないの?』
『まぁ特例以外はそうっすね!お代わりあります?』

『あっ。あるっあるよ!!』

肉をホットプレートに乗せてやると、それをじっと見つめる右京。

『えっ!まさか!死のうなんて考えてるんじゃないですよねっ!!あ…でも、まだまだ寿命じゃないんで大丈夫っすね』

たらふく肉を食べて、右京は
『ご馳走様~!あんまり呼び出さないで下さいよっ!マジで!俺も忙しいんで!!頼みますよ!次はもう少しお肉多めに買っておいて下さいね』

そう言い残して、スッと消えた。


そんな日々を送っていた。

そして、一年経っても俺の心は埋まらないし、寂しさも深くなるばかり。
あぁしておけば良かったとか、こうしておけば良かったとか…後悔しか残らない。


そして、カラダはかずまを知っていて、時々無性
に寂しくなる。たった数回触れあっただけなのに…かずまの手や指を思い出しながら自分を慰める日々。
今では、自分で後ろを使う事さえ覚えてしまった。

かず…。なんで?最後までシてくれなかったの?

そればかり考えてしまう。
けれど、今更どうする事もできない。

かず…

お前に逢いたい…。
それなのに…死んでも逢えない…なんて…。

気が狂いそうになる。
俺の幸せを願ってくれたのに…俺は、お前がいないと幸せになれないみたいだ…。


寂しくて苦しい日々。


それを隠して、なんでもないみたいに生きていく。
いつまでこんな風に生きればいいのだろう?

でも、かずまがくれた命を無駄にすることはできない。
大切にこの命を生きている。

でも…

かずまからもらった命を繋いでいくんだったらいいんだろ?

それなら許してくれる?

それでもやっぱり許してはくれないのだろうか?

どっちだろうか?

お前は怒る?
それとも喜ぶ?

俺はまた、お前と一緒にいたいだけ。

一緒に居たい…それだけ。

果たせなかった約束も、たくさんの後悔も、全部抱えたままだから…。

俺の最後のわがままです。

どうか許して欲しい。







『かずまっ!!』






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。 その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。 両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。 自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。 自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。 相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと… のんびり新連載。 気まぐれ更新です。 BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意! 人外CPにはなりません ストックなくなるまでは07:10に公開 3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!

toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」 「すいません……」 ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪ 一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。 作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

処理中です...