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49話 救いたいのか?なんなのか?
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49話 救いたいのか?なんなのか?
透弥side
雪と部屋を交換して、じゅんくんと同じ部屋になった。
なんだか懐かしい気がした。
雪は一方的に別れると言ってきた。でも、最近の俺は今までみたいに雪に接することが出来なくて、じゅんくんのことばかりだったから、そう言われても仕方がない。そして俺は、なんだか少しホッとしていた。
どこかで雪と付き合うチグハグさを感じていたから。
雪の事は、可愛くて大好きだったけど、キスやそれ以上のことは考えられなかった…
やっぱり、先輩と後輩の関係にしか思えなくて、どこまでいってもそのままだったと思う。
じゅんくんとふたりでホテルのレストランで食事をした。じゅんくんの食欲は落ちていて、ほとんど食べられていなかった。
そんなんじゃ、病気治らないだろ!!
たくさん食べる様に促しても、これ以上はもう無理ってじゅんくんは少し困った顔して、クスッと笑顔で返した。
笑っていたけど、もう、辛そうで苦しそうだった。
じゅんくんが残した食事をさっさと平らげて、一緒に部屋に戻った。
食べてる俺を見て、じゅんくんはなんだか満足そうな顔をしていた事が、なんだか嬉しかった。
部屋に戻ったじゅんくんは、なんだか落ち着かなくて、明らかにソワソワしていた。
それを隠すみたいに
『…少し疲れたかも…、明日もあるから、風呂入って寝るわ』って、浴室の方を見ながらじゅんくんが言った。
俺は、宿泊の時のルーティンの荷物を広げ始めた。
しばらくすると、濡れた髪のじゅんくんが現れて
『おふろ…でたから…。つぎ、どうぞ…』って、なんだかカタコトの日本語で俺に告げた。
見慣れているはずのじゅんくんが、なんだかいつもとは違って見えた。
なんだかすごく儚げで、濡れた髪と少し透けた肌が綺麗だった…。
『透弥?…』
その言葉にハっとした、俺はどれくらい見惚れていたのだろう?
『うん!俺も入ってこよぉっと』
それを誤魔化すみたいに、お道化て答えた。
お風呂に入っている時、ずっと濡れた髪のじゅんくんの残像が、俺の頭の中を支配してて、体だけが勝手にいつもの動きをしていて、いつの間にか、全部洗い終わってた。
人間って、何も考えなくてもいつもの動きできるんだって、思った。
お風呂から出ると、じゅんくんは頭から布団をかぶって寝ているみたいだった。
でも、呼吸は浅く苦しそうで…時折、苦痛に耐えるように『っぅっ…う゛っ…』て声が、布団から漏れていた。
堪らなくなって、じょうくんの布団を捲って、じゅんくんを抱きしめた。
苦しいの?痛いの?
そう言えばいいのに…
そんな姿を見せようとしないじゅんくん
『っ///はぁ?おいっ!お前のベッド向こうだろ』って、痛みを隠すじゅんくん
その痛み…癒してあげたいから
恥ずかしがるように、拒否するじゅんくん
こんな時でさえもツンは発動しているらしい。
でも、もう、そんな事言ってる場合じゃないだろ?
辛いでしょ?
苦しいでしょ?
痛いでしょ?
全部を包んで癒してあげたいからぎゅっと抱きしめた。
抱き締めたじゅんくんのカラダが以前よりも、ずっと小さく思えて、痛みに耐えてうずくまり、呼吸が浅くなっていることにじゅんくんは気が付いているのだろうか?
じゅんくんにぴったりとくっついて、もっと強くぎゅっと抱きしめて…
『続きする?』って、
その痛みを癒してあげたいから、そう問いかけた。
雪とは考えられなかった行為を、じゅんくんとならシてもいいと思った。
キスも嫌じゃないし、なんならじゅんくんとキスしていると、本来の目的のじゅんくんを癒すって事さえ忘れて、気持ちよくて…じゅんくんが愛おしく思えてくる。
きっと、この時は自分の気持に気が付いていなかったと思う。
じゅんくんの為にって、それだけの感情だと思っていた。
するとじゅんくんは少し怒って、雪とはどうなってるんだ?って俺を責め立てた。
雪に、別れを告げられたってなんか言い出せなくて…
じゅんくんの、俺を責める言葉は止まらなかった。
じゅんくんの声は、苦しそうで、怒っているというよりも嘆いているみたいな、そんな声だった。
可愛い後輩、雪の事を思っていることがよく分かった。俺と雪がまだ付き合っていると思っているから、雪に申し訳ないって…そういう気持ちだったのだろう。
優しい律義なじゅんくんらしい言葉だった。
優しい人…。
そんなじゅんくんが…なんで?こんな病気に罹らなくちゃならなかったのだろう?
そんな事考えてたら、全てを吐き出したじゅんくんが
『…ごめん、言い過ぎた。お前だけが悪い訳じゃない…俺も悪い…』そう言って、悲しみに濡れていた。
『…じゅんくんは、悪くないよ…』
きっと、俺の曖昧な態度が、雪を傷付けていたんだと思う。
可愛いと思っていた感情は、好きとかそういう恋愛感情じゃなかったと気が付くのが遅すぎた。
雪…ごめん。
そして、俺と部屋を交換してまで、じゅんくんを救いたいと思った雪の気持ち…
どれだけ苦しかっただろう…。
俺とキスをしたいと言った雪の気持は、間違いなく恋愛感情で、その思いを押し殺してまで、じゅんくんを救いたいって事だよね?
じゅんくんを救えるのは俺だって、雪も思っているんだよね?
雪のじゅんくんを救いたいってその気持ちごとじゅんくんを抱いて眠った。
苦しくて浅くなっていた呼吸が、少しずつ規則正しい呼吸に変わって、腕の中でスヤスヤと寝息を立てだしたじゅんくんの体温を感じながら、俺も眠った。
翌朝、雪の大きな瞳は真っ赤に腫れていた。
…雪、ごめん。
ツライ思いさせて。
【好き】と【可愛い】の違いもわからない俺。
少し恋愛に疎いのかもしれない。
好きとか、そう言う感情がよくわからなった。
雪が教えてくれた事、可愛いってだけじゃキス出来ない。
じゃあ、なんでじゅんくんとはキスできるんだ?
新たな疑問が生まれた。
それは…じゅんくんを救うため?
本当にそれだけ?
自分の中にいくつかの疑問が浮かび、そのまま胸の中に積もっていった。
透弥side
雪と部屋を交換して、じゅんくんと同じ部屋になった。
なんだか懐かしい気がした。
雪は一方的に別れると言ってきた。でも、最近の俺は今までみたいに雪に接することが出来なくて、じゅんくんのことばかりだったから、そう言われても仕方がない。そして俺は、なんだか少しホッとしていた。
どこかで雪と付き合うチグハグさを感じていたから。
雪の事は、可愛くて大好きだったけど、キスやそれ以上のことは考えられなかった…
やっぱり、先輩と後輩の関係にしか思えなくて、どこまでいってもそのままだったと思う。
じゅんくんとふたりでホテルのレストランで食事をした。じゅんくんの食欲は落ちていて、ほとんど食べられていなかった。
そんなんじゃ、病気治らないだろ!!
たくさん食べる様に促しても、これ以上はもう無理ってじゅんくんは少し困った顔して、クスッと笑顔で返した。
笑っていたけど、もう、辛そうで苦しそうだった。
じゅんくんが残した食事をさっさと平らげて、一緒に部屋に戻った。
食べてる俺を見て、じゅんくんはなんだか満足そうな顔をしていた事が、なんだか嬉しかった。
部屋に戻ったじゅんくんは、なんだか落ち着かなくて、明らかにソワソワしていた。
それを隠すみたいに
『…少し疲れたかも…、明日もあるから、風呂入って寝るわ』って、浴室の方を見ながらじゅんくんが言った。
俺は、宿泊の時のルーティンの荷物を広げ始めた。
しばらくすると、濡れた髪のじゅんくんが現れて
『おふろ…でたから…。つぎ、どうぞ…』って、なんだかカタコトの日本語で俺に告げた。
見慣れているはずのじゅんくんが、なんだかいつもとは違って見えた。
なんだかすごく儚げで、濡れた髪と少し透けた肌が綺麗だった…。
『透弥?…』
その言葉にハっとした、俺はどれくらい見惚れていたのだろう?
『うん!俺も入ってこよぉっと』
それを誤魔化すみたいに、お道化て答えた。
お風呂に入っている時、ずっと濡れた髪のじゅんくんの残像が、俺の頭の中を支配してて、体だけが勝手にいつもの動きをしていて、いつの間にか、全部洗い終わってた。
人間って、何も考えなくてもいつもの動きできるんだって、思った。
お風呂から出ると、じゅんくんは頭から布団をかぶって寝ているみたいだった。
でも、呼吸は浅く苦しそうで…時折、苦痛に耐えるように『っぅっ…う゛っ…』て声が、布団から漏れていた。
堪らなくなって、じょうくんの布団を捲って、じゅんくんを抱きしめた。
苦しいの?痛いの?
そう言えばいいのに…
そんな姿を見せようとしないじゅんくん
『っ///はぁ?おいっ!お前のベッド向こうだろ』って、痛みを隠すじゅんくん
その痛み…癒してあげたいから
恥ずかしがるように、拒否するじゅんくん
こんな時でさえもツンは発動しているらしい。
でも、もう、そんな事言ってる場合じゃないだろ?
辛いでしょ?
苦しいでしょ?
痛いでしょ?
全部を包んで癒してあげたいからぎゅっと抱きしめた。
抱き締めたじゅんくんのカラダが以前よりも、ずっと小さく思えて、痛みに耐えてうずくまり、呼吸が浅くなっていることにじゅんくんは気が付いているのだろうか?
じゅんくんにぴったりとくっついて、もっと強くぎゅっと抱きしめて…
『続きする?』って、
その痛みを癒してあげたいから、そう問いかけた。
雪とは考えられなかった行為を、じゅんくんとならシてもいいと思った。
キスも嫌じゃないし、なんならじゅんくんとキスしていると、本来の目的のじゅんくんを癒すって事さえ忘れて、気持ちよくて…じゅんくんが愛おしく思えてくる。
きっと、この時は自分の気持に気が付いていなかったと思う。
じゅんくんの為にって、それだけの感情だと思っていた。
するとじゅんくんは少し怒って、雪とはどうなってるんだ?って俺を責め立てた。
雪に、別れを告げられたってなんか言い出せなくて…
じゅんくんの、俺を責める言葉は止まらなかった。
じゅんくんの声は、苦しそうで、怒っているというよりも嘆いているみたいな、そんな声だった。
可愛い後輩、雪の事を思っていることがよく分かった。俺と雪がまだ付き合っていると思っているから、雪に申し訳ないって…そういう気持ちだったのだろう。
優しい律義なじゅんくんらしい言葉だった。
優しい人…。
そんなじゅんくんが…なんで?こんな病気に罹らなくちゃならなかったのだろう?
そんな事考えてたら、全てを吐き出したじゅんくんが
『…ごめん、言い過ぎた。お前だけが悪い訳じゃない…俺も悪い…』そう言って、悲しみに濡れていた。
『…じゅんくんは、悪くないよ…』
きっと、俺の曖昧な態度が、雪を傷付けていたんだと思う。
可愛いと思っていた感情は、好きとかそういう恋愛感情じゃなかったと気が付くのが遅すぎた。
雪…ごめん。
そして、俺と部屋を交換してまで、じゅんくんを救いたいと思った雪の気持ち…
どれだけ苦しかっただろう…。
俺とキスをしたいと言った雪の気持は、間違いなく恋愛感情で、その思いを押し殺してまで、じゅんくんを救いたいって事だよね?
じゅんくんを救えるのは俺だって、雪も思っているんだよね?
雪のじゅんくんを救いたいってその気持ちごとじゅんくんを抱いて眠った。
苦しくて浅くなっていた呼吸が、少しずつ規則正しい呼吸に変わって、腕の中でスヤスヤと寝息を立てだしたじゅんくんの体温を感じながら、俺も眠った。
翌朝、雪の大きな瞳は真っ赤に腫れていた。
…雪、ごめん。
ツライ思いさせて。
【好き】と【可愛い】の違いもわからない俺。
少し恋愛に疎いのかもしれない。
好きとか、そう言う感情がよくわからなった。
雪が教えてくれた事、可愛いってだけじゃキス出来ない。
じゃあ、なんでじゅんくんとはキスできるんだ?
新たな疑問が生まれた。
それは…じゅんくんを救うため?
本当にそれだけ?
自分の中にいくつかの疑問が浮かび、そのまま胸の中に積もっていった。
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