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47話 全てを知っていた君

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47話  全てを知っていた君


透弥side


じゅんくんの体調はもう限界だろうと誰もが思い始めていた。

ツアーもいよいよ最終の新潟公演を残すのみとなり、最後の部屋割りは、くじで決められて、俺は大輝と同じ部屋になって、じゅんくんは雪と一緒の部屋になった。


久しぶりに逢ったじゅんくんが、やけに辛そうで、見ているこっちが苦しくなった。それでも、それを隠そうと頑張って笑顔を振り撒くじゅんくんが痛々しかった。

俺は大輝と一緒に部屋いて、そろそろリハ行こうかって話していたら、突然

『藤野くんっ!!藤野くん!!お願いっ!!じゅんくんを助けてっ!!…もう、見てられない。…藤野くんしか、助けられないからっ…グスっ…お願い…助けて…』

俺たちの部屋へ来た、雪は慌てていて、俺に部屋のカードキーを渡してこう言った

『じゅんくんが居なくなるのは、嫌なの。でも、藤野くんの事も大好き…っ。それと同じくらいじゅんくんも大好きなの。…だからっ…お願い…』

俺にすがりついて、取り乱して泣き出す雪に、大輝がそっと背中を撫でた。

『ゆき?…どうしたの?なんかあった?話せる?』

見たことのない優しい表情の大輝に驚いた。
大輝があんなに優しい表情で雪を包み込んで声をかける姿に驚いた。

雪は、大輝の優しさに震える声で
『もう、じゅんくん…起き上がれなくてっ。このままじゃ…もう、…藤野くんが行ってあげてっ!…ごめんなさい、きっと僕が…ふたりの間に入ったから…じゅんくんは…病気になって…でも、ふたりとも大好きだからっ…ごめんなさい。…僕が悪いんだっ…グスっ』

雪が大きな瞳からポロポロと大粒の涙を落とした。

別に雪が謝ることじゃないのでは?と思った。


この時の俺は、じゅんくんの片思いの相手が誰かわからなくて、でも、じゅんくんを救えるのは自分だと勝手に思っていて、長年一緒にいる自分以外じゅんくんを救えないって思ってた。


きっと自分でも、自分の気持ちがわからなかったんだと思う。ただじゅんくんを救いたい一心で、雪から、部屋のカードキーを受け取って、じゅんくんの元へ急いだ。

きっと、雪が考えに考え抜いた決意だったのだろう。

以前はみんなの前でイチャイチャしたがっていた雪だけど、人前どころか俺とふたりになることさえも、徐々に少なくなっていってて、いつの間にか、キスをねだられる事もなくなっていた。

雪から託されたカードキーでじゅんくんの部屋を訪れた、じゅんくんは弱弱しく座り込んでいて、すぐに駆け寄って抱きしめた。

服の上からではわからなかったけど、抱き締めると以前よりも細く、筋力も落ちていて…皮膚は薄くなり、その皮膚の下からは青い花の模様が浮き上がっていた。


ただ、守りたい一心だった。

唇を重ねると、もう止められなくて、舌を絡めると、じゅんくんもその舌を待っていたかのように一生懸命に絡めてた。

癒すためのキスじゃなくて、ただただ愛おしくて、壊れてしまいそうな大切なものを逃したくなくて、キスをした。

キスの隙間から零れ落ちた、じゅんくんの吐息
『んっ、…ん、っ///』

その時にカラダの熱が上昇していくのがわかった。舌を擦り合わせる度に、押し寄せて来る波に、飲み込まれて余裕なんて無くなってた。

口内を貪るようなキスに唾液が混ざり合って、流れ込んだ唾液をコクンってのみ込むじゅんくんがやけに色っぽいっ///

もう、理性なんて無くなってた。

ただ、癒すためのキスが、じゅんくんを求めるキスに代わっていった。

キスの合間に零れる甘い吐息が可愛くて、可愛くて仕方がない!
もう、守りたいだけの感情じゃなくなっていたのかもしれない。

俺のキスで反応するじゅんくんが、愛おしい存在に思えた。
熱にうなされたみたいに、じゅんくんの甘い声
聞いて、じゅんくんが感じ始めているのがやらたとえろくて…

自分の呼吸数が上がっていくのがわかった

俺の方が、完全にじゅんくんを欲しがっていて、貪るようにじゅんくんに触れていた。

どんどんキスが深くなって、じゅんくんにもっと触れたくなって、じゅんくんのシャツめくりあげて、目の前に露わになった小さなピンク色した胸の突起をちゅっぱって吸ってた。

『はぁっ///…、ま、待ってっ///…』
じゅんくんが恥ずかしそうにそう言ったけど、恥ずかしそうにするその仕草も、上擦った声も、赤くなる頬も…

全部が俺を加速させるだけだった。
戸惑いながらも感じているじゅんくんが、艶っぽくて、俺の欲をさらに掻き立てた。
『あぁん♡っ…はぁっ///…とうやっ…ダメだってっ…ゆきっ…戻って…来るからっ』

じゅんくんは溺れてしまわないように必死に抗っていて、

この部屋のカードキーを渡した雪は、きっと…こうなるってわかっていたんだと思う。

それでも、俺にカードキーを託した、雪の決意。
じゅんくんを助けてと言った、雪の気持ちはきっと、たくさん悩んで苦しんで…それでも、この結論を導き出したのだとお思う。

じゅんくんのモノは、だめだという言葉には似合わないくらいに勃ち上がっていた。

『このままじゃ、リハいけないだろ?』

俺はズルい。

『このまま行ける?これ出したいでしょ?俺がシてもいい?俺が楽にしてあげる』

なんて、言ったけど…
本当は自分がシたかっただけかもしれない。

この手で淫らに濡れていくじゅんくんを見たかっただけかもしれない。

『もういいっ!好きにしていいっ!!』





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